ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどをやっています。

滝川一廣『新しい思春期像と精神療法』2004・金剛出版-子どものことを考える精神科医に学ぶ

2024年05月07日 | 子どもの臨床に学ぶ

 2019年のブログです

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 滝川一廣さんの『新しい思春期像と精神療法』(2004・金剛出版)を再読しました。

 5月の遊戯療法学会で滝川さんのお話をお聞きして、やはりすごい人だと思い、この本も再読しました。

 いい本です。

 臨床中心に、理屈ではなく、現実をわかりやすく説明してくださいます。

 特に、デビュー論文が摂食障害の論文だったということもあって、摂食障害とその治療についての記述がすごいですし、それでいてわかりやすく、身近な感じがする論考です。

 例によって、印象に残ったことを一つ、二つ。

 一つめは、いじめについて。

 いじめは悪ふざけのレベルから恐喝や傷害のレベルまで幅広いのですが、滝川さんは、どのいじめも子ども集団の中での相互作用として生じている現象、と捉えます。

 それゆえに、加害者意識が生じにくいことを指摘されますが、いじめの構造について、まさに卓見だと思います。

 二つめは、摂食障害について。

 滝川さんは、摂食障害は食卓の病い、と見ます。

 そして、なぜか緊張感のある食卓にこの病いが発生しやすい、と述べます。

 さらに、思春期になって食卓から徐々に自立する際に、家族関係の影響で食卓からうまく離れることができない病い、と捉えます。

 これらも、なかなか新鮮で、刺激的な論考です。

 また、摂食障害の治療に関しては、真面目すぎる患者さんが多いので、治療者も困惑することの大切さ、を説きます。

 さらに、下坂幸三さんも同じように述べていますが、専門用語は意味を確かめ、ふだんの言葉に直すことの大切さを述べます。

 他にも、大切なお話がたくさん出てきます。

 もっともっと、学んでいきたいと思います。    (2019.6 記)

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 2021年1月の追記です

 統合失調症の患者さんに真面目なかたが多いのは周知のことですが、摂食障害の患者さんも真面目なかたが多いように思います。

 摂食障害という病いになって、はじめてわがままが出せるようになったのかもしれません。

 ほどよいわがままの出し方を一緒に探っていくことが大切になりそうです。    (2021. 1 記)

 

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読書三昧・村上春樹さん・藤沢周平さん-じーじのじいじ日記・セレクト

2024年05月07日 | じいじ日記を書く

 2019年の日記です

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 金曜日のボランティアで疲れたせいか、週末は小説三昧。

 村上春樹さんの『ダンス・ダンス・ダンス』(2004・講談社文庫)と藤沢周平さんの『三屋清左衛門残日録』(1992・文春文庫)を交互に読む。

 すごい組み合わせ、自分でも驚く(!)。

 しかし、これがとてもいい。

 カステラとおせんべいを交互に食べているような感じ(?)。

 洋風と和風のコラボレーションだ。

 どちらもなかなか深くて、しかし、少々のユーモアが効いているので、読み心地がいいし、後にひく。

 人生とは、出世とは、仕事とは、男女とは、などなど、久しぶりに考えながら、しかし、時おり、ニヤリとしながら読む。

 どちらもおとなの小説で、じーじにも読みごたえを感じさせてくれる。

 いい週末だ。

 そして、もうすぐビールの時間だ。     (2019.5 記)

 

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滝川一廣『「こころ」の本質とは何か-統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ』2004・ちくま新書

2024年05月07日 | 子どもの臨床に学ぶ

 2019年のブログです

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 先日の遊戯療法学会で滝川一廣さんのお話に感心をしたので、本棚の隅っこにあった滝川さんの『「こころ」の本質とは何か-統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ』(2004・ちくま新書)を見つけ出して読む。  

 久しぶりだが、いい本だ。  

 統合失調症の発症の経過がとてもていねいに説明されて、中井久夫さんと同じくらいにわかりやすい。  

 幻聴の生じ方もよく理解できる。  

 自閉症に関しては、共同性という概念の導入で、こちらもとても理解しやすい。  

 自閉症が単なる発達の正規分布の一部であることも述べられて(いわゆる自閉症スペクトラムだ)、いたずらに原因追及をすることの弊害も説明される。  

 それよりも、関係性の発達の遅れととらえて、周囲がかかわることの大切さが説明される。  

 昔と違って、一次産業や二次産業の人口が減り、三次産業という対人職種の増加による人間関係のおおらかさや多様性の減少が指摘され、それによる社会のゆとりのなさや人のぎこちなさの目立ちの問題も指摘される。  

 重要な視点が提示され、われわれの視方も吟味される感じがする本だ。

 いい援助のための視点を提供してくれる、いい本だと思う。    (2019.5 記)

 

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遊戯療法・箱庭療法・プレイセラピー-2019年遊戯療法学会

2024年05月07日 | 子どもの臨床に学ぶ

 2019年の日記です

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 昨日から遊戯療法学会で東京にいる。

 昨日はワークショップとシンポジウム。

 ワークショップは山中康裕さん。

 箱庭療法のカルフさんと思い出話。

 今も昔も「熱い」先生で尊敬をする。

 山中さんのお元気なお話を堪能してまことに幸せな時間を過ごす。

 シンポジウムは養護施設の子どもさんのケース。

 いつもお世話になっている新潟大の横山知行先生が指定討論者のお一人だったが、先生のすごいケースも提示されて、教わることが多かった。

 今日の午前中は研究発表。

 じーじは田中千穂子さんが助言者の分科会に参加したが、田中さんのあいかわらず切れのいい助言に酔う。

 とても幸せな時間だった。

 午後、もう少しだけ勉強をして帰りの新幹線に乗る予定。

 新幹線で吞むビールが今から楽しみだ。    (2019.5 記)

 

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