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ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや原っぱカウンセリングなどをやっています

大平健『顔をなくした女-<わたし>探しの精神病理』1997・岩波書店-「わたし」とは?

2025年04月02日 | 精神療法に学ぶ

 2019年のブログです

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 大平健さんの『顔をなくした女-<わたし>探しの精神病理』(1997・岩波書店)を再読しました。

 大平さんの『豊かさの精神病理』や『やさしさの精神病理』シリーズの一冊、精神科臨床での丁寧な面接風景が描かれます。

 こういう面接をしてみたいな、と思いますし、こういう場面を描写してみたいな、と思いますが、まだまだ力不足です。

 今回、印象に残ったことを一つ、二つ。

 まずは、表題作の、顔をなくした女。

 兄嫁への恨みから発病をした女性、顔がない、と訴えます。

 面接を重ねるうちに、兄嫁より家を継がない兄への恨みが判明しますが、兄にあわせる、顔がない、こともわかります。

 ミステリアスな患者さんの訴えが、精神科面接で少しずつ明らかになっていく様子がすごいです。

 もう一つは、多重人格の女性。

 当時はまだ日本における多重人格の、流行前、の時期ですが、大平さんの面接は慎重で、かつ、丁寧で、感動的です。

 こちらも面接を重ねるうちに、少しずつ出現する人格が減少していき、強い抑圧の結果、人格が分裂せざるをえなかった女性の悲劇が判明します。

 粘りづよく、患者さんをあくまでも大切にして、寄り添っていく大平さんはすごいの一言です。

 まるで推理小説を読むような、見事な治療ですが、やはり患者さんへの愛と尊敬が根本にあることがよくわかります。

 そういう臨床家に少しでも近づけるよう、じーじも謙虚に研鑽を続けようと思います。             (2019.6 記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com  


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