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ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや海岸カウンセリングなどを研究しています

小此木啓吾『対象喪失-悲しむということ』1979・中公新書-悲しみをこころから悲しむことの大切さ

2025年08月12日 | 精神分析に学ぶ

 2015年6月のブログです

     *

 小此木さんの『対象喪失』を久しぶりに読みました。

 たぶん10年ぶりくらいだと思うのですが…。

 なかなか勉強になりました。

 最近,「うらみ」やその解消などについて考えていて,ふと「対象喪失」や「喪」の作業との関係に思い当たって読んでみたのですが,当たり!でした。

 「対象」を喪失するのは人生では当然のことですが,その時に「断念」や「諦め」,「喪」の作業が十分でないと辛いことになりそうです。

 逆説的ですが,「対象喪失」を時間をかけて十分に「悲しむ」ことが大切になります。

 きちんと悲しめないと,うらんだり,すねたり,ねたんだりすることになるようです。

 また,今回,小此木さんが,対象喪失とウィニコットの移行対象との関連を指摘していることに今さらながら初めて気づきました。

 言われてみればもっともなのですが,さらに勉強が必要だと思いました。

 頑張りたいと思います。         (2015.6 記)

     *

 2022年6月の追記です

 移行対象というのは、ご存じのかたもいらっしゃると思いますが、幼児がいつも大切にしている古い毛布やぬいぐるみのことで、これは心理学的には母親がわりの存在です。

 幼児はさまざまな対象喪失の時に、移行対象の助けを得て、対象喪失の苦痛を乗り越える、と小此木さんは述べています。         (2022.6 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com  

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メルツァー(新宮一成ほか訳)『夢生活-精神分析理論と技法の再検討』2004・金剛出版-夢の大切さを学ぶ

2025年07月31日 | 精神分析に学ぶ

 2012年2月のブログです

     *

 イギリスの精神分析家のメルツァーさんの『夢生活-精神分析理論と技法の再検討』(新宮一成ほか訳・2004・金剛出版)を読みました。

 このところ、メルツァーさんの『精神分析過程』(2010・金剛出版)や『精神分析と美』(2010・みすず書房)を何回か読んでいて、今回ようやく『夢生活』も読めました。

 いずれもとても難しく、まだまだ何度か読み込まないと理解できないと思いますが、『夢生活』では以前読んだことのある哲学者のカッシーラさんが取り上げられていて、面白いところで繋がってきたなと思ったりしました。

 象徴と夢の関係とか、もっともっと勉強すべきことがらがあるようです。

 ちなみに、『夢生活』を読んで感じたのは、夢を生きることの大切さということです(間違っていないと思うのですが…)。

 このあたりからはユングさんとの関連性も出てきそうですが、今後の課題となりそうです。        (2012.2 記)

     *

 2024年1月の追記です

 久しぶりに本書も手に取ってみました。

 しかし、今でも難しい本であることにかわりなく、なかなか理解するのは大変です。

 それでも、やはり、哲学者のカッシーラさんやヴィトゲンシュタインさん、チョムスキーさんなど、じーじも難しいなりに読んでいる学者さんの名が出てきたりして、うれしくなります。

 また、本書でも、夢分析の実際の様子とその解説が詳しく述べられていて、初学者にはとても勉強になります。

 もっともっと、勉強をしていこうと思います。         (2024.1 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事  心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文 家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所  新潟市西区

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藤山直樹『精神分析という営み』2003・岩崎学術出版社-藤山直樹さんの率直な語りに学ぶ

2025年07月29日 | 精神分析に学ぶ

 たぶん2017年ころのブログです

     *     

 藤山直樹さんの『精神分析という営み』(2003・岩崎学術出版社)を再読しました。

 何回目になるでしょうか、じーじはこの本を読んで藤山さんのファン(?)になったのですが、いざ感想を述べるとなると、じーじの理解不足、経験不足もあって、なかなか難しい本です。

