今日の女王サマ

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真にリッチな人とは・・・『しあわせの隠れ場所』

2010年04月02日 | 映画&本&音楽&TV
実話、それもそんなに昔の話ではないのだから驚きです。

2009年、NFLのボルティモア・レイヴェンズの第1巡指名を受けて入団したマイケル・オアーの少年時代から数年間の話。

アメリカ南部といえ真冬のメンフィス。半そで、短パンでトボトボ歩く大柄な少年マイケルを見かけたリー・アン・テューイは一晩だけと自宅に招き入れます。
「衝動的だったかな?何も盗まないだろうか」と不安に駆られながら。

朝になってみれば、彼の姿はなく、ソファーにはきちんと畳まれたシーツと毛布が置かれていました。立ち去ろうとしていたマイケルの後姿を見てなぜか引き留めてしまうリー・アン。

その日を境にマイケルはテューイ家の一員となります。
テューイ家は裕福な一家で、夫のショーンは貧しい生い立ちながら現在はタコベル、ケンタッキー・フライド・チキンなどファストフードレストラン85店舗のオーナー。

リー・アン役のサンドラ・ブロックはいかにも南部のお金持ちというファッションです。


『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』という映画でも、テキサスのお金持ちジョアン(ジュリア・ロバーツ)が同様の雰囲気を持っていました。

どこがどうとハッキリ言えないけど、ニューヨークとかロスの雰囲気とはなんか違う感じ。

さて『しあわせの隠れ場所』(この邦題ヘンテコだけど)。
マイケルの父親は行方不明、母親はコカイン中毒、13人の兄弟姉妹はバラバラ。極貧の幼少期のほとんどを路上で過ごしたようです。
悲惨な家庭に育った子供は凶暴であることが多いそうですが、マイケルは保護能力が非常に高く、人を守ろうとする意識が強いことがわかりました。

フットボールの才能はあるようだが、気持ちが優しいため、敵の選手を跳ね飛ばすことができないんです。
フットボールファンでもあるリー・アンはコーチよりも的確にアドバイスして、彼の能力を開花させます。

テューイ家には二人の子供がいます。姉のコリンズと弟のSJ(ショーン・ジュニア)。この二人も偏見がなく最初からスンナリとマイケルを受け入れるんです。スゴイな。

特にSJはマイケルを本当の兄のように思っています。

この二人のやりとりで笑ったシーンがありました。この↓シーンです。

「そのシャツ、いいかげん着るのやめなよ。でっかいミツバチみたいだ」

学業の遅れはあったものの、概ね高校生活は順調。将来は大学でフットボールという道も開けてきました。
しかし、いかにフットボールの才能があってもNCAA(全米大学体育協会)が定めた学業成績の基準に達していなければ大学でのプレーは不可能。
テューイ家は家庭教師をつけて成績をアップさせ、名門大学から次々にスカウトがやってくる。

最終的にミシシッピ大を選んだマイケルに、NCAAはテューイ夫妻から暗黙のプレッシャーがあったのでは?と疑いをかけます。
夫妻はともにミシシッピ大の出身で、しかも熱烈なフットボールファン。
マイケル自身も自分の面倒を見てくれたのはミシシッピ大へ入れるため?と疑いを抱いてしまいます。

二人は話し合い、リー・アンはマイケルに「あなたの進路はあなたの好きなように」と言います。


この映画、いや物語で思うことは、富めるものの余裕。字面だけ見るとイヤミな印象ですが、困っている人が目の前にいるとき、素直に手を差し伸べることができるだろうかということ。
テネシー州は今でも黒人と白人の居住区がハッキリと分かれているそうです。金銭的にも精神的にも余裕がなければ他人のことなど考えていられない。しかもそれが人種的に偏見の残る地域なら尚更。事実、黒人のマイケルを同居させていることに、親戚やらリー・アンの友人たちから偏見に満ちた態度を示されます。

リー・アンは今まで自分たちが当然と思っていたことが、マイケルと知り合ったことで気づいてしまうんです。「自分たち家族はなんて幸せなんだろう」と。(これも字面だけみるとイヤミだな~)

他人のことも自分と同じレベルで考えることができ、困っている人がいたら躊躇せず手を差し伸べることができる。それこそが本物の富める人ではないでしょうか。
2010年はまだ1/4が終わったばかりですが、この映画は今年のイチオシになりました。


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