林間教育通信(「東大式個別ゼミ」改め「シリウス英語個別塾」)

私立中高一貫校生徒を対象とする英語個別指導塾。小田急線の東林間駅(相模大野と中央林間の隣駅)から徒歩3分。

情報化時代に正しい学習法や辞書選びが普及しないのはなぜだろう?

2011年03月06日 | 英語学習
世の中はインターネット時代である。あらゆる物事の知識やノウハウは、インターネットを通じてアクセスできるようになったはずである。例えば、ここ何年か私は万年筆に興味を持ち、日常的によく使ったり、購入したりしている。そういうことが簡単に可能にできるようになったのもインターネットのおかげだ。インターネットがあるからこそ、万年筆屋のおやじさんのところに通わなくても「手入れ」の仕方を学ぶことが出来るようになったのだ。「手入れ」というのは、要は、万年筆は時々洗って水につけておきなさいというだけのことだ。こんな簡単なノウハウも昔は普通の人は知り得なかったのだ。それがネット時代では至極簡単に入手可能になった。

ところが、勉強法については、何故か新しいノウハウの普及がほとんど進んでいないのに驚いてしまう。先日、浪人が決まったばかりの早稲田志望生と面接した。英語はある程度の基礎力はあるようだが、高校での英語の勉強の仕方がちょっとまずかった。というのは、英文解釈を勉強をするにあたって、分らない単語を全て調べる「作業」をしなければならなかったからだ。

語学学習にあたって、単語の意味調べ作業ほど空しくて辛いものはない。そういった作業をしたからと言って、学習者の語彙が豊富になるというわけでもないのだ。どうしても止むを得ない時、例えば、どうしても読みたい文章があるが、単語解説がないという時だけ、単語の意味調べをすればよい。勉強のエネルギーは、音読や多読・多聴のような、本当の語学学習にとっておきたいものである。

単語調べなどは英語学習にはほぼ無意味だというのは、もはや常識ではないのか。そう言いたいところだ。しかし、現実にはまだまだ少数派のようである。相変わらず、単語調べや和訳といった作業が、高校英語の中心になってしまっているようである。なぜなのだろうか?

単語調べが今なお英語学習の主流になっているの理由は想像がつく。一つには、高校の英語の先生が、生徒へのサービスをサボりたいからである。先生が自分で単語の意味を調べたり、生徒に出す宿題を考える手間を省くことができるからである。それに、生徒の成績をつけやすい、つまり生徒管理しやすいといったメリットもあるだろう。

しかし、理由はそれだけではない。どうやら、英単語の意味調べのような単調な作業が有意義であると信じている先生や英語学習者がまだまだ存在しているようなのである。インターネット情報化時代にとても不思議だ。だが、これが現実なのだ。


ところで先日、『ジーニアス英和辞典』のような英和辞典は、普通の中堅進学校の生徒には難しすぎると言った文章を書いたのだが、「高校生」「英和辞典」とインターネットで検索してみると、「高校生には『ジーニアス英和辞典』が最適です」といったケシカラン投稿記事ばかりでできてしまうのだ。なかには英語を教えている人ですら、そういう見解を支持してしまうのは、呆れるばかりである。

実は、英語辞書に関する適切な情報はすでに発信されているのである。たとえば、以前にも紹介したが、電子辞書にも詳しい沖縄大学の関山准教授のものである。三省堂のHPにある一連の記事も非常に参考になるし、写真も参照してもらいたい。

「情報量の制約こそが冊子辞書のメリット」「情報を増やす以上に減らす勇気を」といった文章もあって、私としては非常に喜ばしい。しかし、こういう専門家の声は、大多数の英語学習者や英語教師に届いていないようなのだ。適当な検索語をGoogleしても、関山先生の文章には到達しない。むしろ、私のブログのほうが先に検索されてしまうくらいなのだ。なぜなのか??? 

「基礎が大事だ」とか「無理に背伸びするな」といったことは、ごくごく当たり前の学習法の基本なのに、なぜ普及しないのか? 不思議だが、これが現代日本の英語学習状況なのである。


P.S. 関山の記述を読むと、『ビーコン英和』が初心者には良いようである。amazonでチェックしてみると、2008年と新しい。また中古だと1000円未満で購入できるようだ。これから入塾する中高生には、この辞書を勧めることを検討してみようと思う。

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