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米ロ、在外公館正常化で対話継続 トルコで高官協議 (2025.2.28)

2025-02-28 21:43:41 | NATO・EU・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


ルビオ米国務長官=ロイター

 

【ワシントン=共同】

米ロ両政府は27日、双方の在外公館の正常化を目的とした初回の高官協議をトルコ・イスタンブールで開き、対話を継続していくことで合意した。米国務省が発表した。

米側は在モスクワ大使館の人員確保の必要性を提起。双方の在外公館は外交官の相互追放などにより業務規模が縮小し、活動に支障が出ていた。

 

米ロ両国の外相率いる代表団が18日にサウジアラビアで会談した際、正常化に向けた協議の開始で合意していた。

 
 
 
日経記事2025.2.28より引用
 
 
 

EUとインド、年内のFTA交渉妥結で合意(2025.2.28)

2025-02-28 21:34:51 | NATO・EU・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


共同記者会見を行うインドのモディ首相㊨とフォンデアライエン欧州委員長=ロイター

 

【ニューデリー=岩城聡】

欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は28日、訪問中のインドの首都ニューデリーでモディ首相と会談し、EUとインドの自由貿易協定(FTA)について年内の交渉妥結を目指すことで合意した。

双方はサイバーセキュリティーや海上安全保障、テロ対策における協力関係を推進していくことを確認した。

会談後、フォンデアライエン氏は「過去20年間で(EUとインドの)貿易規模は3倍に増加した。

貿易及び技術に関する協議を次のレベルに引き上げ、研究や市場への浸透に結び付ける必要がある」と強調した。

 

インド商工省によると、EUとの間の貿易額は23年度は1374億ドル(約20兆6000億円)で、過去10年間で60%伸びた。

モディ氏も「貿易や技術、投資などの分野での協力の青写真を用意した。我々は今年末までに、相互に有益なFTA(の交渉)を終了するよう指示した」と語った。

 

インドとEUのFTA交渉をめぐっては、インド側はEUに対し農産物への関税引き下げや政府補助金の削減を主張。

一方、EUは「インドの政府調達の透明性が低く、外国企業を差別している」と折り合わず、交渉は13年に一旦中断し、21年に再開した。

 

また、フォンデアライエン氏は「権威主義国家が国境の存在を無視して大胆さを増し、海上の平和を脅かしている。

今こそ陸上、海上、宇宙における安全保障と防衛の協力を強化すべき時だ」と語り、ロシアや中国を念頭に法の支配に基づく国際秩序を守るため、安全保障分野でインドとの協力を強化していく方針を示した。

 

日経記事2025.2.28より引用

 

 

 
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関連トピック


香港の新世界発展、最終赤字1300億円 不動産市況厳しく (2025.2.28)

2025-02-28 21:24:41 | NATO・EU・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


香港の新世界発展は不動産不況で業績悪化に直面している=ロイター

 

【香港=伊原健作】

香港不動産大手の新世界発展が2月28日に発表した2024年7〜12月期連結決算は、最終損益が66億香港ドル(約1300億円)の赤字(前年同期は73億香港ドルの赤字)だった。不動産市況の悪化による業績不振が続いている。

 

売上高は167億香港ドルと前年同期比で2%減った。中国本土や香港での不動産開発が主力だが、市況低迷で建設や不動産投資事業の収入が減少した。

開発案件の収益見通しの悪化などで計約49億香港ドルの減損損失を計上し、最終赤字が膨らんだ。

 

財務を改善するため資産売却を進めたが、24年12月末時点の純負債は1246億香港ドルと24年6月末から1%増えた。

黄少媚・最高経営責任者(CEO)は同日の電話会見で中国本土や香港不動産市況の弱含みなどで「(事業環境は)不透明要因にあふれているが、(自社は)抵抗力があると信じている」と述べた。

 

新世界は24年6月期に20年ぶりの最終赤字に転落した。経営を担ってきた創業一族出身の鄭志剛氏が同9月にCEOを辞任し、馬紹祥氏が後任に就任。

わずか2カ月後の11月には馬氏が辞任し、中国本土の不動産事業を率いてきた黄氏がCEOに就任した。業績悪化に加え経営のかじ取りの不安定さも注目を集めていた。

 

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中谷防衛相、ウクライナ支援継続確認 ポーランド外相と(日経2025.2.27)

2025-02-28 21:14:42 | 日本政治・外交

中谷元防衛相は27日、防衛省でポーランドのシコルスキ外相と面会した。ロシアの侵略を受けるウクライナへの支援を継続する方針を確認した。

中谷氏は「欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分だ」と強調した。

 


中谷防衛相(中央右)とポーランドのシコルスキ外相(同左)=27日、防衛省

 

面会には同国のザレフスキ国防副大臣も同席した。シコルスキ氏はウクライナは自国を守る能力を求めていると話した上で「依然としてサポートを必要としている」と指摘した。

北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)を通じた防衛協力を推進するとも一致した。

 

