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ユラーナ Ulana - A bridge between Japan and Overseas Countries

龍神由美のブログ。江戸の面影を残す川越に、先祖代々300年住んでいます。私の川越暮らしを綴ります。

干天の慈雨

2010年09月08日 | 日本語
猛暑続きでしたが、本日は、台風の影響でやっと雨が降ってくれましたね。まさに、「干天の慈雨」ですね。

広辞苑で「干天の慈雨」を引くと、「ひでりの時に降るありがたい雨。苦しい時の救いや待ち望んでいたことの実現にいう」とありました。

私たち人間にとっても、ありがたい雨となりましたが、からからに乾いた大地にとってもありがたい雨となったことでしょう。

亡き伯父が、入院中、ベッドから窓の外を眺めて、「あのビルの屋上にいるカラスや鳩はどんなに暑いことだろうかと思うよ」と言ったことがあります。伯父は、屋上の鳥のことまで心配していたのです。

すべての自然にとってありがたい雨となりました。雨は、あらゆるものを浄化してくれます。

先ほどから、自分の家の母屋の屋根の向こうの電線に、一羽の鳩がずっととまっています。伯父からの言付けを伝えに来てくれたのでしょうか。


ユラーナ
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不思議な日本語「いらっしゃいませ、こんにちは!」

2010年07月31日 | 日本語
最近、チェーン店の飲食店に入って気になる言葉があります。「いらっしゃいませ、こんにちは!」という言葉。ちょっと前に、アメリカ系のチェーンコーヒー店に入ると、「こんにちは!」と言われて、客である私は、むっとしました。英語のHello!の訳だったのでしょうか。

(あくまで推測でしかないのですが)、それが不適切だという指摘を受けて、「いらっしゃいませ」を前につけて「いらっしゃいませ、こんにちは!」という挨拶が生まれたのではないか、と私は想像しています。

それを言っている店員さんを観察していると、入ってくるお客を見ることもなく、作業しながら、オウムのように言葉を発していました。会社のマニュアル通りに音を発しているようです。(昔、大学の言語学の試験で「オウムの発する音は言語を言えるか?」という質問があり、悩んだ私は、「言語ではない」という結論から始め、論文形式の試験で合格した記憶があります。)

近頃の調剤薬局では、どこに行っても、「こんにちは!」と言われます。病院が、患者に対して「いらっしゃいませ」というのは、おかしいとしても、薬局では、「いらっしゃいませ」でよいのではないでしょうか。患者は、お金を払う客なのですから。「こんにちは!」と言われて、「こんにちは!」と返しているのは、子供くらいなものです。大人は、皆、無言です。調剤薬局でも、「いらっしゃいませ、こんにちは!」が流行り出しそうな、嫌な予感がします。

お金を払う客に対しては、「いらっしゃいませ」でよいのではないでしょうか。あまり、外国かぶれしないで欲しいと思います。

川越の老舗では、「いらっしゃいませ」ではなく、「いらっしゃいまし」と言う所もあります。「ませ」は、東京・山の手の言葉であり、「まし」は、川越の言葉だそうです。落語は、下町の様子を描いていますが、やはり、語尾は「まし」ですね。江戸が出来た頃、川越の言葉が、江戸の下町に伝わっていった、ということを聞いたことがあります。(徳川家康が江戸城に入った頃は、江戸は、まだ、町としては成立しておらず、川越の方がずっと町として成立していた、という事実もありますので、この言葉の伝わり方は、違っていないように思います。)

いずれにせよ、「いらっしゃいませ、こんにちは!」は止めて欲しいなぁ、と思う私です。


ユラーナ
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「ビジネスパーソンのための本格的なスピーチ術セミナー」

2010年06月16日 | 日本語
埼玉県後援の上記のセミナーに参加してみました。全部で4回の講座です。先生は、エフエム浦和のパーソナリティーを務めていらっしゃる素敵な女性の先生です。

初回は、1分間の自己紹介を行いました。ビデオで撮影していただいたのですが、自分の姿を映像で見るととても恥ずかしいです。声はほとんど前に出ておらず、体の中心は曲がっており、顔も傾いている・・・

2008年8月にNHKの「ラジオ深夜便」の「こころの時代」という番組の公開収録が川越でありましたが、その際、私は、「川越今昔ものかたり~江戸の母 川越~」というタイトルで1時間の講演をさせていただきました。そのときも、そんな感じであったのでしょうか・・ショックですね。会場でお聞きいただいた方や、9月の放送をお聴きになった多くの方から、「女講談師みたいだった」、という嬉しいような、嬉しくないようなお言葉を頂戴したのですが、実際はどうだったのでしょう。

スピーチ術セミナー2回目に学んだことは、「言葉には音色がある」ということでした。相手に思いを伝えたいときには、特に、言葉の音色に注意して発声すべであると。例えば、「暑い」「寒い」「固い」「柔らかい」「甘い」「辛い」「丸い」と言った言葉であれば、言葉の音色を考えながら話すと、聞いている相手の捉え方が変わってくるそうです。

言われてみればそうですね。「暑い」というときに暑さをイメージしながら言えば、暑さは伝わることしょう。(逆に、イメージせずに発すれば、相手に伝わらないということですね。)「固い」とイメージすれば、固さが、「柔らかい」をイメージすれば、相手に柔らかさが届くというのは、本当のような気がしました。