 今回もうまくまとめられるかな、と思いながら読んでいましたが、とりあえず、印象に残ったことを一つ、二つ、書いてみます。

 まずは事例がすごいです。何回読んでも新鮮です。こんなことがあるんだとびっくりします。

 そして、多少の失敗も含めて、すごく正直に(おそらく)、率直に書かれていると思います。

 その中から、精神分析の考え方をていねいに検討しておられるので、説得力がありますし、初学者にも勉強になります。

 特に、印象的な事例は、一番最初の藤山さんが殴られる事例。

 患者さんが面接中に、支配的な両親と藤山さんを同一視して行動化してしまうのですが、それをきちんと分析する藤山さんに感心します。

 他の事例でも、面接中に逆転移や投影同一化に揺れる藤山さんがすごく正直に描かれます。

 また、精神分析はキャッチボールではない、という大切な命題も主張されます。

 関連して、共感をめざす危険性にも論及されます。

 自分のカウンセリングを反省させられます。

 さらに、ウィニコットさんを引用されて、遊ぶ余裕の中でしか、創造的な心理療法はできない、とも主張されます。

 理論と経験と実践が密接にリンクしていて、迫力がありますし、勉強になります。

 さらに勉強をして、経験を積み、力のある臨床家になりたいな、と強く思える本だと思います。

 なお、序文は土居健郎さん。

 土居さんも率直に藤山さんを評します。

 いい師弟関係だなとうらやましくなります。           (2017?記)

     *

 2019年10月の追記です   

 先日の精神分析学会で、藤山さんが本書の論文に触れていたので、再読をしました。

 じーじにしては2年ぶりと、めずらしく早めの再読です。

 やはりすごい本です。一気に読んでしまいました。

 症例がすごいです。率直に書かれていて、臨場感がすごいです。説明も簡潔明瞭で、藤山さんの学会での語りと同じです。

 あこがれますね、こういう人に…。

 さらに勉強と経験を積み重ねようと思います。          (2019. 10 記)

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 経歴 

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 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

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 仕事  心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文 「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

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藤山直樹『続・精神分析という営み』2010・岩崎学術出版社-その2・「甘え」と秘密をめぐって

2025年07月25日 | 精神分析に学ぶ

 2022年8月のブログです

     *

 藤山直樹さんの『続・精神分析という営み』(2010・岩崎学術出版社)を久しぶりに再読しました。

 今回もいろいろなことが勉強になりました。

 特に今回、じーじが参考になったことは、「甘え」と秘密の関係と、自由連想についての考察。

 いずれも鋭いです。

 秘密の問題については、精神分析でいろいろな方が論じていますが、今回、藤山さんは、「はにかみ」と「甘え」いう現象を取り上げて説明をします。

 そして、おとなになるためには秘密が必要であり、それが「甘え」や「はにかみ」の世界に包まれるような関係が大切といいます(それで合っていると思うのですが、間違っていたら、ごめんなさい)。

 一方、自由連想。

 藤山さんは、自由連想は、単に自由に連想をすること、ではなく、自由に連想をしたことを語ること、に意味があるといいます。

 そして、患者さんが治療者に連想を語ることの一方、治療者は連想したことのすべてを語らず、もの想いすることの重要性を説きます。

 改めて、そう指摘をされると、本当に大事な点だな、と思います。

 まだまだ勉強不足で拙い理解だとは思いますが、さらに勉強を深めていきたいと思います。        (2022.8 記)

     *

 2025年7月の追記です

 秘密とおとなの関係について考えます。

 憎悪をあからさまに表現することが内外で増えていますが、生産的とは到底思えません。非常に子供っぽい印象を受けます。

 感情のぶつけ合いだけで、おとなの話し合いになっていないのです。

 おとなの世界になるためには、やはり抑制的で落ち着いた、ゆとりのある態度が必要なのでしょう。

 何でもあからさまに言ってしまうのではなく、時には言わないことも必要であって、そこに秘密や内緒、思いやりなどの配慮が大切になってくるような感じがします。

 おとなになるためには、やはり秘密や思いやりが大切なようです。     (2025. 7記)

     *

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 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

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 論文 「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

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藤山直樹『続・精神分析という営み』2010・岩崎学術出版社-その1・投影同一化と正直さをめぐって

2025年07月23日 | 精神分析に学ぶ

 たぶん2012年ころのブログです

     *   

 藤山直樹さんの『続・精神分析という営み』(2010・岩崎学術出版社)を再読しました。

 この本も何回か読んでいるのですが、じーじの理解不足もあって、リポートをするのがなかなか難しい本で、結局、読んでみてください、いい本ですし、すごい本です、としか言えないような感じもします。

 しかし、それではブログになりませんので、とりあえず、今回、じーじが印象に残ったことを一つ、二つ、書いてみます。

 この本の中では、解釈や自由連想、遊び、反復強迫、物語など、精神分析におけるいろいろな技法や現象の問題が論じられているのですが、じーじが一番印象に残ったのは、投影同一化の問題です。

 投影同一化は精神分析では重要なテーマですが、説明がなかなか難しい現象です。

 じーじの理解も十分ではありませんが、簡単にいうと、患者さんが治療者に自己の問題を無意識に投影して、治療者が動きの取れないような心理的状態になることを言います(これで合っているのかな?)。

