今日の女王サマ

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ある巡査部長の定年退職

2009年05月14日 | Weblog
5月11日月曜日のテレビ朝日『報道発ドキュメンタリ宣言』は、警察裏金を内部告発した仙波敏郎さんの定年までの4年半を追った番組でした。

もう退職した人でも内部告発をするのは勇気がいるものですが、仙波さんは現職でこれをやった。
この番組を見るまでは知らなかったことですが、裏金作りに抵抗したのは内部告発をした2005年が最初ではなかったんです。

警察学校を主席で卒業後、1973年に同期最短で巡査部長に昇任。しかし試験から1カ月後に赴任した三島警察署で裏金作りのためのニセ領収書作成を拒否して署長と対立。このあとの昇任試験は「受けても合格しないよ」と言われ、愛媛県内の警察署を2年~3年ごとにまわされ続けます。

つまり内部告発こそしませんでしたが、警察 対 仙波敏郎の闘いは35年以上も続いていたんですね。

もちろん支援者もたくさんいますが、そのほとんどは警察関係者ではありません。
署内で仙波さんと言葉を交わした者は報告書を提出しなければならないため、職場ではまったく孤立していました。

内部告発後は拳銃を取り上げられ(自殺防止という名目だった)、たった一人の部署に追いやられたり(明らかな報復人事)、長くて苦しい生活だったことでしょう。

テレビを見ていると、仙波さんという人は実によく泣くのである。人柄がやさしくて涙もろいということもあるのかもしれませんが、やはり苦しかったんじゃないかな。

だって悔しいですよね。
正しいことをしたのに、正しくあろうとしているのに、一番惨めな場所に追いやられているわけですから。
仙波さんが言うにはニセ領収書は「踏み絵」だと。
私だったらすぐ転びますよ。自分の弱さは自分が一番知っています。みんなやってることじゃないかと、自分をごまかしてしまうでしょう。

定年退職の日、3月31日にこういう質問がありました。
「生まれ変わってもまた警察官やりますか?」

仙波さんはこう答えました。
「はい、またやります。42年間やりますよ。警察官好きですから」

仙波さんに支払われた退職金は最低額だったそうである。