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総革本の話 『ディラン・トマス全詩集』

2009年10月07日 00時00分58秒 | Weblog
白革装も美しい清楚な『ディラン・トマス全詩集』を紹介します。

すべてのすべてのそしてすべての乾いた世界が
II
はたらいている世界を恐れるな わが死すべきものたちよ
むらのない綜合の血を恐れるな
また 助骨をなす金属のなかの心臓をも恐れるな
踏み車を 種を入れたひき臼仕事を 恐れるな
引き金と鎌を花嫁にとっての刃(やいば)を
恋する男の手荒い行為の際の燧石を 恐れるな

ディラン・トマス(田中清太郎訳)



『ディラン・トマス全詩集』 田中清太郎 羽矢謙一訳 1967年(昭和42年)8月1日 国交社
白革装 天金 本文鳥の子 訳者識語入り 限定70部 記番 四六判 403ページ 頒価4500円


ディラン・トマスといってもあまり知らない人も多いでしょう。
彼の名は、とあるミュージシャンが拝借してから、大層有名になります。
フォーク・ロックで一世を風靡した、ロバート・アレン・ジマーマンです。
えっ?知らない?

あっ、ジマーマンは本名でした。
あまりにもさえない名前なので、好きな詩人のディラン・トマスから、ディランを取って、ボブ・ディランとしました。
そうです。
ボブ・ディランです。
ジャズの最高傑作をたった一枚選ぶとすればマイルス・ディビス「Kind of Blue」のように、ロックの最高傑作はボブ・ディランの「Like A Rolling Stone」であるというあのボブ・ディランなんです。
この曲、カラオケで歌うと曲が長いのとラップに聴こえるため顰蹙を買うのですが……。

って、ちょっと話がそれました。
まあ、それほどディラン・トマスは欧米で有名な詩人であるということです。

ディラン・トマスは、1914年に生まれのイギリス、ウェールズの詩人です。
1953年、旅先のアメリカ・ニューヨークで過度の飲酒から亡くなりました。
享年39歳。
酒毒に気をつけねばなるまいと思われる人が、私の周りにチラホラと。

ウイキペディアによれば「偉大な20世紀の詩人のうちの一人」だそうです。

『ディラン・トマス全詩集』には、20代らしき触ると壊れるような繊細な彼の姿と、過度の飲酒と不摂生がたたり肥満した晩年の別人のような中年男の写真が、最初と最後のページに皮肉っぽく掲載されています。

訳者の田中清太郎 羽矢謙一両氏、よほどこの特装本の出来が気に入ったのでしょう、ご両名とも鳥の子用紙一枚ずつを使って墨痕黒々とした識語を書いております。
が、あくまでも詩人が一番、訳者は二番。
ディラン・トマスも真っ青な過剰演出ですね。
それに、原詩が一行も紹介されていないのも片手落ちでしょう。
白革装の平に「DYLAN THOMAS COLLECTED POEMS」と空押しがされていますが、ごらんのように殆んど見えないです。
箔押し加工でも欲しかったですね。

本文に鳥の子紙を使用したため、望外に軽いのが長所です。
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3 コメント

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神霊的超訳 (ETCマンツーマン英会話)
2013-09-06 10:03:48
夜鴉亭さま、お返事ありがとうございます。

>「神霊的超訳で言語の壁を跳躍する」

これはある意味一つの発明ともいえるのかもしれませんね。あきらめずに壁に向き合う姿勢が大切なのかもしれません。
返信する
Unknown (夜鴉亭)
2013-09-06 02:06:36
ご訪問多謝!!
訳詩の難しさはオリジナルを超えられないの一点でありましょう。神霊的超訳で言語の壁を跳躍する人も希にはいますが……。ご活躍を祈念致します。
返信する
ディラン・トマス (ETCマンツーマン英会話)
2013-09-05 12:38:40
ディラン・トマスを調べていて、こちらに辿りつきました。
英米ではとても人気のある詩人なのに、日本ではあまり知られていないですね。
英語と日本語、言葉の壁でしょうか。
残念です。
言葉の壁をどうしたら超えられるか、思案中です。
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