 そして、その困難な状況に治療者がなんとか耐えているうちに、事態が打開するというふうに、現在の精神分析では論じられています。

 そして、この本の藤山さんの論文では、いろいろな技法や現象の説明のところにかなり投影同一化が顔を出しているような気がします。

 この理論的にも、技法的にもとても難しい現象を、藤山さんは相当に苦労しつつも、しかし、なんとか打開をして、そのうえで、そこでの転移・逆転移を説明されています。

 これは初学者にはとても勉強になります。

 初学者の場合、何が起こっているのか、よくわからないままに事態が推移してしまうことが多いと思います。

 それをわかりやすく説明してもらえるのは、すごく勉強になります。

 さらに、藤山さんの、事例での正直さはすごいです。

 それは、プロセスノートについての論文でも明確ですが、わからないものをわからない、と言う正直さと勇気が、やはり大切なんだな、と考えさせられます。

 ともすると、わたしたちは格好よくしたがりがちですが、臨床では他の大家もそうですが、正直さが勝負のようです。

 さらに謙虚に学び、実践をしていこうと思います。      (2012?記)

     *

 2023年秋の追記です

 わからないものをわからない、と言う正直さと勇気、というところは、わからないことに耐えることの大切さ、に通じそうですね。   (2023.10 記)

     

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藤山直樹『集中講義・精神分析(上)』2008・岩崎学術出版社-上智大学の学生さんと精神分析を学ぶ

2025年07月18日 | 精神分析に学ぶ

 たぶん2016年ころのブログです

     *   

 藤山直樹さんの『集中講義・精神分析(上)』(2008・岩崎学術出版社)を再読しました。

 なぜか下巻の感想は2011年に書いているのですが、上巻の感想は初めてです。

 おそらく3回目の勉強だと思うのですが、3種類の付箋とたくさんのアンダーラインで本の中がとてもにぎやかになってしまいました。

 藤山さんの本は、読めば読むほど勉強になるところが多くて、いつも刺激的に読めます。

 ましてや、フロイトさんが相手ですから、こちらの経験に応じて、読みも深まってくるのだろうと思います。

 本書は藤山さんの上智大学での2006年の講義が元になっていますが、レベルはかなり高いと思います。

 こういう講義が学べる上智大学の学生さんがちょっとうらやましくなりました。

 さて、今回、印象に残ったことを二つ、三つ書きます。

 一つめは、精神分析のあり方。

 やはり、治療者が投影同一化で揺さぶられながらも、なんとか生き残ることが重要なようです。

 その時に、もの想いをしながらボーとしていることも大切なようです。

 たいていの人は患者さんの攻撃に生き残ることができずに、患者さんの傷つきをさらに深めているので、ここはぼろぼろになりながらも生き残ることに意味があるようです。

 そして、このことは親子関係にも通じるのではないかと思いました。

 二つめは、エディプス・コンプレックスが世代間境界をつくり、それが道徳などにつながっていくということ。

 世代間境界のことは、家庭内暴力の家族でその不十分さが指摘される点ですが、エディプス・コンプレックスや道徳との関係で考えたことはなかったので、新鮮でした。

 三つめは、精神分析を転移の場にしていくということ。

 反復強迫は患者さんなりの努力の結果ですが、その反復強迫を転移の場で、遊びにできると治療につながる、というお話は魅力的です。

 フロイトさんからウィニコットさんにつながる点を指摘してもらって、勉強になりました。

 まだまだ学ぶところが多い本で、今後も読みを深めていきたいと思いました。           (2016?記)

      *   

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 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

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 論文 「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

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藤山直樹『集中講義・精神分析(下)』2010・岩崎学術出版社-上智大学の学生さんと精神分析を学ぶ

2025年07月17日 | 精神分析に学ぶ

 2011年のブログです

     *

 藤山直樹さん(本当は藤山先生と書きたいのですが、河合隼雄さんも先生でなく、さんづけでしたのでそうします)の『集中講義・精神分析(下)』を再読しました。

 藤山さんの上智大学での講義です。

 本が出てすぐに一度読んだのですが、今回はノートを取りながら読みました。

 一度目に読み落としていた部分がいっぱいあって、反省でした。

 上巻でもそうでしたが、藤山さんはフロイトさんの原典をより忠実に、しかもより深く読み込んで、自論を展開されていますが、それは下巻でも同様で、主にクラインさんとビオンさんとウィニコットさんの原典を忠実に読み込みながら、そこから現在の精神分析で議論されていることについて、ご自分の考えを展開されているように思いました。