シコルスキ氏はポーランドのトゥスク首相が大阪・関西万博にあわせて来日する予定だと伝えた。自衛隊トップの吉田圭秀統合幕僚長も同日、防衛省でザレフスキ氏やサイバー攻撃対策の専門部隊の司令官と協議した。

 
 
 
ウクライナ侵略

2022年2月、ロシアがウクライナに侵略しました。戦況や世界各国の動きなど、関連する最新ニュースと解説をまとめました。

 

 

 

 

日経記事2025.2.27より引用

 

 

 

 


星は何でできているのか、天文学を一変させた女性科学者 ナショナル ジオグラフィック (2025.2.28)

2025-02-28 20:49:11 | 科学技術・宇宙・量子・物理化学・生命・医学・生物学・脳科学・意識・人類史


NASA/ESAのハッブル宇宙望遠鏡がとらえたカラフルな惑星状星雲NGC 2440。惑星状星雲は、一生を終えようとしている恒星が外層部のガスを放出し、白色矮星となった中心核(中心の白い点)からの紫外線がガスを輝かせている天体だ。星から放出された物質は、その組成や密度や中心星からの距離によって異なる色で輝く。青はヘリウム、青緑は酸素、赤は窒素や水素の存在を示している。(Photograph by NASA, ESA, and K. Noll (STScI))

 

 

人類は何千年、いや何万年も前から夜空の星を観察してきた。漆黒の空にきらめく光のパターンは、人類の歴史を通じて、羅針盤やカレンダーの役割を果たし、神話を語り、詩人や芸術家にインスピレーションを与えてきた。

けれども人類と星々との関係は、1925年を境に劇的に変化した。聡明で洞察力に富む若き大学院生が、恒星の正体を解き明かし、恒星天体物理学の基礎を築いたのだ。

 

この天文学者の名はセシリア・ペインという。光り輝く恒星が、地球とは違って、主に水素とヘリウムという宇宙で最も軽くて単純な元素からできていることを初めて示した女性だ。

しかし、当時の主流派とは異なる仮説や発見の多くがそうであったように、ペインの論文も疑問視され、批判された。

 

天文学の専門家がすべて男性であった時代に、24歳の女性天文学者であるペインが常識を覆そうとしたという事実が、緊張をいっそう高めた。

 

 


天文学者セシリア・ペイン(後に結婚してセシリア・ペイン・ガポーシュキンとなった)は、1925年の博士論文で、恒星は主に水素とヘリウムからなり、重い元素はわずかしか存在しないという説を初めて提唱した。(Photograph by Science History Images/Alamy Stock Photo)

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分光学の誕生

19世紀初頭、科学者たちは太陽光をプリズムに通すと、波長ごとに異なる角度で屈折し、虹色の帯に分解されることを知った。

これをスペクトルという。虹色の帯には、なぜか特定の波長の光が欠けていることを示す暗い線が多数入っていた。

 

19世紀後半になると、望遠鏡のレンズと検出器の間にプリズムを置いて、恒星の光のスペクトルを分光写真として記録する手法が考案された。

プリズムによって分散した光が乳剤を塗布したガラス板に当たると、露光された部分の乳剤が化学反応を起こして黒くなるのだ。こうして、個々の星の光の特徴を示す暗い線のパターンを写真に記録できるようになった。

 

19世紀半ばには、さまざまな元素を加熱し、その高温のガスから放射される光のスペクトルを観察する実験から、それぞれの元素は特有のスペクトル線のパターンを生じることが知られていた。

そこで物理学者たちは、恒星のスペクトル線を見れば、恒星がどのような元素からできているのか推定できるはずだと考えるようになった。

 

科学者たちは、地球の地殻に含まれるいくつかの元素のスペクトル線が、恒星の一部のスペクトル線と一致することを発見し、太陽やその他の恒星は地球と同じ物質からできていると主張した。

 

 

セシリア・ペインの登場

セシリア・ペインは1900年5月10日に英国のウェンドーバーで生まれた。彼女の自伝によると、10代では科学と音楽を学んでいたというが、1919年に奨学金を得て英ケンブリッジ大学のニューナム・カレッジに入学した。

ペインは入学当初は植物学を学んでいたが、1年生のうちに物理学に転向した。そして、その年の暮れにトリニティー・カレッジで開かれていたアーサー・エディントンによる1919年の皆既日食の観測結果を発表する講演を聞き、天文学に魅了された。

 

 


渦巻銀河NGC 3982の合成画像。この銀河の腕に点在する星形成領域は水素が豊富だ。ペインの研究は、今日の恒星や銀河の進化理論の多くに影響を与えた。(Photograph by NASA, ESA, and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA))

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1923年、彼女は米国に渡り、マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大学天文台とラドクリフ・カレッジ(ハーバード大学と提携していた女子大学)で、大学院生として研究をはじめた。

「彼女は天文学で女性が成功できる唯一の場所にたどり着いたのです」と、同天文台の天文写真キュレーターであるトム・バーンズ氏は言う。

 

