Renaissancejapan

哲学と宗教、財閥、国際政治、金融、科学技術、心霊現象など幅広いジャンルについて投稿しています

・シャープー6  千里から天理へ

2024-05-17 23:37:53 | 日本の企業・世界の企業、ビジネスマン、技術者

シャープー5  経営権を掌握した佐伯旭https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5f2c43e6cb8a536dd142fe0d14bca760
からの続き

 

 

 

千里から天理へ

1970年は、佐伯旭にとって最大の決断のときでした。 奈良・天理市に総合開発センターを建設するか、大阪・吹田市で開かれる日本万国博覧会(大阪万博)へ出展するか、決めなければなりませんでした。

天理市の土地買収費用が15億円、大阪万博への出展費用も同じく15億円。 どちらかを選択しなければならなかったのです。

 

大阪万博は、戦後、高度成長を成し遂げ、米国に次ぐ経済大国となった日本を象徴する一大イベントです。

1964年の東京オリンピック以来の国家プロジェクトであり、多くの企業、研究者、建築家、芸術家が総動員されました。

岡本太郎が制作した『太陽の塔』は大阪万博のシンボルとなりました。 万博誘致は関西経済界あげての取り組みであり、シャープもその一翼を担っていました。

 

一方、シャープの技術陣は、半導体事業への進出を検討していました。 1960年半ばから、シャープはカシオ計算機と激しい『電卓競争』を戦っていましたが、自前の半導体工場を持たないシャープは、心臓部分の半導体は自分たちで回路を設計し、外部の半導体メーカーに生産を委託していました。

競争力を高めるためにも、自前の半導体を持ちたいと技術陣は佐伯に切望しました。

当時のシャープには、万博への出展と半導体開発を同時に進めるだけの企業体力はありませんでした。

虎の子の15億円をどちらに使うか、決めなければなりません。 役員の意見は二つに割れました。

万博推進派は、「半導体はものになるかどうかわからない。 大阪万博は、シャープの認知度を世界的に高めるためのまたとない機会。 出展しなければ、関西経済界から総スカンを食らうことなる」と主張しました。

半導体推進派は、「たった半年で撤去する万博パビリオンに15億円も投資するのは馬鹿げている。 半導体工場を建設することで、シャープはただの家電メーカーから総合エレクトロニクスメーカーに脱皮できるチャンス」と応酬しました。

 

社長代行の佐伯はこの案件を役員会で多数決を決めることをしませんでした。 創業者である当時社長の早川徳次の意見を聞き、佐伯自身の意見を述べて、役員の意見をまとめるという手法を取りました。

 

佐伯は、「貴重な資金は、長期的な利用が可能な施設に振り向ける方が経営にとって意義がある」と述べました。

電卓は競合他社が相次いで参入してきて収益が悪化している。巻き返しを図るには、キーデバイスである半導体の技術得お強化するしかないと判断しました。

 

1970年、シャープは奈良県・天理市に総合開発センターを建設しました。 もともとは東大寺が所有していた由緒ある土地です。

LSIの工場と中央研究所、人材教育センターを併設しました。 土地買収を含めた総工費は75億円。 当時のシャープの資本金が105億円です。

まさに、社運を賭けた投資となりました。 佐伯は、大阪吹田市の千里丘陵で開催される大阪万博への出展は断念して、奈良市の天理総合開発センターへの投資を決断しました。

この時の佐伯の英断は『千里から天理へ』と呼ばれ、長く語り継がれることになります。千里から天理への決断は、ただの家電メーカーから、半導体を生産し、液晶や太陽電池を開発する総合エレクトロニクス企業に飛躍するスプリングボードとなったのです。

 

 

(関連情報)


・シャープ-1  創業者 早川徳次
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/18208c4d7876b9fcd0464ca596bb5b13

・シャープ-2  シャープペンシルの発明https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/eef30031fbb6e4a3341eea462d24a044

・シャープー3  大阪に移転https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/04fceb8b99dcb258e2b1cb572df1eb04

・シャープー4  『中興の祖』佐伯旭(さえきあきら)https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/c96c2265e2ad0cdaca015d4db4006cd7

・シャープー5  経営権を掌握した佐伯旭https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5f2c43e6cb8a536dd142fe0d14bca760

