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第一書房巡礼行記  『わが青春期』 はじまり

2010年06月08日 22時12分12秒 | Weblog
10年前になろうか。
毎年7月に行われる東京神田の古書会館の明治古典会。
別名七夕市で、第一書房の特装版ジヤン・コクトオ著、堀口大學譯の『わが青春期』を手に取った。
普及版は紙製カバーの貧弱な装訂で、昭和11年(1936年)1月に1500部が1円50銭で刊行されたが、その特製という。
51部を局紙に刷り背革コーネル革装訂でしつらえた特別本だ。



『わが青春記』 ジヤン・コクトオ著 堀口大學譯 1936年(昭和11年)1月20日 
普及本 1500部 200×140ミリ 函 345ページ 1円50銭


だが、幾度も目にし購入に成功した第一書房の特製版とは、どこかが違う。
製本屋が、材料に革を使用し、天金を施すちょっと金をかけた装訂とは、まるっきり違うのだ。
いつもの製本担当、橋本久吉ではない、と思った。
手触りは、今でいうルリュール本の感覚に近かった。
ある本を思い出した。

1995年。
まだ、バブルの余韻が残っていた頃。
新橋の東京美術倶楽部で開かれた日本古書籍商協会創立30周年記念の古書市。
生田春月『象徴の烏賊』生原稿を製本した特別本を見た。
背コーネル革装訂の『象徴の烏賊』は、如泉堂、昆祐三製本とあった。
自殺した薄命の詩人生田春月を悼んで、第一書房社主・長谷川巳之吉が、当時の日本で出色の力量を持った製本師・昆祐三をして、完璧なルリュール本を創らせたのだ。

『紙魚地獄』で昆祐三を知ってから、初めて出現した昆祐三製本の『象徴の烏賊』。
ぜひ、買いたかった。
が、出来なかった。
予約がすでに入っていたからではない。
バブルの余韻であろうか。
古書店の提示した価格が、何と!!
何と!!

10,000,000円もしたからだ。

そんなあほな。
とお思いの皆様。
本当なんです。
古書価格は、間違いなく1000万円でした。
つづく 
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