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ビットコインETF、機関投資家1千社保有 米年金も参入

2024-05-31 22:28:07 | 世界経済と金融


ビットコイン価格は堅調に推移する

 

代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコインの現物を組み入れた上場投資信託(ETF)を保有する機関投資家が3月末時点で995社に達することが分かった。

米ミレニアム・マネジメントなどヘッジファンドのほか、長期運用の年金基金も参入。

 

29日には米ブラックロックのETFが世界最大の仮想通貨ファンドとなった。株式や債券とは値動きの相関性が低くインフレに強い資産として需要を取り込みつつある。

ビットコインは3月に最高値(7万3000ドル台)を突破した後、7万ドルを挟んで堅調に推移する。

 

背景にあるのは機関投資家マネーの流入だ。

1月に米証券取引委員会(SEC)が11本のビットコインの現物ETFを承認したことで、機関投資家マネーの受け皿になった。

 

 

米国では総額1億ドル(約150億円)以上の株式やETFを保有する機関投資家は四半期ごとに米証券取引委員会(SEC)に保有銘柄の一覧を提出する義務がある。

報告書は「フォーム13F」と呼ばれる。

 

15日までに開示されたフォーム13Fの内容をQUICK・ファクトセットのデータを基に日本経済新聞社が集計したところ、3月末時点のビットコイン現物ETFの保有が判明した機関投資家は995社で、保有額は純資産残高全体の2割以上にあたる137億ドルだった。保有額は各ETFの基準価額とファンドごとの保有口数から算出した。

保有比率が最も大きい投資家がヘッジファンドで、今回判明した機関投資家の保有額全体の4割を占める。

最も多く保有するミレニアム・マネジメントのほか、米ショーンフェルド・ストラテジック・アドバイザーズといった名前が並ぶ。続いて多いのが、富裕層など個人向けに資産運用助言をする登録投資顧問業者(RIA)で2割だった。

 

米運用会社ホライゾン・キネティクスの子会社、米ホライゾン・アセット・マネジメントは9.7億ドルを保有する。

ホライゾン・キネティクスのマレー・スタール会長は「インフレへの対抗力においてビットコインは債券より優れているとの結論に市場が達した時、ビットコインのリターンは驚異的なものとなる」との見方を示す。

 

投機マネーだけでなく、中長期の運用を基本とする年金基金やプライベートエクイティ(PE=未公開株)ファンドの購入も明らかになった。

公的年金などを管理する米ウィスコンシン州投資委員会は、1.6億ドルを保有する。

 

同委員会は交換業大手コインベース・グローバルや、企業向けソフトウエアメーカーでビットコインを大量保有するマイクロストラテジーといった暗号資産関連株にも投資していた。

ウィスコンシン州投資委員会は日本経済新聞の取材に「ノーコメント」と回答した。

 

 

機関投資家マネーがビットコインに入り始めたのは20年から21年にかけてだ。当時は新型コロナウイルスに伴う経済悪化を防ぐため、世界の中央銀行が金融緩和を実施。

株式だけでなくビットコインにも資金があふれ、米保険会社マスミューチュアルなどが運用資産の一部をビットコインに振り向けた。

 

手数料の安いETF登場で機関投資家が投資しやすくなり、資金流入が加速した。

ブラックロックが運用するETF「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」は29日に純資産総額が196億ドルに達し、先駆者である米グレースケール・インベストメンツのETFを抜き、世界最大になった。

 

機関投資家がビットコインに投資する理由は2つある。一つが株式や債券との相関性が低い代替資産としての投資だ。

ビットコインは設計上、発行総量に上限があり、埋蔵量が限られる金に似る。米商品先物取引委員会(CFTC)はビットコインを商品と定義し、「デジタルゴールド」とも呼ばれる。

 