・シャープー6  千里から天理へhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/537c474a7326419e43459021da8b0b4e

 

 

 


パナHD、中期計画の目標未達 楠見社長「期待応えられず」

2024-05-17 20:42:32 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


経営方針や戦略についてオンラインで説明するパナソニックHDの楠見社長(17日)

 

 

パナソニックホールディングス(HD)の楠見雄規社長兼グループ最高経営責任者(CEO)は17日、経営方針説明会を開き、2024年度を最終年度とする中期経営計画の進捗を説明した。目標として掲げた3つの指標のうち、自己資本利益率(ROE)と累積営業利益は達成が難しいとの認識を示し「期待に応えられなかった」と陳謝した。

パナソニックHDは24年度までの3年間に「累積営業キャッシュフロー2兆円、累積営業利益1.5兆円、ROE10%以上」の達成を目指している。

このうち営業キャッシュフローは目標に届く可能性が高い。ただ、累積営業利益は3年間で約1兆円になる見通しで、24年度のROEも7%程度になりそうだ。

 

楠見氏は過去2年について「キャッシュフロー重視の経営が根付いてきた」とする一方、「(重点投資領域に掲げる)電気自動車(EV)電池やヒートポンプ暖房で想定外の市況変化があった。

収益を支えるべき事業領域も含めて、株主や投資家の期待に応えられていない」と振り返った。

 

24年度から事業部単位で投下資本利益率(ROIC)を定期的に点検・分析し、成長性や収益性の低い事業のテコ入れを進める考えを示した。

楠見氏は事業構造改革について「パナソニックオートモーティブシステムズを外部に出す決断をしたが、今後は事業部や製品領域単位での判断になってくる」と説明した。

事業環境の厳しい分野としてファクトリーオートメーション(FA)機器やテレビを挙げた。

 

EV電池は主に米テスラ向けに供給するネバダ工場の生産性を、30年度に23年度比で15%以上高める。ヒートポンプ暖房は商品力を強化しながら、欧州の暖房設置業者と連携し現地の販路の拡大に取り組む。

 

 

日経記事2024.05.17より引用

 

 


就活セクハラ、「インターン」「リクルーター」で多発

2024-05-17 20:16:35 | 日本の企業・世界の企業、ビジネスマン、技術者


厚労省は就活時のセクハラの調査結果を発表した

 

インターンシップ中やリクルーターとの接触時はセクハラに注意――。就職活動にかかわるセクハラ被害の実態が17日、厚生労働省の調査で分かった。

企業の担当者らが学生に性的な冗談を言ったり、食事やデートにしつこく誘ったりするなどの行為が目立つ。

 

厚労省から委託を受けた民間企業が1月、2020〜22年度に大学や専門学校を卒業し、就活を経験した学生1000人を対象に調査した。

就業を体験するインターンシップ中に、1回以上セクハラ被害を受けた学生は30.1%にのぼった。

 

男女別では男性が32.4%で女性より約5ポイント高い。企業側のセクハラ防止策として女性への言動には注意するようになりつつあるものの、男性への対応はまだ浸透していない可能性がある。

被害を受けた学生に内容をたずねると「性的な冗談やからかい」(38.2%)が最も多く、「食事やデートへの執拗な誘い」(35.1%)、「不必要な体への接触」(27.2%)が続いた。「性的な関係の強要」と答えた学生も19.7%だった。

 

 

セクハラを受けた企業の規模は99人以下が37.7%と最多で、業種別では製造業が17.5%と目立った。

インターンシップ以外の就活中にセクハラを経験した学生は31.9%に達した。男子学生が34.3%、女子学生は28.8%だった。被害に遭った場面では32.8%が「リクルーターと会ったとき」、26.0%が「内々定を受けた後」を挙げた。企業説明会や採用面接時での被害はそれぞれ17%程度だった。

 

 

セクハラ被害を家族や労働基準監督署に相談した学生が2割近くいた一方、1割以上の学生が「何もしなかった」と答えた。

就活セクハラは「断ったら選考が不利になるかもしれない」と思う学生の弱みにつけ込む悪質な行為だ。

 

19年には大手商社の元社員が、OB訪問で知り合った女子学生を酒に酔わせて乱暴したとして準強制性交などの疑いで逮捕された。同社は再発防止のため、就活生との食事や飲酒を禁止し、SNSを通じたやりとりも禁じた。