 特にウィニコットさんの原典からの読み込みの深さとそこからの展開はすばらしく、初学者のじーじにでも頷く部分が多くありました。

 そういう中で臨床家の姿勢やあり方といったものを考えさせられました。

 もっともまだまだ十分に理解ができているとは言えないと思いますので、さらに読み込んでいこうと思いました。

 今年秋の名古屋での精神分析学会では生で藤山さんの話が聞けそうですので、今から楽しみです。                (2011. 8 記)

(この時はまだ藤山さんを生で(?)見たことがなかったのですね、少しびっくりです。) ( 2020.4 記)

     *  

 2018年秋の追記です

 7年ぶりに再読をしました。

 とてもいい本なのに、まったく勉強不足です(藤山さん、ごめんなさい)。

 今回も新しい発見がありました。

 一つは、精神分析について。

 藤山さんは、精神分析は切り離されているこころの部分と出会う経験だ、と言います。

 とてもわかる言葉です。すばらしいな、と思います。

 二つめは、精神医学で対処できる病気は精神医学で対応し、やたらに精神分析を行なうことはしない、という点。

 ただ単に熱心に患者さんの話をきくことの弊害を述べ、きくべき病気ときかないほうがいい病気の峻別の大切さを指摘します。

 デイケアでの経験でも確かに頷ける点であり、大切な視点だと思いました。

 三つめは、ビオンさんが、夢は無意識と意識をつなぎ、意味を生成する、順調なら目覚めている時も夢を見て、意味を生成する、と述べているところを紹介された点で、たぶん村上春樹さんも同じことを述べていて、びっくりしました。

 さらに、7年といわずに、また勉強しようと思います。                 (2018.10 記)

     *    

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 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

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藤山直樹『精神分析という語らい』2011・岩崎学術出版社-夢を見ることと精神分析

2025年07月16日 | 精神分析に学ぶ

 2011年のブログです

       *   

 藤山直樹さんの『精神分析という語らい』(2011・岩崎学術出版社)を読みました。

 少し難しかったけれど(何割くらい理解できているのかなあ)、哲学的な部分に触れる箇所もあって、じーじにとってはかなり刺激的でした。

 じーじが一番おもしろく読んだのは「夢みることと精神分析」の章。

 人は人間的であるとき、眠っているときも覚醒しているときも夢をみている、というところや、夢みることは創造的に遊ぶことに結びついている、というところ、あるいは、人はひとりで夢みているようにみえてそうではない、より哲学的な物言いをすれば、そこには自分のなかの他者が関与している場所である、といった箇所でした。

 何かちょっと村上春樹さんと共通点があるような感じがしましたが、そう思うのはじーじだけでしょうか?

 まだまだじっくりと読み込んで理解を深める必要があると思いますが、今後も大切に読み込んでいきたい一冊だと思いました。         (2011 記 )

     *  

 2018年秋の追記です

 久しぶりに再読をしました。

 2011年に読んで、その間にもう一回読んでいるようで、2種類の付箋とアンダーラインで、本のページはかなり賑やかです。

 今回も夢のところは印象的で、前回の文章を再確認しました。

 加えて、夢を見れないことや妄想との関係についても教えられました。

 今回、もう一つ印象的だったのは、土居さんの甘え理論と対象関係論についてのところ。

 土居さんがフロイトさんと格闘して甘え理論に達していた頃、英国の対象関係論もビオンさんなどが同じような発見をしていたという考察はすごいと思います。

 土居さんの甘え理論についてはずいぶん本を読んでいたつもりですが、今回は目からうろこ、という感じで、腑に落ちました。

 本を読み重ねていくとこういういいこともあるんだな、と今回、つくづく思いました。

 いい本を読んで、いい経験ができたなあ、と思います。          (2018.11 記)

        *

 2019年11月の追記です   

 じーじにしてはめずらしく、1年ぶりで再読をしました。今年10月の札幌での精神分析学会で、藤山さんのお話を聞けた影響が大きいです。

 今回も印象に残ったのは、土居健郎さんの「甘え」論文について考察をされている論文。

 土居さんへの敬意と、あくまでもそれを乗り越えていこう、あるいは、現代に展開していこうとする藤山さんの熱意に感動します。

 地に着いた考察、借り物でない、自分の言葉での論考は本当にすごいと思います。 

 さらに勉強をしていこうと思いました。          (2019.11 記)

