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ユラーナ Ulana - A bridge between Japan and Overseas Countries

龍神由美のブログ。江戸の面影を残す川越に、先祖代々300年住んでいます。私の川越暮らしを綴ります。

「ご苦労様」という日本語

2010年06月04日 | 日本語
昨日ご紹介した「日本人の知らない日本語」というコミックエッセイに、「文化庁のHPに『敬語の指針』という答申が載っている」と書いてあったので見てみました。全部で82ページもある大作です。その中に、以前から気になっていた「ご苦労様でした」という表現について記載がありましたので、ご紹介いたします。

私の知っている秘書が、外出して帰って来た上司に対して「ご苦労様でした」と言ったので、私は、とても驚いたことがあります。以下、ご参考になれば幸いです。


文化庁HP「敬語の指針」から

「ねぎらい」と「褒め」の問題

【質問27】時間外に仕事を教えてくれた上司に「どうも御苦労様でした。」と言ったら、「御苦労様はないだろう。」と笑われてしまった。それで、書類作成に追われた上司が帰る時には「御苦労様」以外の言い方を考えてみたのだが、適切な表現が浮かばず、そのままになってしまった。そういう気持ちを表したい場合には、どうすれば良いのだろうか。

【解説1】仕事について教えてくれた上司に対しては、「どうもありがとうございました。(大変助かりました。)」と感謝の表現にすれば良い。また、書類作成に追われた上司に対しては、「(本当に)お疲れ様でございました。」などと言えば良いだろう。

【解説2】「御苦労様」は、基本的には、自分側のために仕事をしてくれた人、例えば、配達をしてくれた店員などに対して、「ねぎらい」の気持ちを込めて用いる表現である。(なお、このような場合に「お疲れ様」と言うのは不自然である。)ねぎらいは、上位者から下位者に向けたものとなるため、目上の人に対しては、「御苦労様(でした)」を用いない方が良い。

これに対し、「お疲れ様」は、「ねぎらい」の気持ちを込めて使われる表現ではあるが、一緒に仕事をした後など、お互いに声を掛け合うような場合にも多く用いる表現である。(なお、このような場合に「御苦労様」と言うのは不自然である。)そのような状況であれば、「お疲れ様」ではなく「お疲れ様でございました」などを用いるというような丁寧な言い方であれば、だれに対しても使える表現である。

したがって、仕事上の上司であっても使うことができる。要するに、時間外に仕事を教えてくれた上司に対しては、「御苦労様でした」というねぎらいの言葉ではなく、「ありがとうございました」と感謝の気持ちを表す言い方に変えた方が良く、一緒に書類作成に追われていた上司に対しては、「お疲れ様でございました」と、気持ちを込めて表現すれば良いわけである。ただし、このような定型的な表現ではなく、例えば「おかげ様で仕事が少し分かるようになってきました。」などと、別の観点に立った表現を使うことで、上手に自分の気持ちを相手に伝えることも可能である。
(以上、「敬語の指針」より抜粋)


この他、敬語の使い方の様々な用例が載っていますので、ご関心のおありの方は、是非、ご覧ください。私は、配達してくれる方に対しても、「ご苦労様でした」ではなく、「お世話様でした」を使うようにしています。


ユラーナ
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「日本人の知らない日本語」 続き

2010年06月03日 | 日本語
あまりにも、このコミックエッセイが面白いので、もう少し、中身をご紹介したいと思います。





日本人が何気なく使い分けている丁寧語の「お」と「ご」ですが、どちらをつけるかには、法則があるそうです。基本的に、「お」は和語、「ご」は漢語につくそうです。和語の例ですと「お風呂」「お手紙」。漢語(中国から入って来た言葉)だと「ご住所」「ご連絡」。

「お」がつくと女性的でやわらかい感じがするのは、「お」は古くから女性が多く使っていたからだとのこと。「お」を女性言葉として定着させたのは、室町時代の宮中の女房。

「お」が大好きだった女房たちは、「『屁』なんて下品!」として、「鳴らす」に「お」をつけて「おなら」にし、「田楽」は、「おでん」にし、水は「おひや」、「殻」は「おから」など「お」のつく言葉を大量生産したと言います。着物の帯結びの「お太鼓」も「お太鼓結び」のことで、打つ太鼓のことではないですね。