アーク・インベストメント・マネジメントを率いるキャシー・ウッド氏は「インフレ回避の資産として運用資産の一部に組み入れる動きが広がっている」と指摘する。

もう一つがWeb3(ウェブスリー)といわれる次世代インターネット産業の成長の取り込みだ。米フランクリン・テンプルトンによれば、純収益100億ドルを達成するためにかかった年数は米アルファベットが4.5年、セールスフォースが11年に対し、ビットコインに次ぐ時価総額を持つ仮想通貨イーサリアムプロジェクトは7年。

 

仮想通貨時価総額の約半分を占めるビットコインを保有することで、「分散型ネットワーク市場の成長を享受できる」との期待がある。

英コインシェアーズの4月の機関投資家調査では、2月調査で1.3%だった資産配分におけるデジタル資産の比率は3%に上昇し、21年の調査開始以降で最高となった。

 

ビットコインの現物ETFを提供するフィデリティ・インベスメンツの関連会社である英フィデリティ・インターナショナルでデジタル資産を担当するジゼル・ライ氏は「アジアや欧州でも機関投資家による問い合わせが増えている」と明かす。

もっとも、日本では機関投資家によるビットコイン投資は広がっていない。大手仮想通貨交換業ビットフライヤー(東京・港)の金光碧執行役員は「デジタル資産は会計・税務上の論点が発生する点が投資の壁になってきた。

 

今後は日本でもETF上場解禁に向けた議論が活発化するだろう」と指摘する。

(河井優香、篠崎健太、竹内弘文)

 

 
 
 
日経記事2024.05.31より引用

 

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建国後の合衆国-20 職業政治集団の形成

2024-05-31 20:48:52 | ヨーロッパ・ロシア・中東・アメリカ全般、歴史・文化・食文化・芸術・建築

建国後の合衆国-19   政党制度の出現 好感情の時代https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/018a91cbff03ab84edcb296dc32822ab
からの続き

 

 

職業政治集団の形成

ヴァン・ビューレンはこの党派抗争の中で、最初バックテイルと呼ばれ、後にオルバニー・リージェンシーと呼ばれるようになる鉄の規律をもった職業政治家集団を創り上げました。

その組織固めのための『飴と鞭』となったのが、スポイルズ・ソステムと呼ばれる猟官制度です。

ニューヨーク州の任命制の公職は、州兵の将校、判事、治安判事、郡書記官、保安官、収入役、検屍官、その他の小役人まで加えると、その数は最も多いときには約一万五千人にも達しました。

建国期には、任命権限の知事への集中を制限する制度が創られました。 そかし、党派抗争の中で事実上の任命権限の集中が進み、州議会を支配した党派の指導者が、各郡の党員たちに地元の公職を配分するようになりました。

 

そして、このような猟官者こそ、選挙の時の大衆動員のための最大の戦力となりました。

彼らは、全くの無産者ではなく、政治的野心と才覚に富む人々でしたが、建国期の政治指導者とは、人間的資質と社会的出自をまったく異にする人々でした。

かつての名望家政治を担った人々にとって、政治は少なくとも建前上は、『自然の貴族』たちの公共への奉仕であり、社会的義務でした。

しかし、新しい多くの活動家たちにとって、政治は出世の機会であり、もっと端的に言えば、金儲けの手段でした。

 

彼らを統制し指導していくためには、彼らの野心を理解するだけでなく、それに心から共感できる資質が必要でした。

これは、ジェファソンやジョン・アダムズのような人々には困難な仕事であり、むしろ生まれは決して良くないが、自らの才覚と人々の信頼を得て独力で立身出生した「セルフメイドマン」の仕事でした。

旅籠(はたご)という接客業の亭主の息子に生まれ、永年の弁護士業と州政治で修業を積んだマーティン・ヴァン・ビューレンこそ、この仕事に最適の人物でした。

 

彼は他人に命令する生活習慣を持たず、堂々たる恰幅(かっぷく)や優雅さもなく、鋭い知性の持ち主でしたが、人目を引くような華麗な才気を誇示する男ではありませんでした。