ペインがハーバードに来た当時、天文学者や学生は全員男性だったが、天文台では十数人の女性も働いていた。

彼女たちは計算を担当する実験助手で、「コンピューター」と呼ばれていた。ペインはここで、ハーバード大学に保管されていた大量の分光写真を研究することに決めた。

 

ハーバード大学には、恒星のスペクトルを記録した写真がほとんど手つかずのまま何十年分も保管されていた。これほど多くの写真を所蔵している機関はハーバード大学以外になかった。

コンピューターのアニー・ジャンプ・キャノンは、ここでスペクトルに基づいて恒星を分類する作業をしていた。ペインは彼女の研究をさらに進め、ニューナム・カレッジで学んだ原子の内部構造に関する知識と、物理学や化学の最新の理論を組み合わせて、恒星を理解しようと考えた。

 

 

恒星の物理学

研究者たちはこの頃すでに、恒星のスペクトルに暗い線のパターンが現れるしくみを特定していた。

それは、恒星の中心から出た光の中の特定の波長が、外層のガスに含まれる元素に吸収された痕跡だったのだ。

 

科学者たちは、恒星のスペクトルに現れる暗い線が、実験により特定された元素の吸収線と完璧に一致していることを確認した。

ただし、研究室での研究のほとんどは、電気的に中性な元素についてのものだった。対して恒星は、極端に高温で高圧のガスでできた巨大な球体だ。その極端な条件がさまざまな元素の光のパターンにどのような変化を引き起こすのか、まだ誰も解明できていなかった。

 

そこでペインは、当時の最先端の原子物理学と、インドの物理学者メグナード・サハの「素晴らしいアイデア」を組み合わせたと自伝に書いている。

サハはその少し前に、さまざまな温度や密度でのガスの挙動、特に、極端な環境における電子の運動を解明したところだった。

 

ペインは恒星の高い温度と圧力に基づいて、分光写真の星の光のスペクトル線の強度を計算した。「異なる線の強度の関係は常に一定です」と、米マサチューセッツ工科大学の天体物理学者であるアンナ・フレベル氏は言う。ペインはこの関係を利用して、恒星の内部の元素の存在量を計算することができた。

その結果、恒星の組成は水素とヘリウムという2つの最も軽い元素が圧倒的に多く、より重い元素は非常に少なかった。

彼女は、観測されたような線の形ができるしくみ、すなわち、恒星の内部の圧力や温度がどのようにして光のパターンに影響を及ぼすのかも解き明かした。

 

これらのパターンを理解することは「スペクトルを利用して恒星の大気のダイナミクスを理解する上で不可欠」であり、ペインは吸収線を元素の存在量や恒星の温度を知るためだけでなく、恒星の内部の物理過程を理解するためにも利用したと、米アイオワ州立大学の恒星天体物理学者であるスティーブン・カワラー氏は言う。

 

 

恒星にはすべてがある

ペインは1925年に論文を完成させ、ラドクリフ・カレッジから天文学博士号を取得した。

天文学者たちは当初は懐疑的だった。米プリンストン大学の著名な天文学者で、史上屈指の恒星天文学者であるヘンリー・ノリス・ラッセルは、最も手厳しい批判者の1人だった。

 

ペインは彼に遠慮して、「これらの元素(水素とヘリウム)について導き出された恒星大気中の膨大な存在量が現実でないのはほぼ確実である」と記している。

カワラー氏によると、彼女の論文の文章には全体に自信がにじみ出ているが、この部分だけ、歯切れが悪くなっているという。しかし、それからわずか4年後、ラッセル自身がペインの研究結果を裏付けた。

 

「彼女の研究は、恒星分光法で測定される現象を理解する出発点となりました」と、恒星の光を利用して最古の恒星を探索しているフレベル氏は語る。

ペインの発見は、その後の研究者たちが、恒星の一生を通じてその表面下で何が起こっているのか、恒星の中心部で生成したエネルギーが外層部をどのように移動するのか、そして、恒星が爆発的な死を遂げるのか、それとも徐々に衰えて最後には暗闇にのまれてしまうのかを解明するのに役立った。

 

「恒星にはすべてがあります。私たちが宇宙について知っていることはすべて、恒星から来ています」と、米ワイオミング大学の恒星天体物理学者であるメリディス・ジョイス氏は説明する。

恒星の組成に関するペインの博士論文は、今日でも恒星天体物理学者たちの書棚に欠かせないものとなっている。200ページを超える論文は、年月を経て黄ばんでいる。今日の科学者たちはこの論文を、天文学論文の傑作であり、さまざまな要素を見事にまとめ上げていると評価している。

 

ペインの博士論文は「細部にまで注意が行き届いています」とジョイス氏は言う。「正確で、実に勇敢な論文でした」

文=Liz Kruesi/訳=三枝小夜子(ナショナル ジオグラフィック日本版サイトで2025年1月23日公開)

 

 

 
 
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日経記事2025.2.28より引用