就活生へのセクハラを防止する法律はない。男女雇用機会均等法は従業員をセクハラ被害から守るため、企業に相談窓口の設置などを義務づけるものの、学生は対象外だ。厚労省は指針で学生に対するハラスメント防止を企業に呼びかけている。

 

全国の従業員30人以上の企業を対象にハラスメントの実態も調べた。3割に当たる7780社が回答した。過去3年間で相談があったと答えた企業の割合はパワハラ(64.2%)が最も高く、セクハラ(39.5%)、顧客による著しい迷惑行為を指すカスハラ(27.9%)が続いた。

企業がカスハラに該当すると判断した事例で最も多かったのが「継続的な、執拗な言動」(72.1%)だった。業種では「医療、福祉」(53.9%)や「宿泊業、飲食サービス業」(46.4%)が多かった。厚労省は企業にカスハラ対策を義務付ける法改正を検討している。

 

 

<picture class="picture_p166dhyf"><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4845561017052024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=638&h=521&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=5b3513a773c98fb3192ecc3eb0208468 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4845561017052024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1276&h=1042&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=a2c88bd8a6b6d9f77ed5f510fe4bcb23 2x" media="(min-width: 1232px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4845561017052024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=638&h=521&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=5b3513a773c98fb3192ecc3eb0208468 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4845561017052024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1276&h=1042&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=a2c88bd8a6b6d9f77ed5f510fe4bcb23 2x" media="(min-width: 992px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4845561017052024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=489&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=ca0ab7ed7452ae098cb2a9e97ae58fe1 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4845561017052024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=979&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=5c6d47ff538f2ee08aed712651ba8260 2x" media="(min-width: 752px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4845561017052024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=489&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=ca0ab7ed7452ae098cb2a9e97ae58fe1 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4845561017052024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=979&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=5c6d47ff538f2ee08aed712651ba8260 2x" media="(min-width: 316px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4845561017052024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=489&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=ca0ab7ed7452ae098cb2a9e97ae58fe1 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4845561017052024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=979&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=5c6d47ff538f2ee08aed712651ba8260 2x" media="(min-width: 0px)" /></picture>

東京メトロ有楽町・南北線、延伸決定 臨海部アクセス改善

2024-05-17 20:00:29 | 観光・旅行・外食・ショッピング


東京メトロの地下鉄延伸事業が本格始動する(写真は有楽町線)

 

東京都臨海部で地下鉄の整備事業が動き出す。都の審議会は17日、東京メトロの有楽町線と南北線の延伸について都市計画を承認した。

2030年代半ばの開業を目指す。都心と臨海部や羽田空港を結ぶアクセスを改善し、築地市場跡地の再開発などとの相乗効果で、国際競争力を底上げする。

 

有楽町線と南北線の延伸を巡っては、国土交通省の交通政策審議会が21年度に「早期の事業化を図るべきだ」と答申した。

東京メトロは22年に国交相から事業許可を受けた。大きな手続きとしては、大規模開発を適切に進めるために必要となる都市計画の決定が残っていた。

 

都の都市計画審議会が承認したことで、東京メトロは1年以内の着工を目指す。都内の地下鉄では08年に開業した副都心線以来の大型事業が本格的に動き出す。

有楽町線の延伸は豊洲―住吉間で、総事業費は約2690億円を見込む。マンション開発が進む臨海部と東京スカイツリーなど観光拠点の集まる都内東部をつなぐ。

 

南北線は白金高輪駅から延伸して品川駅と結ぶ。総事業費は約1310億円を予定する。羽田空港との結節点となる品川駅と六本木など都心部を移動しやすくする。

 

東京都臨海部で地下鉄の整備事業が動き出す。都の審議会は17日、東京メトロの有楽町線と南北線の延伸について都市計画を承認した。2030年代半ばの開業を目指す。都心と臨海部や羽田空港を結ぶアクセスを改善し、築地市場跡地の再開発などとの相乗効果で、国際競争力を底上げする。

有楽町線と南北線の延伸を巡っては、国土交通省の交通政策審議会が21年度に「早期の事業化を図るべきだ」と答申した。東京メトロは22年に国交相から事業許可を受けた。大きな手続きとしては、大規模開発を適切に進めるために必要となる都市計画の決定が残っていた。