彼は親しみのある説得調で演説し、他人の強さと弱さを理解し、妥協と協調の精神に富み、ホフスタッターによれば、今日よく見かけるような、アメリカの郡裁判所や田舎の居酒屋での人間的出会いを楽しむことの出来る政治家でした。

20世紀アメリカ政治にみられる最も典型的な政治家であり、あたかもスポーツをするかのごとくに政治闘争を実践する能力の持ち主でした。

 

リージェンシーの指導者の一人で、州知事を三期務めた後、国防長官、国務長官を歴任したウィリアム・マーシーの次の言葉ほど、彼らの政治文化をよく示す言葉はありません。

アメリカの政治家は、「勝利を求めて闘っているとき、その成果を享受しようとする自分たちの目的を是認する。 もし敗れれば公職から退くことを予期し、もし勝てば、当然のこととして勝利の役得を要求する。 彼らは敵のスポイルズ(獲物)が勝者の者になるということを、原則として悪いとは思わない」。

アメリカの二大政党制度は、このような考えを公言する新しい私的利害追及集団によって形成されることになった。

彼らにとって、政府の公職だけでなく、株式会社設立特許状、都市政府が発行する居酒屋・食料品店などの営業許可権限など、すべてスポイルズでありました。

 

 

 

(関連情報)

1. 建国後の合衆国-1 ジャクソン大統領による土地強奪
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2. 建国後の合衆国ー2 メキシコ領土獲得戦争
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3. 建国後の合衆国ー3  有料道路建設https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f7732681a17552137e8e825d693d70bc

4. 建国後の合衆国-4  大運河建設ブームhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5a8e291c0bbcae626aa9c16566cf0b1b

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11.  建国後の合衆国ー11  南部奴隷制社会 綿花王国の形成
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13. 建国後の合衆国ー13 南部奴隷社会 黒人奴隷の家族https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f641aafdfca84d2c422a977033cccfa8

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15. 建国後の合衆国ー15 女の領域https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b011ff116289118297da861e549bb71a

16. 建国後の合衆国-16 公立学校制度と画一教育https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e98bed7042483ab28ecfa02272604f84

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18. 建国後の合衆国-18 焼き尽くされた地域https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/ac955ecb88e338ba09a50de5d660f0ef

19. 建国後の合衆国-19   政党制度の出現 好感情の時代https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/018a91cbff03ab84edcb296dc32822ab

20. 建国後の合衆国-20 職業政治集団の形成https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/775f580510b5eec0373919a0d760ba09

 

 

PS.

・アメリカを正しく認識する 建国までの歴史概略シリーズのまとめhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/c92a98cc78bf8a2cff02eab33b4b245b

 


パワー半導体に第三極 省エネ新素材で挑むフロスフィア

2024-05-31 18:12:30 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


京大発スタートアップ、フロスフィアのクリーンルーム(写真=行友重治)

 

京都大学桂キャンパスのすぐ脇に本拠を構える京大発スタートアップ、FLOSFIA(フロスフィア、京都市)。真新しい工場のクリーンルームでは、技術者が試作品の評価に当たっていた。


人羅俊実社長は新材料でのパワー半導体の開発をけん引する(写真=行友重治)

 

同社は京大の藤田静雄名誉教授らが開発した半導体技術を生かし、省エネ性能の高いパワー半導体の開発に取り組む。

三菱重工業デンソーダイキン工業三洋化成工業などからも出資を受けており、累計調達額は42億円に上る。

 

「失敗」が生んだ第三の素材


24年にも新素材を使ったパワー半導体の量産を開始する予定で、月産200万個分の生産体制を整える。

パワー半導体の材料はこれまでシリコン(Si)が主流だったが、同社が手掛けるのは、次世代素材として注目されている酸化ガリウム(Ga2O3)の半導体だ。

 

パワー半導体は家電や産業機器、電気自動車(EV)などに使われる電子回路やモーターに、高圧で大容量の電力を最適な形で届ける「心臓」のような役割を担う。

 


