2019年6月のブログです
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松木邦裕さんの『不在論-根源的苦痛の精神分析』(2011・創元社)、やっと再読できました。
この『不在論』が本棚の中で(おそらく)、かくれんぼをしていて、なかなか見つけられないことは以前、ブログに書きました。
しかし、結局、どうしても見つけられず(ひょっとすると別の部屋に隠れているのかな?)、気の短いじーじはついに新しいのを買ってしまいました(うちの美人ちゃん奥さんには内緒です)。
ようやく再読です。
しかし、これが、やはりなかなか難しい本で、とても大切なことが書かれているのはわかるのですが、自分の臨床経験の少なさと理解の浅さから、思うようには掴まえられない感じです。
今回、印象に残ったことを一つ、二つ。
一つめは、精神分析の目標について。
松木さんはフロイトさんが『ヒステリー研究』に書いた、痛ましい状態をありきたりの不幸に変える、というところを引いて、精神分析はそういうもので、さらに、不幸に耐える力を高めるもの、と述べます。
精神分析が不幸を取り除いたり、幸せを与えたりするものではないことに注目だと思います。
二つめが、乳児の理想的な乳房の幻想と不在の乳房についてで、対象喪失の問題です。
対象喪失には、喪の哀悼の仕事が必要で、そこから抑うつ態勢ができると述べ、悲しみから(生きることの)哀しみに変わることが大切と述べます。
そして、喪の哀悼の仕事の中で、患者さんがこころの痛みや哀しみに持ちこたえ、それらを受けいれていけるといいます。
さらに、精神分析は、患者さんが不安や喪失をこころに収めきれないでいる状態を、収められるように援助することと述べます。
このあたり、やはり臨床の経験を積まないと理解が難しそうですが、とても大切なことが述べられているように思います。
さらに、勉強を重ねていこうと思います。 (2019.6 記)
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2021年3月の追記です
再読をしました。じーじにはめずらしく(?)、2年目での再読。
やはりすごい本です。
前回、頭でわかったつもりのことが、今回はこころに響いてきたような感じがします。
さらに勉強を深めたいと思います。 (2021.3 記)
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2024年夏の追記です
フロイトさんが『ヒステリー研究』に書いた、精神分析は痛ましい状態をありきたりの不幸に変える、というところ、松木さんが、精神分析はそういうもので、さらに、不幸に耐える力を高めるもの、と述べているところはとても大切だと思います。
精神分析が不幸を取り除いたり、幸せを与えたりするものと誤解されがちですが、じつはそうではないことが重要だと思います。 (2024.7 記)
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ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)のご紹介
経歴
1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。
1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。
1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。
1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。
1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。
2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。
2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。
仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。
所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会
論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか
住所 新潟市西区
mail yuwa0421family@gmail.com