     *

 2022年夏の追記です

 3年ぶりに再読をしました。

 なかなか難しい本ですが、やはり刺激的です。

 夢と精神分析の関係や「甘え」と対象関係論の関係など、考えさせられるところが多々あります。

 そして、すごいのは、藤山さんがこれらについて考察する時に、ご自身のケースを取り上げて検討をされていること。すごいなあ、と思います。

 やはり、本物の理論は、ケースに始まり、ケースに終わり、深まるものなんだなあ、と考えさせられました。       (2022.7 記)

     *   

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 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

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 論文 」家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

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フロイト(高橋義孝・下坂幸三訳)『精神分析入門』(上・下)1977・新潮文庫-フロイトさんをていねいな日本語で読む

2025年07月10日 | 精神分析に学ぶ

 たぶん2011年ころのブログです

       *  

 フロイトさんの『精神分析入門』(上・下)(高橋義孝・下坂幸三訳、1977・新潮文庫)を読みました。

 たぶん7~8年ぶりです。

 ずいぶん久しぶりになってしまいました。

 やっぱり勉強不足ですね。

 裏表紙を見ると、じーじがこの本を買ったのが1984年で、臨床の仕事について7年目のこと。

 以来、読んだのが、今回で4回目か5回目ですが、「入門」とはいうものの、なかなか難しい本です。

 訳者の高橋義孝さんは優秀なドイツ文学者で、ゲーテさんの翻訳などで有名ですが、フロイトさんも訳しています。

 また、下坂幸三さんは精神科医で、摂食障害の治療に優れ、家族面接でも優秀な治療者です。

 下坂さんは何度か家族療法学会でお話を聞いたり、フロアから発言するお姿を拝見しましたが、厳しいなかにも優しい心配りが感じられる先生でした。

 このお二人が訳した本なので、最高の日本語訳なのですが、いかんせんじーじの力不足で、今回もまだまだ読みが浅いまま終わってしまった感があります。

 それでも、今回、印象に残ったのが夢のところ。

 このところ、フロイトさんを読んでいるとよく出てくるのですが、夢は無理に記憶する必要はない、必要なものは反復される、というところ。

 これはフロイトさんの、平等に漂う注意、ということを考えればうなづけるところですが、改めて再認識をさせられました。

 ものぐさのじーじにはありがたい箇所ですが、ありのままに丁寧に夢を味わうことの大切さを述べているのかなと思ったりしています。

 しかし、まだまだ読みが浅いと思います。

 これからもじっくりと読み込んでいきたいと思います。           (2011?記)

     *

 2024年1月の追記です

 以前にも書きましたが、フロイトさんは、耐えがたい不幸を普通の不幸にするのが精神分析、といいました。

 精神分析は、人を幸せにする手段ではなく、不幸と付き合っていける力をもたらすものなのかもしれません。       (2024.1 記)

      *

 2025年7月の追記です

 今頃、気がついたのですが、ここでも、反復、ということが出てきていますね。

 夢や人生の反復を読み取ることが、精神分析や心理療法では大切なことになるようです。    (2025.6記) 

     *  

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事 心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文 「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所  新潟市西区

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松木邦裕『不在論-根源的苦痛の精神分析』2011・創元社-その2・やっと再読ができました

2025年06月11日 | 精神分析に学ぶ

 2019年6月のブログです

     *

 松木邦裕さんの『不在論-根源的苦痛の精神分析』(2011・創元社)、やっと再読できました。

 この『不在論』が本棚の中で(おそらく)、かくれんぼをしていて、なかなか見つけられないことは以前、ブログに書きました。

 しかし、結局、どうしても見つけられず(ひょっとすると別の部屋に隠れているのかな?)、気の短いじーじはついに新しいのを買ってしまいました(うちの美人ちゃん奥さんには内緒です)。

 ようやく再読です。

 しかし、これが、やはりなかなか難しい本で、とても大切なことが書かれているのはわかるのですが、自分の臨床経験の少なさと理解の浅さから、思うようには掴まえられない感じです。

 今回、印象に残ったことを一つ、二つ。

 一つめは、精神分析の目標について。

 松木さんはフロイトさんが『ヒステリー研究』に書いた、痛ましい状態をありきたりの不幸に変える、というところを引いて、精神分析はそういうもので、さらに、不幸に耐える力を高めるもの、と述べます。