新材料のパワー半導体は量産のしやすさなどが特徴だ(写真=行友重治)

 

パワー半導体の基板材料は現在主流のSiから、省エネ性能の向上につながる炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)への置き換えが進むが、Ga2O3はその先を見据えた「第三の素材」として注目される。

「目の前の課題解決のためSiCやGaNが使われているが、もっと大量に安く作れる技術が必要だ」と創業者の人羅俊実社長は訴える。

 


創業者の人羅社長(写真=行友重治)

 

 

Ga2O3の優位性はSiCやGaNよりも量産しやすく、省エネ性能も高められる点だ。

すでにデバイスレベルで電力損失がSiCの7分の1程度に下がることを確認できており、材料特性としては10分の1以下にできるポテンシャルがあるという。

 

同社が開発するGa2O3が誕生したのは、実は偶然だった。

従来は「β型」と呼ばれる結晶構造しか知られていなかったが、冒頭の藤田氏の研究室でミストを使った新たな結晶技術でGa2O3を作ろうとしていたら「失敗」し、たまたま同社が現在使う「α型」を見つけた。

 

「半導体の素材として着目されたことはほとんどなかった」(人羅社長)が、これを機に開発がスタートし、今に至っている。

発光ダイオード(LED)など産業用で使われている基板を使い、通常ガスで結晶を作る工程では水にガリウムの化合物を溶かす「ミストドライ」という新たな成膜技術を活用。安全性を高められ、安価に製造できるという。

 

価格面では中長期的に「シリコンと同等レベルに抑えたい」(人羅氏)と話す。

当初は家電や産業用から着手し、将来的にはEVなどへの供給を目指す。すでに中国のEVメーカーも視察に来ており、新たな商機を生み出すことになりそうだ。

(日経ビジネス 西岡杏=日本経済新聞社)

[日経ビジネス電子版 2024年3月25日の記事を再構成]

 

 
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ソニー半導体、3年で設備投資6500億円 過去3年比3割減

2024-05-31 18:08:49 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


事業説明会に登壇したソニーセミコンダクタソリューションズの清水氏(31日)


ソニーグループの半導体事業会社、ソニーセミコンダクタソリューションズは31日、2027年3月期までの3カ年で約6500億円の設備投資を計画していると公表した。

22〜24年3月期実績から3割程度減らす。新技術を使った製品の量産ラインの立ち上げに苦戦するなど収益性が低下するなか、投資を取捨選択して採算を改善する。

 

31日に開いた事業説明会で明らかにした。

清水照士社長兼最高経営責任者(CEO)は24年3月期までの3カ年について「投資に対する効率が悪化し、収益性の改善に課題が残った」と述べ、今後3年間は「既存資産を最大限活用し、投資はより厳選していく」とした。

 

同社はスマートフォンのカメラに使われる半導体画像センサーが主力で、24年3月期の営業利益は前の期比9%減の1935億円だった。営業利益率は12%と前の期に比べて3ポイント低下した。

熊本県合志市の新工場を4月に着工したことも明らかにした。工場の土地面積は37万平方メートル。製造装置の搬入時期は今後の画像センサーの需要拡大に合わせて判断する。足元で収益改善に努める一方で、将来の市場拡大に機動的に対応できるようにする。

 

合志市の新工場は、熊本県菊陽町にある熊本工場のほか、台湾積体電路製造(TSMC)が建設中の新工場の近くに立地している。

 


上川外相、パプアに無償資金協力表明  地滑り被害受け

2024-05-31 17:47:13 | 日本政治・外交


記者会見する上川陽子外相(31日、外務省)

 

上川陽子外相は31日の記者会見で、南太平洋のパプアニューギニアで24日に発生した地滑りの被害を受け200万ドル(およそ3億円)の緊急無償資金協力をすると発表した。

国際協力機構(JICA)を通じた緊急援助物資の供与もすでに決めた。

 
 
日経記事2024.05.31より引用