中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

ニャアニャア ミャアミャア

2006-08-17 09:43:30 | 中国のこと
 西安のある遊園地に友人の李真達と行った時のこと。観覧車の傍にいた一匹の猫が私達が通りかかると小さな声で鳴いた。私が李真に「ニャオと鳴いたね」と言うと「いえ、ミャオと鳴きました」と言う。「よく聞いてごらんよ。二ャオだよ」と言うと「いいえ、ミャオです」と李真は引かず、ひとしきり「ニャオだ」、「ミャオです」と言い合って笑ったことだった。後で中国語の辞書で調べたら、やはり猫の鳴き声として「ミャオ(口+苗 miao)」と言う文字がある。ニャオ(niao)はなかったが「ミイミイ咪咪(mimi)」と言う文字があった。これは猫の愛称にも使われるそうで、そういえば寧夏の馬軍霞が手紙に「ミイミイちゃんは元気ですか」と書いてきたことがあった
 中国語で子猫の鳴き声はどういうのかと李真に尋ねたら、やはりミャオだと言う。よく知られているように、日本語には擬音語(オノマトペ)が多いから、猫の鳴き声もニャオの他にニャアオ、ミャアオ、ミイミイ、ミャアミャアなどいろいろに表現されて、子猫の場合はやはりミイミイかミャアミャアがいいように思う。別に辞書に載っていなくても、自分で造ってもいい。我が家のミーシャは時々甘え声のようにナオーンと鳴く。蝉の声でも、ジイジイ、ミーンミーン、シャッシャッ、カナカナ、オオシツクツクなど、種類による鳴き声の違いを表現する。埼玉大学の山口仲美さんの著書「中国の蝉は何と鳴く」(日経BP社)にこんな話が紹介されている。
 彼女が北京師範大学の日本語学科の学生達に話した「日本人の好む擬音語・擬態語」と言うタイトルの講演の冒頭で、蝉の鳴き声を中国語ではどういう言葉で写すかと問いかけた。すると「学生たちの顔が、『はてな?』印に変化する。中国語には、蝉の声を写す決まった擬音語はない。だから『グァグァ』などと喉を絞めるようにして実際の声をそっくりまねている学生もい」たそうだ。蝉の種類によってミンミンなどいろいろの言葉で写すこともあると教えると、「中国の学生たちは、なぜか一斉に笑う」。
 猫の鳴き声が子猫であろうと成猫であろうと、またどんな場面であろうと「ミャオ」としか表現できなかったり、蝉の声が文字で写せないと言うのは文化の違いとは言え、やはり何か物足りない感じがする。もっとも日本に片仮名や平仮名がなかったら、言葉としては擬音はあっても、漢字ではどのように表現しただろう、万葉仮名のような工夫をしただろうかと、専門外の私はあれこれ考えてみるが分からない。
 中国語でも、牛や馬、豚や羊など身近な家畜の声を写す文字はあると聞いたことがあったように思うが具体的には知らない。根気よく辞書で探せば見つかるかも知れないが、またいつか中国の友人にでも聞いてみようかと思っている。因みに犬の鳴き声は、中国でも同じ「ワン(汪wang)」だ。