連休の中日だけあって、西武秩父駅は人があふれるほど多かったよ。ロードバイクを組み立てている若者たちのグループもあちらこちらに見られた。
みみ爺は9時に出発したんだ。

いつものコンビニで水と食料を仕入れ、ペダルをこぎ出した。国道を避けて裏道を行くことにしたよ。
石仏の前に小さな立て札が立っている。「巡礼道」と書いてあるよ。

国道と違い静かな道だ。ときどき、寺々を巡っているのか老人たちが通る。

青空で気持ちがいい。天気予報によると午後からの天気がちょっと心配だったが、今のところは大丈夫そうだね。

空気は冷たいが、ペダルをこいでいるとすぐに背中が熱くなってくる。

晩秋は、もしかしたら冬眠の準備で木の実をあさっている熊に出会うかもしれない。念のために熊よけ鈴をつけておいたよ。大きいほうは、洒落た玄関扉などで見かけるようなやつで、特に熊よけ用として売っているものではない。しかしとてもいい音色なので、みみ爺は最近これも一緒に使っているんだ。

落ち葉が路肩に吹き寄せられた静かな道だ。空気が冷たくしっとりとしている。

浦山ダムだね。一度下から近くで見たいと思っていたんだ。これも大きなダムだからね。

ダム下流にあるこの橋は諸上橋というんだ。


橋の上からはダムの姿をまじかに見ることができる。

札所29番長泉院とある。まさに古刹という雰囲気だね。

山がきれいだなあ!山が近くなってくるとたまらなくうれしい。


国道と違い、車はほとんど通らないよ。いいねえ。

秩父鉄道の線路だ。しばらくは線路脇を走っていく。気持ちのいい道だよ。



山は紅葉が始まっているよ。まだ少し早いようだが。

なんだか雲が出てきたね。大丈夫かな。

もうすぐ三峰口駅かな。静かな風景が続く道だよ。こんな道はずっと走っていたいね。

ここが三峰口駅だね。

三峰口駅からも、そのまま国道ではない道を行く。まったく車の来ない道だよ。景色もとてもきれいだ。


大血川林道を訪ねたときもこの道を通って行った。そのときも確かこのあたりから同じような景色を写したと思う。自分の好みの景色はいつも同じなんだね。荒川を挟んだ国道方面の景色だ。日差しが明るく山を染めているよ。

わずかな日差しを浴びた紅葉がきれいだね。

そろそろ大滝発電所だね。

まんねん橋だよ。

橋の上からの荒川の眺めだ。紅葉がとてもいい。


発電所の真上から眺めてみる。

大滝発電所からは、国道は車が多いので左側の遊歩道を走っていく。

遊歩道を走ったほうが安全だし、景色も楽しめる。

連休中だからだろう、いつもより車が多いようだよ。しかもけっこう飛ばしている。

車道からでは絶対に見られない景色だよ。荒川は水の色がとてもきれいだ。


ここが「金蔵落しの渓流」というんだね。奥秩父の紅葉の穴場の一つなんだそうだ。紅葉と渓谷が本当にきれいだよ。

小さな滝も見られる。

樹木の間に見え隠れする荒川の眺めも最高だ。

ここから急勾配の坂を上っていくんだ。大達原の集落へ向かう。

およそ2キロ、10%を超える勾配が続くんだよ。20%近いところもありそうだ。


一番軽いギアでやっと上りきったところが大達原だ。
ここには大達原高札場というのがある。高札場というのは、幕府や領主が決めた法度(はっと)や掟書(おきてがき)などを木の板札に書き、人目のひくように高く掲げておく場所のことだそうだ。昔習ったことがあるのかもしれないが、とんと覚えが無い。


ここからは林道大輪線になる。

林道御岳山線の入口までずっと下りだよ。舗装されているけれどガードレールの無いところもある。あまり崖っぷちを走るのはよそう。


ひっそりと静かでいい林道だよ。もっとも、林道はどこもだいたい静かだけどね。


さあ、いよいよここから林道御岳山線に入るよ。14キロの全線ダートの林道だ。ちょっと怖いね。無事に走れるだろうか。


あれっ、舗装されているのかなと思ったが、それは最初の数百メートル。

すぐにダートに変わった。しかも、かなりガレたダートだよ。


勾配も相当きつい。リアのタイヤが石に乗り上げ、ズルッと横に滑ったりする。


山から落ちてくる水の音に癒される。

ふたたびガレた路面に挑む。


眼は路面の状態を追い、ハンドルと上半身でバランスをとり、そして力いっぱいペダルを踏む。景色を楽しむどころではないが、たまに顔を上げると山がきれいだ。

リアのタイヤが大きな石に乗り上げたり、横方向に傾斜した路面で滑ったりして、2度3度転倒しそうになったよ。


ここは大滝温泉方面への分岐点だ。

大滝温泉へ下る道は舗装されているよ。いいなあ。

勾配がいくらか落ち着いたようだが…。


路面は相変わらずガレているよ。

勾配がゆるいところでは比較的石が小さくて走りやすい。

遠くに光っているのは奥秩父もみじ湖だろうか。そしてかすかに小さく見えるのは国道の中津川大橋のようだが…。

相変わらず道はガレている。この林道にはマウンテンバイクのほうがいいだろうな。…持ってはいないけれど。房総半島の大山林道もすごかったけれど、この林道もかなりのものだ。

