近頃、街への往復に出会う人を見て、この人も年を取ったなとか、急に老けたと感じることが多くなった。ほとんどは時折見かけるだけで、何処の誰とも知らない人だが、長い間に顔だけは知っている。ある男性は脚が悪くなったのか、杖を突き出したと思ったら急に老けこみ、今は2本の杖でよろよろと歩いている。別の男性はだんだん腰が曲がってきていたが、最近では小さな手押し車を押し、とぼとぼという感じで歩いている。あるやや派手な顔立ちの婦人は髪がほとんど白くなり顔の皺も増えた・・・・とこのように気になることが多く、それだけに感覚的には最近は短い1年も、案外長いものではないかと思ったりする。しばらく姿を見ないので消息通の人に尋ねると、ああ、亡くなったよということもあった
通りすがりの人だけではなく、隣近所のご婦人方もだいぶ年を取った。Oさんは週に何回かデイ・サービスに行くらしいし、Sさんは最近めっきり老け顔になり、物忘れも進み認知症の始まりかなどと心配されている。Cさんは転んで腰を打ったそうで、腰がひどく曲がってしまった。Uさんは杖を突いて覚束ない足取りだ。Kさんは施設に入所した。誰もがこの1年かそこらの間の変化だ。
他人のことはさておき、己自身はどうかと思う。他人に忍び寄っている老いの影は当然私だけに無縁であるはずはないのだが、そこは自分には甘く、まあそれほどではないと思ったりする。確かに最近は腰が重く歩行も老人じみているが、それも脊椎管狭窄のせいだろうと思い、そのこと自体が加齢によるものだとはなかなか直視できない。やはりまだまだ若いのだと思いたいのだろう。
毎日洗面の時に鏡で自分の顔は見るのだが、毎日見ていると急に年を取ったとは思えない。最近も、まだ艶はあるし皺も少ないなどと自惚れているうちに、ふと喉のあたりの皺に目が行った。つまんで見るとかなりたるんでいて、何か毛をむしられた老鶏のような感じだ。ここに至って嫌でも年を取ったことを思い知らされた。この話を店をやっている卒業生のI君に話すと「喉から来ると言いますね」とあっさり言われた。
70歳になる私の弟はほとんど毎日野外に出て自然観察をしているので、「君は元気だなあ」と言うと、「元気に活動できるのは75くらいまでだと言うよ」と言った。中には80、90になっても元気にスポーツなどをして話題になる人もいるが、やはり一般的には70も半ばを過ぎると急に体力が落ちてくるのだろうということは私自身のことでもよく分かる。いつも思うことだが、老いというものは、なだらかな下降線ではなく、階段、それもかなり段差のあるものを下りていくようにやってくるように思う。
近くの商業ビルのベンチで休んでいると、見知らぬ老人から声をかけられ、住まいのことなど少しばかり話を交わしたが、年を聞いてみると95歳だと言うので驚いた。声も弱く脚も弱っているようだが、奥さんを10年ほど前に亡くし、独り住まいで家事は全部しなければいけませんと言った。私よりは20歳近く年上で,あと20年も生きるとこのようになるのかと思いながら、まだまだあまり年を取ったなどと考えて後ろ向きにならないほうがいいのではないかと思った。
通りすがりの人だけではなく、隣近所のご婦人方もだいぶ年を取った。Oさんは週に何回かデイ・サービスに行くらしいし、Sさんは最近めっきり老け顔になり、物忘れも進み認知症の始まりかなどと心配されている。Cさんは転んで腰を打ったそうで、腰がひどく曲がってしまった。Uさんは杖を突いて覚束ない足取りだ。Kさんは施設に入所した。誰もがこの1年かそこらの間の変化だ。
他人のことはさておき、己自身はどうかと思う。他人に忍び寄っている老いの影は当然私だけに無縁であるはずはないのだが、そこは自分には甘く、まあそれほどではないと思ったりする。確かに最近は腰が重く歩行も老人じみているが、それも脊椎管狭窄のせいだろうと思い、そのこと自体が加齢によるものだとはなかなか直視できない。やはりまだまだ若いのだと思いたいのだろう。
毎日洗面の時に鏡で自分の顔は見るのだが、毎日見ていると急に年を取ったとは思えない。最近も、まだ艶はあるし皺も少ないなどと自惚れているうちに、ふと喉のあたりの皺に目が行った。つまんで見るとかなりたるんでいて、何か毛をむしられた老鶏のような感じだ。ここに至って嫌でも年を取ったことを思い知らされた。この話を店をやっている卒業生のI君に話すと「喉から来ると言いますね」とあっさり言われた。
70歳になる私の弟はほとんど毎日野外に出て自然観察をしているので、「君は元気だなあ」と言うと、「元気に活動できるのは75くらいまでだと言うよ」と言った。中には80、90になっても元気にスポーツなどをして話題になる人もいるが、やはり一般的には70も半ばを過ぎると急に体力が落ちてくるのだろうということは私自身のことでもよく分かる。いつも思うことだが、老いというものは、なだらかな下降線ではなく、階段、それもかなり段差のあるものを下りていくようにやってくるように思う。
近くの商業ビルのベンチで休んでいると、見知らぬ老人から声をかけられ、住まいのことなど少しばかり話を交わしたが、年を聞いてみると95歳だと言うので驚いた。声も弱く脚も弱っているようだが、奥さんを10年ほど前に亡くし、独り住まいで家事は全部しなければいけませんと言った。私よりは20歳近く年上で,あと20年も生きるとこのようになるのかと思いながら、まだまだあまり年を取ったなどと考えて後ろ向きにならないほうがいいのではないかと思った。