マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

96時間

2009年06月05日 | 映画
 「96時間」という月並みなタイトルから、ストーリーも月並みでどこかで見たような亜流の作品かと疑心暗鬼で試写を見た。

 リュック・ベッソンが製作に関わっていなければ、きっと見送っただろう。

 しかし、しかしである。私はその辺の道端で20キャロットの高価なダイアモンドを見つけたみたいな、実に得をした豪華な気分になっていた。

 オープニングからエンディングまで、何一つも無駄がない。「まばたき」以外、目を開きっぱなしでスクリーンに釘付けになっていた。最近の私の映画に向き合う姿勢からしたら、ものすごい事である。

 「パリで誘拐された娘を元CIAの秘密工作員だった父親が救い出す」という実にシンプルなストーリーなのだが、その展開は新鮮で斬新で、今まで見たことがない。

 ジョン・マクティアナン監督の『ダイハード』を初めて見た時の衝撃に近いものがあった。『ダイハード』に比べると、上映時間が1時間33分と短いがゆえに、若干荒さはないまでもないが、これはあえて欠点を見つけろと言われたら出てくるネガティブな言葉だ。むしろ、1時間33分にかくも巧妙にまとめたことに畏怖の念を抱く。

 最近見たサスペンスアクション映画の中ではパーフェクト中のパーフェクトだった!まさに20キャラットのダイヤモンド級の大傑作だ。
 
 父親役のリーアム・ニーソンの迫力あるアクションとフレキシブルな知性と防衛本能。彼の娘への救出劇に、私は得体の知れぬカタルシスを味わっていた。

 従来のサスペンス映画にない一種独特な香りが漂うのも、パリが舞台であったことと、『レオン』『フィフス・エレメント』の傑作を生んだリュック・ベッソン監督お墨付きのフランスの新進監督ピエール・モレル監督がメガホンを取ったからだろう。もちろん、リュック・ベッソンと長い付き合いのロバート・マーク・ケイメンの奇想天外なシナリオの力も見逃せない。アメリカとフランス映画のエッセンスが絶妙に絡み、実にいい味の作品に仕上がっている。

父親・リーアム・ニーソンのカッコいいセリフを一言。

「娘を助けるためなら、エッフェル塔でも壊してみせる」

このセリフに本作の全てのファクターが込められている!

 とにかく面白い!

96時間公式サイト
 
監督・ピエール・モレル

製作・リュック・ベッソン

出演・リーアム・ニーソン  ファムケ・ヤンセン マギー・グレイス

配給・20世紀フォックス

8月22日(土)より TOHOシネマズ 有楽座ほか全国ロードショー