ボクは雑草です

シフトクリエイティブ社長のブログです。

矢沢永吉ライブ/感動の映像美

2009-11-01 18:10:00 | 報道/ニュース
昨夜、NHKで東京ド―ムでの「矢沢永吉ライブ」を放送していました。60才になった矢沢永吉さんのステージはまさに完成品でした。う~ん、さすがですね。ステージの照明もセットも演奏しているバンドの人もいわゆる一流を感じさせる上品なものでした。ステージを生で見た永ちゃんフアンにはたまらないものだったでしょうね。ボクはテレビ放送という状態で見たのですが、映像表現にも一流を感じさせました。いわゆる職人技を見た気持ちです。今日はその映像美について記録しておきたいと思います。
通常、ライブ中継には多くのカメラがいろんな角度から撮影するよう配置され、生放送ではスイッチャーで各カメラの映像を切り替えて放送します。ゴルフ中継やマラソン中継などはまさに撮影しているカメラマンと中継映像を選択するスイッチャーやディレクターの腕の見せどころとなる訳です。良い放送映像をつくるには三つの大事な要素が必要です。まず、被写体が良いこと、カメラのアングルやピント、絞りといった撮影映像が良いこと、そしてスイッチャーのセンスが良いこと、この三つが上手くかみ合ったとき、良い映像表現が出来、放送を見ている人が感動するのです。最近の民放の番組などはこの三つがいずれもレベルが低く薄っぺらな映像になってしまっているのです。映っていればいい、画面をパカパカ変えればいいといったものばかりで心に残るものになっていません。
ところが昨夜の「矢沢永吉ライブ」はまったく違いました。およそ20台以上(もっとかもしれません)のカメラがあらゆる角度に配置されそれぞれの映像がいままでの放送では見たこともないすばらしいアングルで撮られています。そのうえ画面の切り替え(スイッチャー)が実にうまい。ひとつひとつが優れた映像ならどんなに短いカットの積み重ねでもこれほど良い映像表現になるという見本を見た気持ちになりました。広い場面(ロング映像)でも各所で撮影しているカメラマンの姿が画面に入っていません。これも大変な技術です。普通、ステージを放送するとき、ロングの映像になるとステージ前で撮影しているクルーの姿が入り込んでしまうものですが、見ているかぎりでは全く見えません。カメラが隠れているかよほど遠くへ下がって撮影していたのでしょう。遠くへ下がれば望遠レンズになる訳で遠近感はだせますが、技術的には高度になります。カメラが少し動けば画角は変わってしまいピントも難しくなるからです。1ミリもカメラが動けば良いアングルにはなりません。ところが昨夜の放送画面は望遠レンズの特徴を見事に生かしていました。永ちゃんの娘さんとの2ショットなど、永ちゃんにピントを合わせ隣の娘さんをややぼかしていました。全てのカメラマンに相当の腕がないとこのような映像は撮れないのです。また、画質の美しさ、滑らかさにも驚きました。ハイビジョンで照明はステージのものです。どうしたらあの滑らかさがビデオで出せるのか、まるで一流映画を見ているような映像ばかりでした。ひとつの映像が素晴らしいだけではなく、数十台(移動や手持ちも含めて)全ての映像がすばらしく、スイッチャーのタイミングも絶妙で、まさに完成された1時間30分の番組でした。矢沢永吉さんのステージを知り尽くしていないとこのような映像表現は出来ないでしょう。
矢沢永吉さんのステージも演奏も申し分のないものでしたが、それを放送した技術の皆さんの見事な職人技に久しぶりに大きな拍手を送ります。