都の都市計画審議会が承認したことで、東京メトロは1年以内の着工を目指す。都内の地下鉄では08年に開業した副都心線以来の大型事業が本格的に動き出す。

有楽町線の延伸は豊洲―住吉間で、総事業費は約2690億円を見込む。マンション開発が進む臨海部と東京スカイツリーなど観光拠点の集まる都内東部をつなぐ。

南北線は白金高輪駅から延伸して品川駅と結ぶ。総事業費は約1310億円を予定する。羽田空港との結節点となる品川駅と六本木など都心部を移動しやすくする。

 

<picture class="picture_p166dhyf"><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=425&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=ca66a02433f057ec671d357f48d55898 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=850&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=5231ee0c51303e942804b6341ca00c36 2x" media="(min-width: 1232px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=425&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=ca66a02433f057ec671d357f48d55898 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=850&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=5231ee0c51303e942804b6341ca00c36 2x" media="(min-width: 992px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=425&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=ca66a02433f057ec671d357f48d55898 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=850&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=5231ee0c51303e942804b6341ca00c36 2x" media="(min-width: 752px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=425&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=ca66a02433f057ec671d357f48d55898 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=850&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=5231ee0c51303e942804b6341ca00c36 2x" media="(min-width: 316px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=425&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=ca66a02433f057ec671d357f48d55898 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=850&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=5231ee0c51303e942804b6341ca00c36 2x" media="(min-width: 0px)" /></picture>

 

京都臨海部で地下鉄の整備事業が動き出す。都の審議会は17日、東京メトロの有楽町線と南北線の延伸について都市計画を承認した。2030年代半ばの開業を目指す。都心と臨海部や羽田空港を結ぶアクセスを改善し、築地市場跡地の再開発などとの相乗効果で、国際競争力を底上げする。

有楽町線と南北線の延伸を巡っては、国土交通省の交通政策審議会が21年度に「早期の事業化を図るべきだ」と答申した。東京メトロは22年に国交相から事業許可を受けた。大きな手続きとしては、大規模開発を適切に進めるために必要となる都市計画の決定が残っていた。

都の都市計画審議会が承認したことで、東京メトロは1年以内の着工を目指す。都内の地下鉄では08年に開業した副都心線以来の大型事業が本格的に動き出す。

有楽町線の延伸は豊洲―住吉間で、総事業費は約2690億円を見込む。マンション開発が進む臨海部と東京スカイツリーなど観光拠点の集まる都内東部をつなぐ。

南北線は白金高輪駅から延伸して品川駅と結ぶ。総事業費は約1310億円を予定する。羽田空港との結節点となる品川駅と六本木など都心部を移動しやすくする。

 

 

地下鉄2線の延伸で期待されるのが、東京の国際競争力の底上げだ。明治大学の市川宏雄名誉教授(都市政策)は「両線の延伸で羽田から都心や臨海部への接続が強化され、海外から人を呼び込みやすくなる」と話す。

臨海部のアクセスが向上すれば、世界規模のイベント誘致がより進めやすくなる。有明地区には東京ビッグサイトがある。中央区の築地市場跡地では、三井不動産を中心とする企業連合が多目的スタジアムやMICE(国際会議や展示会)施設を32年度までに整備する。

 

都は東京駅を起点に銀座や築地、豊洲市場などを経由し、東京ビッグサイトまでを結ぶ新線「臨海地下鉄」構想も進めている。40年までの開業を目指す。

臨海地下鉄は、都などが出資する第三セクター「東京臨海高速鉄道」(東京・江東)の運行を想定する。羽田空港への乗り入れ計画がある同社の「りんかい線」との接続が検討されている。

 


鉄道網の拡充は住民の交通需要を満たす狙いもある。都の推計によると、中央、港、江東の3区合計の人口は増加傾向が当面続く。

東京五輪・パラリンピックの選手村跡地に建設された大型マンション群「晴海フラッグ」(東京・中央)の入居も始まった。

 

森記念財団都市戦略研究所の「世界の都市総合力ランキング2023」で東京は総合3位だが、交通・アクセスは8位だった。

都内を移動しやすくし、国内外から観光客やビジネス客を呼び込む。都市間の国際競争を勝ち抜く。

 

