徒然なるままに~のんびり、ゆったり、こまやかに

猪突猛進型の60代。そして卵巣がんですっ転んで8年。目指すはのんびり、ゆったり、細やかな生活!無理かなー(#^.^#)

ほっこり「久隅守景」展@サントリー美術館

2015-11-02 21:39:36 | 美術展から
目覚めたら雨!
よし、今日だ!

何が今日かと言えば、
サントリー美術館で開催されている
「久隅守景」展に行くこと。

あの京都国立博物館での
140分待ちのトラウマはいまだ癒えず、
何とか待ち時間なしでゆっくり観たい一心。

夫ともこの点では息が合った。

10時開館に合わせて準備万端。
なんといっても、昨日は予習までした・・。
というのは少し大げさ。
たまたまEテレの「日曜美術館」で
久隅守景を取り上げていて、それを見ただけのこと。

ちらしでもわかるように地味-な感じ。
この人が狩野派なんて信じられないほど。

私の狩野派のイメージがどうしても権力に近い
立派なきらびやかさというもので
塗り固められているからかもしれない。

でも、友人から「四季耕作図屏風」には
子どもも描かれていると聞いた。
ふーん、狩野派の流れをくむ人が
どんな風に描いているのかなという興味もあった。

開館直後の10時5分に到着。
予想通り、まだ人影はまばら。
でも、まわりはほぼ全員団塊世代と思われた。

月曜日のこの時間、
おまけにかなり本降りの今日ということになれば
ここに来られる年代はおのずと限定される。
団塊世代以上の方々には足元が悪すぎるし、
その世代以下は働きざかりだから。

などとつらつら思いながら、入場した。



そして思ったこと・・・・。
それは「まるいなあー」ということ。

山水図って、もっと険しいイメージだった。
でも、守景の画はまろやか。
山も日本の山。つまりまろやかな曲線。

まずそれで、ホッとした。
山水画で無彩色なのに
なんだか温かい感じがじわじわ湧いてくる。

そしてちょっぴり期待していた四季耕作図屏風。
普通四季は画面の右から左へ流れていく。
実際、守景の師匠の狩野探幽の四季耕作図屏風は
右から左に流れていっていた。

でも、そのあとに展示されている守景のものは
左から右に春夏秋冬と流れる。
言わば正反対の構図。

へええ、狩野派というがっちりした流派のなかで
正反対の構図でいくとは凄い!
そう思った。

そして、子どもを含めた人々や動物たちは
農村の四季風景の中に柔らかく、
柔らかいけれど動きをもって描かれている。

江戸時代の安定した時期だからだろうか、
農作に精出しているのだけれど、何か余裕がある。

子どもの描かれ方も、
母親にまとわりついている構図もあって、
とても自然な母と子の姿だった。

猿回しを楽しむ風景、犬の喧嘩風景、
どれをとっても自然体。

江戸時代の農民というと、
私などは厳しい年貢の取り立て、
凶作などに喘いでいるというイメージがこびりついている。
だから農民一揆も起こったなんて思ったり・・・。

でも、そういう時はあっても、
人々は日々の暮らしを楽しむことを知っていたんだという発見。
それは、守景の眼差しかもしれないけれど、
どんな時代にあっても、市井の人々は日々の暮らしの中に
楽しみや面白みを見つけて生きていたのだと思わされた。

その真骨頂を表わしたものが、
守景の代表作とされる「納涼図屏風」。
これは国宝。つまり私たちの宝ということだ。
が、恥ずかしながら私は知らなかった。

この「納涼図屏風」に関しては言い古されているけれど、
こんな風に農民と思われる家族が、
夕涼みの時間を楽しんでいるっていうのが新鮮。

狩野派の四天王と言われながら、
様々の事情で狩野派を去ったという。
しかしその後ろ盾を失っても、
いや、もしかしたら失ったからこそ
守景らしいのびやかな作風に磨きがかかったのかもしれない。

今回は「守景の子どもたち」ということで
息子久隅彦十郎と娘清原幸信の作品も展示されている。

息子彦十郎の画は佐渡に流されているときに描かれたものという。
また、娘幸信の画は当時は売れたのではないかと思わされる
精緻さを持っている。
でも、二人に守景の画のもつ温かさはない。

守景のことは作品が残っている割には
人物やその周辺については、今だ謎の部分が多いという。

でも、絵師としての眼差しは温かいというのが、私の印象。

この前期の展示には
きらびやかな色彩を放つものはほとんどなかったが、
出口に立った時、心がほっこり温かくなるのを感じた。

この展示、11月5日には入れ替えられるという。

全く、美術音痴を生きてきた私には、
今になって、こういう楽しみが与えられている。

絵って不思議だなってまたまた思う一日でした。







最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。