 精神分析が不幸を取り除いたり、幸せを与えたりするものではないことに注目だと思います。

 二つめが、乳児の理想的な乳房の幻想と不在の乳房についてで、対象喪失の問題です。

 対象喪失には、喪の哀悼の仕事が必要で、そこから抑うつ態勢ができると述べ、悲しみから(生きることの)哀しみに変わることが大切と述べます。

 そして、喪の哀悼の仕事の中で、患者さんがこころの痛みや哀しみに持ちこたえ、それらを受けいれていけるといいます。

 さらに、精神分析は、患者さんが不安や喪失をこころに収めきれないでいる状態を、収められるように援助することと述べます。

 このあたり、やはり臨床の経験を積まないと理解が難しそうですが、とても大切なことが述べられているように思います。

 さらに、勉強を重ねていこうと思います。          (2019.6 記)

     *

 2021年3月の追記です

 再読をしました。じーじにはめずらしく(?)、2年目での再読。

 やはりすごい本です。

 前回、頭でわかったつもりのことが、今回はこころに響いてきたような感じがします。

 さらに勉強を深めたいと思います。         (2021.3 記)

     *

 2024年夏の追記です

 フロイトさんが『ヒステリー研究』に書いた、精神分析は痛ましい状態をありきたりの不幸に変える、というところ、松木さんが、精神分析はそういうもので、さらに、不幸に耐える力を高めるもの、と述べているところはとても大切だと思います。

 精神分析が不幸を取り除いたり、幸せを与えたりするものと誤解されがちですが、じつはそうではないことが重要だと思います。        (2024.7 記)

     *

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松木邦裕『不在論-根源的苦痛の精神分析』2011・創元社-その1・『不在論』が不在になっちゃいました(?)

2025年06月10日 | 精神分析に学ぶ

 なぜかこのところ、この2011年の古いブログを読んでくださるかたが何人かいらっしゃって、内容も今からみるとかなり不十分な感じがしますが、一応、再録をしてみます。

 そろそろ、もう一回読んでしっかりとリポートをしろ、ということかもしれませんし、じーじ自身も、そろそろ再読をしなければいけないな、とも思っています。

 そういうことで、こんな形でさらに勉強ができるのもいいな、と思ったりしています。  (2018?記)

     * 

 2011年のブログです

 精神科医で精神分析家の松木邦裕さんの『不在論-根源的苦痛の精神分析』(2011・創元社)を読みました。

 なかなか難しい本でじーじには2~3割くらいしか理解ができていないと思いますが、それでも力の入ったいい本だということは判りました。

 フロイトさんを着実にたどりながら(そういう意味では藤山直樹さんと似ている面があると感じました)、そこからさらに深く考え抜いていく姿勢は凄いです。

 当然、クラインさんやビオンさんにも言及がされますが、基本はやはりフロイトさんでした。

 いろいろなことが述べられていますが、やはり松木さんのいう「喪の哀悼の過程」を興味深く読ませていただきました。

 わたくしごとながら、じーじも今年は喪の作業の最中で、そういう時期にこのような本を読めたことに感謝したいと思いました。

 今後も何度か読み返していきたい本だと思いました。              (2011 記)

     *

 たぶん2018年の追記です

 久しぶりに『不在論』を読もうと思って、本棚の前に立ったのですが、どういうわけか『不在論』が不在(?)で見当たりません。

 これが本当の『不在論』です。

 ここで「不在」の悲しみをしっかりと味わいなさい、という神さまのご配慮(?)かもしれません(本当はただの整理整頓不足なのですが…)。

 「不在」の意味をよーくかみ締めながら、さらに学んでいこうと思います。               (2018?記)

     * 

 2019年の追記です

 『不在論』はまだ不在中です。

 どこに隠れているのかな?                (2019 記)

     *

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オグデン(狩野力八郎監訳・藤山直樹訳)『こころのマトリックス-対象関係論との対話』1996・岩崎学術出版社

2025年05月17日 | 精神分析に学ぶ

 2023年5月のブログです

     *

 久しぶりに再読をしたアメリカの精神分析家のオグデン(狩野力八郎監訳・藤山直樹訳)『こころのマトリックス-対象関係論との対話』(1996・岩崎学術出版社)をようやく読み終える。

 藤山直樹さんの翻訳デビュー作である。

 藤山さんが土居健郎さんの7年にわたるスーパーヴィジョンを終えて、狩野力八郎さんのスーパーヴィジョンを受けはじめた頃、狩野さんから紹介のあったこのオグデンさんの本を藤山さんが翻訳、それを狩野さんと藤山さんが4年をかけて検討したという労作。学者さんの世界も大変だ。

 オグデンさんの本の紹介は2冊目だと思うが、オグデンさんはアメリカの精神分析家で、フロイトさんやクラインさんの考えを深化させ、ウィニコットさんやビオンさんのアイデアを発展させている人で、じーじもよくわからないなりに(?)ファンである。

