たぶん2017年ころのブログです
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藤山直樹さんの『精神分析という営み』(2003・岩崎学術出版社)を再読しました。
何回目になるでしょうか、じーじはこの本を読んで藤山さんのファン(?)になったのですが、いざ感想を述べるとなると、じーじの理解不足、経験不足もあって、なかなか難しい本です。
今回もうまくまとめられるかな、と思いながら読んでいましたが、とりあえず、印象に残ったことを一つ、二つ、書いてみます。
まずは事例がすごいです。何回読んでも新鮮です。こんなことがあるんだとびっくりします。
そして、多少の失敗も含めて、すごく正直に(おそらく)、率直に書かれていると思います。
その中から、精神分析の考え方をていねいに検討しておられるので、説得力がありますし、初学者にも勉強になります。
特に、印象的な事例は、一番最初の藤山さんが殴られる事例。
患者さんが面接中に、支配的な両親と藤山さんを同一視して行動化してしまうのですが、それをきちんと分析する藤山さんに感心します。
他の事例でも、面接中に逆転移や投影同一化に揺れる藤山さんがすごく正直に描かれます。
また、精神分析はキャッチボールではない、という大切な命題も主張されます。
関連して、共感をめざす危険性にも論及されます。
自分のカウンセリングを反省させられます。
さらに、ウィニコットさんを引用されて、遊ぶ余裕の中でしか、創造的な心理療法はできない、とも主張されます。
理論と経験と実践が密接にリンクしていて、迫力がありますし、勉強になります。
さらに勉強をして、経験を積み、力のある臨床家になりたいな、と強く思える本だと思います。
なお、序文は土居健郎さん。
土居さんも率直に藤山さんを評します。
いい師弟関係だなとうらやましくなります。 (2017?記)
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2019年10月の追記です
先日の精神分析学会で、藤山さんが本書の論文に触れていたので、再読をしました。
じーじにしては2年ぶりと、めずらしく早めの再読です。
やはりすごい本です。一気に読んでしまいました。
症例がすごいです。率直に書かれていて、臨場感がすごいです。説明も簡潔明瞭で、藤山さんの学会での語りと同じです。
あこがれますね、こういう人に…。
さらに勉強と経験を積み重ねようと思います。 (2019. 10 記)