段落について
ここからは『何でもわかる文章の書き方百科』(平井昌夫著・三省堂・2003・5・1)からの引用です。この本を一冊手元においておくと、便利です。
段落とは?
ある考え(文章に表現する何か)を有機的な統一があるように表現しようとすれば、それがいくつかに区切られて表現するようになってきます。このくぎられた一つ一つのまとまりを段落といいます。
したがって、段落は、書き手が述べようとする考えを読み手にわかりやすくするために案出された表現方法です。
段落はこのように、表現方法の一種であり、一つ一つの段落は、その文章の全体の有機的な文節ですから、全体として考えの小単位と見なすこともできます。それゆえ、文章を書こうとするときには、まず話題(ときには主題も)をきめたのち、それをいくつかの小話題に分けます。つぎに小話題を一定の順序に配列します。すなわち“あらすじ”を作るわけです。そして、この小話題が一つ一つの考えであって、これ(または、これをさらに、いくつかに分けたもの)についって、具体的な表現をしていきます。この一つ一つが段落になるのです。
よい段落になる基準
⑴ 段落は一つのおもな目当て(中心の考え)を述べているものです。このおもな目当てを話題とか題目(トピック)とかいいます。この話題や題目が、すべての文を一つの群れにまとめて段落を作ります。
⑵ 段落を組み立てているいくつかの文のうち、段落の中心の考えと関係の深い意味内容を表している文は、初めか終わりに出すほうが一般に読みやすくなります。
⑶いくつかの段落のうち、文章全体の中心の考えと関係の深い段落は始めか終わりへ出すほうが理解されやすくなります。
⑷段落はあまり長くならないほうが読みやすいです。四百字づめの原稿用紙一枚分ぐらいの長さの段落(おとなの読む論説文で)を目安にしますと、一般に読む心理的抵抗が少ないと言えるでしょう。また、あまり短い段落ばかりですと、かえって読み手をいらいらさせることがあります。
⑸子どもむきの文章では、段落は二〇〇字以内にします。要するに、行がえが多いほうが読みやすいのです。
⑹段落の書き出しは一字分下げるか(縦書き)、一字分右へ寄せる(左横書き)のがふつうです。
⑺同じような項目を書くときには、一つの段落の中へだらだらとつづけて書くよりは、箇条書きにしたほうがずっと読みやすくなります。
⑻事がらによっては、文よりも数字、数字よりも図表、図表よりも絵や写真を入れるとよいでしょう。一つの段落の中へ数字がべたべたはいってくるのは理解に困難を与えます。そうした数字は、適当に図表化して示すなり、ときには絵にして示すなりするとよいでしょう。
⑼ それぞれの段落に適当な小見出しをつけたり、必要な部分に点や線を与えたりしますと、いっそう読みやすくなります。小見出しは人々の注意を引き、内容のあらましがわかるようなものであることがたいせつです。
⑽ 会話の文のところは、地の文とは切り離して、特別の段落にします。
段落に分ける目的
⑴句読点の一つの方法として、一まとまりの考えの初めと終わりを読み手に明示するために用いられます。
⑵読み手をうんざりさせないために、文の配列の単調さに変化を与える目的で用いられます。
⑶ 自分の考えを説明し、解明し、強調する表現方法として考え出されています。
段落の分け方
もともと文章はいろいろなジャンルに分かれていますし、段落の用い方も一律ではありません。しかし、一般的に考えますと、つぎのようなジャンルのばあいには、文章は当然段落に分けられなければならないでしょう。
⑴ 小説や物語では、出来事(事件)や場所や動作や人物とその会話とを変えるときに、段落が変えられます。
⑵ 感想文では、気分や見地や立場や対象を変えるときに、段落がかえられます。
⑶ 説明文では、新しい考えや新しい対象や新しい段階へ移るときに、段落がかえられます。
⑷会話文では、話し手が変わるときに、段落が変えられます。
⑸論説文では、新しい論点へ移るときに、段落が変えられます。
⑹ある段落の考えと次の段落の考えとの間に飛躍がありすぎて前後の段落の橋渡しが必要なときに、橋渡しの段落が用いられます。
⑺あまり長い叙述(多くの文の集まり)のために読みにくいと思われるとき、適当に段落にくぎられます。