<picture class="picture_p166dhyf"><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=425&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=ca66a02433f057ec671d357f48d55898 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=850&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=5231ee0c51303e942804b6341ca00c36 2x" media="(min-width: 1232px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=425&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=ca66a02433f057ec671d357f48d55898 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=850&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=5231ee0c51303e942804b6341ca00c36 2x" media="(min-width: 992px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=425&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=ca66a02433f057ec671d357f48d55898 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=850&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=5231ee0c51303e942804b6341ca00c36 2x" media="(min-width: 752px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=425&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=ca66a02433f057ec671d357f48d55898 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=850&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=5231ee0c51303e942804b6341ca00c36 2x" media="(min-width: 316px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=425&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=ca66a02433f057ec671d357f48d55898 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4835543015052024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=850&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=5231ee0c51303e942804b6341ca00c36 2x" media="(min-width: 0px)" /></picture>

「求ム海外日系人」 推計3割増の500万人、企業先導役に 政界Zoom

2024-05-17 19:45:27 | 日本政治・外交

日本政府が世界の日系社会とのかかわりを強め始めた。

日本が経済成長の低迷や人口の減少で国際競争力を落としている現状を踏まえ、日系人が持つ力への評価を高めている。外交や国内の労働力不足の補完役として期待する。

 

「ふるさとに帰ってきたようだ」。岸田文雄首相が4日、ブラジルの最大都市サンパウロで日系人が主催した歓迎式典であいさつすると、大きな拍手が起こった。

1868年に最初の移民が労働者としてハワイに渡って以降、多くの日本人が就業や婚姻を理由に世界各国に移り住んできた。中南米も日系人の歴史が古い。

 

首相は大型連休中に訪れた南米のブラジルとパラグアイで日系社会とのふれ合いに努めた。

4月に国賓待遇で訪米した際もワシントンで「全米日系米国人慰霊碑」に献花した。日系人とのかかわりを重要な外交日程に位置づけている。

 

 

推計調査を強化

首相の南米訪問の1カ月ほど前、外務省は海外の日系人の数や分布に関する推計を初めて詳細に公表した。

日本国籍の有無にかかわらず、日本人の血をひき、永住目的で海外に居住している人を日系人として数えた。

 

各国の日本大使館が、管轄国の統計、在留届の永住者数、各種調査、その国・地域に特有な事情などを総合的に勘案して推計した。

 

 

2023年10月時点で約500万人いた。ブラジルが270万人ほどで5割強を占め、米国が150万人と続いた。欧州にも12万人、中東に2000人、アフリカに900人を確認した。

前回18年に推計を公表した時は380万人以上と発表しており、数字の上では3割増えた。

 

現地の出生や移民の増加だけでは説明できない。外務省は推計の詳細の公表に向け、従来以上に日系人の数を捕捉しようと、各大使館に調査の強化を指示していた。

ブラジルでは推計を出すうえで人口増加率を加味した。日系社会が相対的に高い経済力を持つことから同国全体の割合より多く見積もるなど実態に近づけた。

 

外務省が世界の日系人の動態を精緻に調べ始めた背景に日系人が持つ力への期待がある。1つは現地での人脈をいかした日本の発信だ。

首相は南米滞在中、3年間で中南米の日系人1000人規模の交流事業を実施すると表明した。

主に若い世代に来日の機会を設け、日本の魅力を発信してもらう。地域の日系人インフルエンサーに働きかけ日本の好感度を高める取り組みも検討する。



 

企業の水先案内人

外交で国際世論対策は重要な位置を占める。韓国は外国の自国コミュニティーの発信にたけるとされる。

中南米は重要鉱物や食料の一大生産地で、日本として経済安全保障の観点から関係を強めたい地域だ。

 

中国が広域経済圏構想「一帯一路」のインフラ支援を通じて影響力を広げている現状で、日系社会と連携して巻き返す。

日系人は日本企業が外国でビジネス展開する「水先案内人」にもなり得る。日本の文化や商習慣を理解し、現地でネットワークを張る日系社会は、特に経営基盤が弱い中小企業が海外に進出する際に頼りになる存在だ。

 

