コエトオトからはじまる

コエトオトが発信する、発見と創造のブログですコエトオトのパフォーマンスをお見逃しなく!

日本酒「住吉」といえば・・・

2009-12-19 02:29:01 | 朗読あれこれ


こんな立派なものをいただきました。


純米大吟醸 住吉


寒仕込みで限定3000本とあります。ほぉ~っ。

どこかで「住吉」の名前をきいたことがあると思い探れば
わかりました!
井上ひさし作「会食」のなかに出てくる酒でございます。


あらすじはーーー

“わたし”は、知り合いの青年から、付き合っている彼女に結婚を承諾してもらうための
仲介役を頼まれます。
3人で会うためフランス料理屋に一席を設けたまではよかったのですが、
その日彼女は父親と一緒にやってきたのです。
古い造り酒屋の昔気質な主人と一人娘。
どうみても気まずい雰囲気の中、4人の会食ははじまるのです。


で、「住吉」の登場するシーンですがーーー

「浅倉だが・・・」
むにゃむにゃと容子さんの父親は曖昧模糊とした挨拶でわたしをむかえた。
「このたびは・・・」
むにゃむにゃとわたしの方も漠々たる挨拶をもって答えながら、北沢くんを容子さんの前に座らせ、
わたしは浅倉さんと向き合った。
給仕がきた。北沢くんが容子さんの顔色を窺いながら「ロゼワイン」と告げた。
容子さんは下を向いてナプキンを雑巾のようにしぼっている。
なにもかも父に打ち明けました。父は許してはくれませんでした。わたしにも家に対する
責任がありますし、諦めるほかないのかもしれません。
容子さんはからだ全体でそんなことを語っているようだった。
「日本酒はあるかね」
「住吉がございます」
「山形の酒だな。口惜しいが、いい酒だ。そいつをもらおうか」
「オンザロックにいたしましょうね」
「ひやでもってきてくれ」
浅倉さんはテーブルを叩いた。
「日本酒に氷は邪道です」
給仕は人影に怯えたメダカのように素速くまっすぐに厨房へ去った。
「酒というのは文化的な飲物です。文化的とはなにか。・・・・・・・」

と、頑固一徹の浅倉氏の講釈がはじまってしまいます。
そんななか、思いも寄らぬ“珍客”が4人の会食の中に入ってきて
若いふたりの運命が変わるのです・・・

講談社文庫「ナイン」のなかに収められた短~いお話ですから
読んでみてくださいませ。



さぁて、この「住吉」、
やっぱり開封は正月でしょうかねぇ。
たのしみたのしみ。