 たしか、土居健郎さんが有名な『方法としての面接』の中ですでに注目をされていて、その本物ぶりがわかるが、オグデンさんの本はどれもかなり難解だが、読みごたえがある。

 じーじもわからないなりに読んできているが、なかなか感想文を書くほどには理解ができず、もう何回かずつは再読をしないと、自分なりの考えがまとめられない状態だ。

 しかし、いつまでもそうも言ってられないので(?)、今回も、わからないなりにも、現状でわかる(らしい)ことを大胆にも(?)感想文に書いてみることにした。

 まずは、フロイトさんやクラインさんの考えの検討がすごい。精神分析の概念がていねいに再検討され、哲学的な視点からも考察されて、勉強になる。

 特に、クラインさんの妄想・分裂ポジションや抑うつポジションの再検討などは、そういう見方もできるのかとびっくりする。

 視点が主体や歴史の問題などにも発展をして、読んでいてわからないなりにも面白い。

 さらに、ウィニコットさんの考えの再検討も刺激的だ。

 遊ぶこと、移行対象、可能性空間などのアイデアがより深く検討され、投影同一化のプラスの意義も明らかにされて、目からうろこが落ちる感じがする。

 おそらく、これからも何回も再読をしないとわからなさが残るのだろうが、奥の深さが予感されて、楽しみでもある。

 わからないことに耐えることは、精神分析の世界でも同じなのだろう。

 奥の深い、いい本に出会えて、幸せである。         (2023.5 記)

     *     

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オグデン(藤山直樹監訳)『精神分析の再発見-考えることと夢見ること、学ぶことと忘れること』2021・木立の文庫

2025年05月15日 | 精神分析に学ぶ

 2022年5月のブログです

     *

 アメリカの精神分析家であるオグデンさんの『精神分析の再発見-考えることと夢見ること、学ぶことと忘れること』(藤山直樹監訳・2021・木立の文庫)を読む。

 2021年10月の発行時に一回読み、半年後の今回、再読をする。勉強嫌いのじーじにはめずらしいこと。

 すごく面白い本だが、なかなか難しく、どれだけ理解できたか。

 再読をしても、感想文を書くほど理解できているかどうかもわからないが、とりあえず今の段階でわかっているらしいことを記す。

 そういえば、オグデンさんの本はとても面白くて数冊読んでいるが、いずれも感想文は書けずにいる。今後の課題だ(藤山さんの翻訳デビュー作であるオグデンさんの『こころのマトリックス-対象関係論との対話』(1996・岩崎学術出版社)もとてもいい本で、いつかご紹介できればいいなあと思う)。

 さて、今回読んで感じたことを一つ、二つ。

 まずは、オグデンさんが、ビオンさんの『臨床セミナー』(じーじの拙いブログもあるので、よかったら読んでみてください)を詳しく解説というか、説明しているところがすごい。

 ビオンさんがセミナーでケース提供者にスーパーヴィジョンをしている内容だけでもすごいが、それをさらにわかりやすく解説するオグデンさんの多面的な視点がすごいと思う。すごく勉強になる。

 ともすると、一見わかりにくいビオンさんの言葉が(ビオンさん、ごめんなさい)、オグデンさんの説明で、すごくよくわかる(ような気がする)。

 そして、驚いたのが、オグデンさんもわからないことに耐えることの大切さを述べているところ。

 ビオンさんの、事実と理由を苛立って追い求めることなく、不確実さ、謎、疑惑のなかに留まること、というところをひいて、真に考えるためには、知らないということへの耐容性が必要である、と述べている。すごい。

 ますます深く考えていく必要が出てきたと思うし、ゆっくりと不確実さを味わっていこうと思う。

 二つめは、夢見ること。

 オグデンさんは、精神分析では、夢見ることが大切で、精神分析の時に、それが患者さんでは自由連想になり(子どもでは遊びになり)、分析家ではもの想いになる、とウィニコットさんをひいて述べる。

 卓見であると思う。夢見ることの大切さをわかりやく述べていると感心する。

 そして、さらに、夢の重要さや不思議さなどについても、たくさんの症例が述べられていて、勉強になると思う。

 時間をかけて読んだわりには、ご紹介できる内容が拙いが、本当にいい本だと思うので、今後も再読をして、実践を重ねて、理解を深めていきたいと思う。

 素敵な本に出会えて幸せである。          (2022.5 記)