日系人に期待するもう一つの役割は国内の労働力不足の補完だ。日本は人口減少で中長期的に働き手が減り続けるなか、各国と海外人材の獲得競争にさらされる。

日系人は一般の外国人よりも国内で就労する条件が緩やかであるほか、言語や文化への理解も相対的に高く、日本政府には国内で働いてもらいやすいとの期待がある。外務省幹部は「専門的な技術を持つ高度人材にも目を向けたい」と話す。

 

かつて日本政府と日系社会のかかわりは現地への定着の支援が主だった。いまは日本の国際競争力の低下も背景に、日系人の力を借りる取り組みの軸足を移している。

首相周辺は「日系社会は経済や政治の面で必ずしも本国と思惑が一致していない」と明かす。日本と日系社会がどうウインウインの関係を構築できるかが試される。

 

 

日本への帰属意識、どう維持?

日系社会では世代交代が進み国・地域によっては3世、4世に中心が移りつつある。現地に浸透し、日本にルーツを持つことを意識しない人もいる。

国への帰属意識を持つうえで大きな要素になるのは国籍だ。日本は現在、国籍法で日本と他国の国籍を持つ「二重国籍」を原則認めていない。

 

例えば日本人と外国人の間に外国で生まれた子どもが、日本とその国の両方の国籍を持っている場合、20歳までにどちらかを選ぶ必要がある。

 

 

日系社会で二重国籍を認めるべきだとの声は根強い。世界各地の日系人が交流する「海外日系人大会」は23年の大会宣言で「海外で生まれ育った子どもが日本人・日系人としてのアイデンティティーを保つには国籍法の改正が必要だ」と訴えた。

大会を主催する海外日系人協会の水上貴雄事務局次長は「日本国籍を持たないことで日本への帰属意識が薄れていくと危機感を持つ日系人もいる」と話した。

 

世界では二重国籍を認める国は多い。人口動態を扱う独立機関ワールド・ポピュレーション・レビューによると、調査した87カ国のうち、なんらかの形で複数国の国籍の保有を認める国は全体の8割ほどだった。

ドイツは労働力を確保し、国際競争力を維持するため、23年に二重国籍の容認にカジを切った。韓国も11年に国籍法を改正し「国籍唯一の原則」を転換した。

 

二重国籍には納税国の整理などの課題はあるものの、日本政府内には日系社会とのかかわりを強めるうえで議論を避けて通れないとの見方がある。

 

 

記者の目 日本の魅力を高めたい

岸田文雄首相はサンパウロで日系人に「100年以上前に海を渡り国の発展に貢献してきた勇気とご苦労を思うと胸が熱くなる。同胞の皆さんを誇りに思う」と語りかけた。

日本の首相が南米を訪れる機会は限られ「日系人にアイドルのような歓迎を受けた」(首相周辺)。現地に溶け込む苦労を知る世代の感慨はひとしおだっただろう。

 

日系人も代を重ねれば、現地への帰属意識が強まり、日本への関心が薄れる。首相は「ルーツに誇りを持てるように日本を光り輝く良い国にしていく」と強調した。

日系人の力を借りるには日本側も努力を求められる。日本の魅力をもっと高めると同時に日系人への理解を深めたい。地球の至るところで日本を支援してくれる「応援団」に関心を寄せることから、新たな時代の協力策は生まれる。

(川上進平)

 

 

【関連記事】

 

 



多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

今村卓のアバター
今村卓丸紅 執行役員 丸紅経済研究所長・グローバル総括部長

ひとこと解説

多くの日本企業の海外進出を支えてきたのも現地に永住する日本人とその次世代の日系人の皆さんです。

駐在した米国で深く実感しました。

進出日系企業のスタッフや同企業の弁護士や会計士など役割はいろいろ、その貢献は記事の水先案内人を超えています。

自らの現地での苦労と努力を活かし、進出日系企業が現地の社会へ溶け込み、よき現地企業へ進化する過程を主導し、加速させる重要な役割を果たしてきています。

3世、4世になっている国では政治家、重要閣僚になる日系人もいます。

日本の外交も頼りにしているのでは。 今後は企業の現地法人と本社での幹部登用、二重国籍、日本の政府や経済界が貢献を称える。急いで進めるべきだと思います。

 (更新)
 
 
 
日経記事2024.05.17より引用
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
少子化の対策として、良いアイデアじゃないでしょうか。