この室町の女房たちは、「もじ」という言葉もとても気に入っていて、「杓子」を「しゃもじ」にしてしまったとか。かつらは「かもじ」、ゆかたは「ゆもじ」へと。(これらの言葉は、もう使われていませんね。)「ひもじい」や「ほのじ(惚の字)」も「もじ化」した結果だとか。それが庶民にまで広まったのは、江戸時代に、理想の女性になるためのノウハウ本「女重宝記(おんなちょうほうき)がベストセラーになり、「セレブはこんな言葉を使っている」と紹介されたからだそうです。

言葉は、本当に変化するのですね。広辞苑には書かれていない日本語の語源を紹介するサイトとして、語源由来事典というサイトがあります。今月6月は、水無月ですが、その語源を読むのも面白いかと思います。


ユラーナ


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コミックエッセイ「日本人の知らない日本語」

2010年06月02日 | 日本語
「日本人の知らない日本語」という2巻のコミックに出会いました。






外国人の方が、日本語を日本語学校で学習する様子が描かれていて、読み終わるまでに、途中何度も吹き出してしまいました。

日本語学校には、いろいろな国の方がいらっしゃるようですが、多くの方が忍者に惹かれている模様。あるとき、先生は、「『スッパ抜く』のスッパって何ですか?」とスウェーデン人の女性に訊かれます。先生は、宿題として持ち帰り、調べると、「スッパとは、『透破』または『素破』。戦国大名が抱えていた忍者のこと。忍者=透破が、素早く情報を手に入れるさまから『スッパ抜く』と言われるようになった」と知り、学生に教え、忍者好きの学生は大喜び、と言った様子が面白おかしく描かれています。(勉強になるなぁ・・)

また、「何故、緑色の信号を青信号と言うのか?」という質問には、「元々、青は、寒色全体を指す言葉だったから」と説明。では、緑は何だったかというと、元々は色の名前ではなく、「新芽」「若々しい」といった意味の言葉だったと解説。故に「みどりの黒髪」という表現や赤ちゃんのことを「みどり児」と呼んだりするようになった、と書かれています。(本当に勉強になるなぁ・・・)

以前勤めていた会社でドイツ人が日本語を勉強しているときに、漢字を覚えるのに相当苦労していました。例えば「様」という漢字を覚えるのに、「Tree『木』があって、Sheep『羊』がいてWater『水』を書く」という風に覚えていました。うまくその3つが適切な場所に収まればいいのですが、全然、違う場所になってしまうと、「一体何の字だ?」ということもありました。「君たちは、日本語を勉強しなくてよくて、本当に幸せだね」と言われました。(一応、学校で国語は勉強しましたが)そのときに、本当にそうだなぁ、と思いました。こんな風に漢字を覚えていたら、果てしない時間がかかりますね、日本語習得。

英語の習得も大変ですが、外国人にとって、日本語の習得は、とても大変そうです。しかし、学校で、システマティックに文法を勉強された方は、日本人に敬語の使い方を教える程になっているようですから、日本人も日本語、がんばらないと!

母国に帰っても、タクシーのドアが自動で開くと思ってしまい、ずっと待っているなど、外国人の方が、「日本化」することを、フランス語の新語でtatamiser(タタミゼ、畳化する)というそうです。


ユラーナ
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~していただけますか。 Could you please…

2010年03月26日 | 日本語
数年前に、会社で、書類を差し出しながら「サインしてもらってもいいですか?」と言う方がいました。私は、何を言われているのか、一瞬わからず、ぽかんとしてしまいました。少しして、「これは、私の上司にサインをもらっておいて欲しい、という意味かも」、と思い付きました。その後、段々、「~してもらっていいですか?」という日本語がはびこりました。うっかりすると、感化されてしまいそうな自分がいます。

少し前まで、「~していただけますか」という美しい日本語があったと思うのですが、この言葉はどこに行ってしまったのでしょうか。きっと日本語の学者の方は分析されていらっしゃるのでしょう。「言葉は、移ってゆくものだから、それでいいのだ」、とおっしゃる方もいるようです。それは、そうなのかもしれません。でも、私は、「~していただけますか」にこだわりたい。その方が、きれいに響くと思うのは、私だけでしょうか。もし、それが丁寧過ぎるというのであれば、「~してもらえますか」ではどうでしょうか。

英語でも、Could you please….やWould you please…という丁寧な表現があります。大学の英語の授業では、アメリカ人の教授から、「I wannaとかI’m gonnaのようなスラング(俗語)は使わないように。できるだけスタンダードの英語を話すように」と教わりました。アメリカに住んでいたときに、そういう表現をする方に当然出会いましたが、ビジネスの場では使われていなかったように思います。

また、このブログをご訪問いただけますでしょうか。Could you please visit my blog again?

ユラーナ

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