「じっくりと」という言葉を発するときには、いかにも「じっくりと」を発し、「リラックスして」と言うときには、本当に「リラックスした」感じで発する。言われてみれば、当たり前のようですが、こういうことは、どこでも習ったことがなかったように思います。

母国語である日本語をいかに無造作に発声していたかを、実感させられた日でした。英語を話すのは、とても大変ですが、書いてある日本語の原稿を読むことでさえ、どれほどむずかしいことであるのか、突き付けられました。アナウンサーの話す日本語を普通に聴いていますが、自分で原稿を読むのは至難の業です。言葉は、書くことも、発することも、つくづくむずかしいですね。


ユラーナ
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「いただく」と「くださる」の使い方

2010年06月06日 | 日本語
さらに昨日の続きです。文化庁の「敬語の指針」からの抜粋をご案内いたします。私は、いつも「いただく」と「くださる」の使い方に不安を感じていました。下記をお読みいただくと、「いただく」は謙譲語、「くださる」は尊敬語であることがおわかりになると思います。結論としては、どちらを用いても、同じような意味合いのようです。


文化庁HP「敬語の指針」より

「いただく」と「くださる」の使い方の問題

【質問17】いつも、「御利用いただきましてありがとうございます。」と言ったり、書いたりしているのだが、「御利用くださいまして」の方が良いのだろうか。どちらが適切なのだろうか。


【解説1】「御利用いただく」は謙譲語Ⅰ、「御利用くださる」は尊敬語である。つまり、「(自分側が相手側や第三者に)御利用いただく」、「(相手側や第三者が)御利用くださる」という基本的な違いがある。しかし、立てるべき対象は、どちらも同じであり、また、恩恵を受けるという認識を表す点も同様であるため、どちらの言い方も適切に敬語が用いられているものである。


【解説2】謙譲語Ⅰの「御利用いただく」の使い方には、問題があると感じている人たちもいる。その理由としては、「利用する」のは相手側や第三者なのだから、尊敬語である「御利用くださる」を使うべきだということなどが挙げられているようである。しかし、「御利用いただく」は、「私はあなたが利用したことを(私の利益になることだと感じ)有り難く思う」という意味を持った敬語である。「利用する」のは相手側や第三者、「御利用いただく」のは自分側、という点がやや理解されにくい敬語であるが、自分側の立場から相手側や第三者の行為を表現した敬語であり、敬語の慣用的な用法として特に問題があるわけではない。ただ、このような「いただく」の用法に対しては、その受け止め方に個人差があり、不適切な用法だと感じている人たちもいる。

また、「御利用いただきまして…」と「御利用くださいまして…」のどちらが適切か、どちらが丁寧か、という判断や感じ方についても個人差が大きいようであるが、基本的には、どちらもほぼ同じように使える敬語だと言ってよい。
(以上、文化庁の「敬語の指針」より抜粋)


私は、自分の出版した「川越今昔ものかたり」の中で、すべの章を「皆さま、ようこそ川越にお越しくださいました」で書き始めました。「ようこそ川越にお越しいただきました」の方がよかったのかも、という不安がありましたが、文化庁の指針によれば、どちらでもよいことになり、ちょっと安心いたしました。

ユラーナ
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「あなた」という日本語

2010年06月05日 | 日本語
昨日の続きです。文化庁のHPにある「敬語の指針」からの抜粋をご紹介します。知り合って間もない年下の方から「あなた」と呼ばれて、とても違和感を覚えたことのある私ですが、何故そう感じたのかの説明が「敬語の指針」にありました。川越では、年下の方に対しても、「あなた」という言い方はせず、名前を呼ぶのが一般的かと思います。東京の女性は、一定のグループ内では、お互いを「あなた」と呼び合っている方もいらっしゃるようにみえますが、いかがでしょう?

文化庁HP「敬語の指針」より

【質問20】会議の司会をしている時に、1年先輩の同僚に、「あなたはどう考えますか。」と言ったのだが、違和感を覚えた。「あなた」という呼び方については、どう考えれば良いのだろうか。


【解説1】「あなた」は、本来は遠くを指し示す「あなた(彼方)」という言葉から生じ、敬意の高い敬語であった。しかし、現在では、年齢や立場が同等、あるいは下位にある人に対して使うことが一般的となっており、上位者に対しては用いにくくなっている。また、相手の名前を示さずに呼ぶことで、中立的な表現となる反面、やや冷たい響きが感じられると言える。したがって、先輩に対する呼び方としては、適切だとは言えないだろう。


【解説2】「あなた」には【解説1】で述べたような性質があることを考慮すれば、名前を知っている相手に対しては名前を呼ぶことによって、名前を知らない相手に対してはその人の動作などに敬語を使うことによって、「あなた」を使わないようにすることもできる。例えば、「あなたはどう考えますか。」ではなく、「佐藤さんはどう考えますか。」、「お考えをお聞かせください。」などという言い方である。

一方、「あなた」には中立的な語感があることから、例えば、会議の席上や授業中、あるいは面接試験などでは、比較的多く用いられている。「話し手」と「聞き手」の双方が、お互いにその点を理解しているのなら、「あなた」を使っても、特に問題はないだろう。なお、夫婦間の会話などでは、中立的な語感から離れて、親しみのある言葉として用いられている。
(以上、「敬語の指針」からの抜粋)

皆さんは、これをお読みになってどうお感じになりますか?私は、「あなた」という表現を年下の方にも使わないように思います。やはり、名前をお呼びするような気がします。英語だと全部、You で済んでしまうので便利ですが。


ユラーナ
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