四行詩集日乗

夜鴉亭好RUBAIYATルバイヤート限定本浮世絵草双紙
艶本読本詩集無節操無分別無目的展開
備忘録粗忽書影日記帖也

書物展望社本 大曲駒村の『川柳岡場所図』 その3色里三十三所息子巡禮

2009年12月13日 00時00分07秒 | Weblog
『色里三十三所息子巡禮(いろさとさんじゅうさんしょむすこじゅんれい)』を紹介しよう。



『色里三十三所息子巡禮』

これは、江戸時代の岡場所の案内冊子である。
4丁8ページからなり、江戸府内三十三箇所の岡場所名、蝋燭代(遊興代のこと)が簡潔に書かれている。
読み捨てにされるガイドッブクといってもいいだろう。
それだけに、伝世は稀である。





右下、27番には、深川仲丁のことが書き記されている。

廿七版 仲丁山よびだしでら 同十六丁
本尊 手が有田ふどう明王
しゃれを祐天寺人開基
四ツ明に来る客あるにかへる客
ある仲てうのかしのさんばし
御開帳銀十二匁

『色里三十三所息子巡禮』が、最初に紹介されたのは「東京新誌」(1926年、大正15年9月15日)9月号であった。
井原西鶴の復刻で有名な石川厳により、書影つきで紹介された。
彼によれば、「稀本百種の中に収めた珍品の一種」といい、大正時代にはすでに、伝世が稀であったことが窺える。

さらに、時代は下って、昭和39年。
近世文学研究家・花咲一男が出した『雑俳川柳 岡場所図絵』には、氏所有の『色里三十三所息子巡禮』が復刻添付されている。
こちらは、家蔵本と異なり一枚摺りの体裁となっている。
花咲氏によれば、『色里三十三所息子巡禮』の伝本は、氏所蔵本以外に国会図書館蔵本と上記の「東京新誌」本しかないという。

はなはだ、伝本稀であるといえよう。

今回紹介の『色里三十三所息子巡禮』、「東京新誌」、『雑俳川柳 岡場所図絵』は、いずれも古書展から拾い上げた品である。
『色里三十三所息子巡禮』は300円。
「東京新誌」は1000円。
『雑俳川柳 岡場所図絵』が3000円であった。

この3種、蒐集するのに20年近くの年月がかかっている。
最初に入手したのは、『色里三十三所息子巡禮』であった。
ぺらぺらな和紙に摺りも悪く誰も見向きもしない冊子であった。
なにかピンと来るものを感じ、価格も価格だし入手した次第。
この手の案内書の類は、かなりの数が出版されているから、またいつでも入手できるだろうと軽く考えていたら、あなた、これ以降一度も家蔵本以外、実物を見たことがない。
ベストセラー本ほど、後で入手するのは難しいものである。

『色里三十三所息子巡禮』入手10年位後に、「東京新誌」を。
さらに、10年後『雑俳川柳 岡場所図絵』を入手した。

一番最近の『雑俳川柳 岡場所図絵』が最後の入手であるというのは、価格の問題。
川柳は蒐集の範囲外であったから、値が張る本は買う気が起きなかった。
それが、ようやく買う気の出る価格3000円になったので、購入したわけである。

そして、今回の紹介に繋がる。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第一書房巡礼行記  ツルゲェ... | トップ | 町を歩こう その15 東京... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事