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西園昌久『精神分析技法の要諦』1999・金剛出版-精神分析の基本と実践に学ぶ

2025年04月04日 | 精神分析に学ぶ

 2019年4月のブログです

     *

 精神科医で精神分析家の西園昌久さんの『精神分析技法の要諦』(1999・金剛出版)を再読しました。

 これもすごく、というか、ものすごく久しぶりの再読です。 

 真面目そうな、堅実そうな印象の本でしたので、再読がつい遅くなってしまいました(西園さん、ごめんなさい)。

 西園さんには思い出があり、今から20年以上前、新潟で家族療法学会があった時に、初めて講演をお聞きして、すごいな、と感心した記憶があります。

 それまで学会などには背を向けていたのですが、本当にすごい人がいるんだな、と思い、その後、いくつかの学会に顔を出すきっかけをつくってくださいました(西園さん、ありがとうございます)。

 それから何度かお話をお聞きしたり、本を読ませていただいて、勉強をさせてもらっていますが、その堅実な理論と豊富な症例には本当に感心させられます。

 それは本書でも同様で、症例の豊富さには本当に驚かされますし、多少の失敗場面をもきちんとご紹介してくださる正直さには頭が下がります。

 この点は土居健郎さんや藤山直樹さんなどにも共通をしますが、失敗場面をきちんと提示して、そこから学ぶ姿勢は、みなさんすごいと思いますし、見習いたい点です。

 その他に印象に残った点としては、やはり、心理療法においては、いま、ここでのやりとりを、感情をこもった体験として行なうことの大切さということ。

 その際に、できればユーモアを伴うことができればないよい、ということなどが述べられていて、いつも思っていることではありますが、再確認をしました。

 さらに、今回気づいたのが、作業療法の大切さに触れている点。

 頭だけでなく、手を使い、足を運び、体を動かすことの重要さを述べられていて、精神科デイケアでの実践や援助の学びになります。

 大家からいろいろと大切なことを再び学び直し、少し勇気をいただいて、さらに学んでいきたいと思いました。         (2019.4 記)

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ウィニコット(橋本雅雄訳)『遊ぶことと現実』1979・岩崎学術出版社-遊ぶことの大切さを考える

2025年04月01日 | 精神分析に学ぶ

 2018年のブログです

     *  

 小児科医で精神分析家のウィニコットさんの『遊ぶことと現実』(橋本雅雄訳・1979・岩崎学術出版社)を再読しました。

 何回目になるでしょうか。

 何回読んでも難しい本ですし、奥がすごく深い本で、じーじなどはまだまだどれくらい理解できているのか心もとありません。

 1979年発行の本で、じーじが持っているのが1988年の本、おそらく精神分析に興味を持ちだした頃に買ったのではないかと思います。

 その後、精神分析だけでなく、面会交流の仕事をする中で遊戯療法なども勉強し、そちらからもウィニコットさんに近づくことが増えたと思います。

 じーじの数少ない論文もウィニコットさんを参考にして書かせていただきましたし、大学院の修士論文も同様で、ずいぶんお世話になっています。

 いろいろなことが述べられており、いろいろな学者さんに引用されている本書ですが、今のじーじに理解できている範囲で書いてみます。

 まず、有名なのが、遊ぶことにおいてこそ患者は創造的になっていく、ということ。

 ウィニコットさんは、創造することは存在すること、とも述べていますから、結局、遊ぶことは人が存在すること、生きること、ということになります。

 それだけ、自由に遊ぶことが生き生きと生きることや存在することに大切だということになります。

 そして、精神療法は患者が遊べない状態から遊べる状態にすること、と述べていて、精神療法における遊ぶことの重要性を強調します。

 一方で、ウィニコットさんは、精神療法は患者と治療者の二つの遊ぶ領域を重ね合わせること、とも述べていて、両者がそれぞれに遊ぶことの大切さを述べています。

 生きること、と同様、精神療法においても、その中で、自由に生き、自由に存在することが必須のことのようです。

 なお、遊ぶこと、というと、世間的にはやや否定的なイメージを持たれることもありますが、人間が真に自由に遊ぶことは尊いことなのだろうと思います。

 遊ぶことの大切さについては、ホイジンガさんなどをはじめとして、哲学からのアプローチもあり、広い勉強が必要になりそうで、少しずつでも考えを深めていきたいと思っています。

 さらに、本書には、他にも、移行対象やひとりでいる能力、潜在空間、中間領域、生き残ること、などなど、大切な概念が出てきます。

 いずれまた、それらについてもリポートができればいいな、と思っています。            (2018.12 記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

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