落ち葉の下には大小の石や岩が隠れているよ。パンクだけは勘弁してほしいね。

紅葉が始まっていて、道はいい雰囲気だよ。


勾配は依然としてきつい。


小さな滝が落ちているよ。

もう一つ滝だ。

勾配はかなりきついよ。道の左右、中央に現れる雨水の通ったくぼみにタイヤを落とさないように、大小の石に乗り上げないように、必死にバランスを取りながら進む。全神経と筋肉をフル稼働させているよ。
なんでわざわざこんな辛い思いをしに来ているんだろう、もういやだ。そんな思いが頭を掠める。心が折れそうになる。しかし次の瞬間にはそんな思いもどこかへ吹き飛んでいる。そんなことを考えている余裕なんか無い。全神経を路面の起伏や石ころに集中させていないと転倒してしまうからだ。
心と体全体で戦っている。意識はしていないが、それはたぶん楽しいことなんだろう。だから、苦しくても辛くても心が折れそうになっても、過ぎ去った後には楽しさだけが心に残るのかもしれない。


なんとなくトンネルが近いような気がするよ。

やれやれ、ここはもう自転車を押すしかない。勾配がきつい上に石が浮いていてバランスが取れない。

普寛トンネルだ。御岳山2号線と、木製の標示板が立っているよ。林道開設工事のため通行止めとある。

もうすぐピークのはずだ。勾配はさらにきつくなったよ。

ここは歩こう。ペダルをこぐのはとても無理だよ。


景色はいい。


ようやく林道のピーク地点に着いたよ。御岳山頂上への登山道の道しるべがある。ここは標高918メートルくらいだよ。ここからは下りだね。ああよかった。

ずっとこのくらい勾配の緩やかな下りならばいいが…。

景色はとてもいい。なんだかすごくうれしい。

道は悪くてもやっぱり下りのほうが楽だね。


ここが知られた林道御岳山線の一番の絶景ポイントだね。このアングルの写真はネットでよく見かけるよ。残念なのは少し曇っていることだね。

コンクリートで固めた斜面に作られた階段の上からの眺めなんだ。

大パノラマだよ。
みみ爺はこの階段の一番上に腰を下ろして、目の前に広がる絶景を眺めながらちょっと遅いお昼にしたんだ。コンビニで買ってきたおにぎりとサンドイッチが格別においしく感じられたよ。


いよいよ林道後半の下り坂に向かうよ。

しばらくはいい景色が続くよ。



御岳山トンネルだ。

このトンネルを抜けるといよいよ本格的な下りが始まるんだろうかね。

下りもすごくガレているよ。半端じゃないよ。急勾配だし、気をつけなければ痛い目にあう。



ブレーキレバーは握りっぱなしだ。ともすればタイヤが大きな石に乗り上げて車体が跳ねる。落ち葉の下に隠れている大きな石に気をつけないと。


ブレーキレバーから手を離すと、たちまち車体が宙に跳ね上がる。
しかし、上りよりはましだよ。上りはバランスを取ることに加えて力いっぱいペダルを回さなければならないが、下りはもっぱらバランスを取ることだけに集中すればいいからね。


路面が横方向にも傾いている。

おやっ、舗装路に変わった。ダートは終わったのか?

沢の水音が聞こえてきた。林道の終わりが近づいているのかな。


ふたたびダートだ。気を抜くことはできない。両肩が痛い。


ああ、やっと林道の出口に着いたよ。上半身の力が抜け落ちるほど疲れたよ。ダートはお腹いっぱいだ。
それにしても自転車には一台も会わなかったね。連休なのに。西武秩父駅や三峰口駅にはけっこう大勢の自転車乗りたちがいたんだが…。出会ったのはオフロードのオートバイ10数台とジープが2台のみだったよ。

県道37号を走る。ときどき顔に小さな雨粒が当たる。いよいよ降ってくるのかね。三峰口駅までとにかく急ごう。

三峰口駅の近くの白川橋の上からの眺めだよ。紅葉がきれいだよ。



三峰口駅でちょっと休んで、空の様子を見た。どうやら西武秩父駅までは持ちそうだよ。
輝くような黄葉だね。

県道72号の日野鷺橋から見た荒川の景色だよ。


県道72号もなかなかいい。ただ10%ほどの急な上りも2箇所くらいある。


巴川橋だね。あのきれいな赤い橋を渡って秩父市街へ入ろう。

これは巴川橋からの眺めだ。ずいぶん暗くなってきたね。


西武秩父駅はもうすぐだよ。

曇り空の下で、武甲山はなぜが怒っているように見える。

お疲れさん、みみ爺。急勾配のガレた林道はきつかったね。しかし、見たかった絶景は見ることができたよ。とてもすばらしかった。
ああ~、楽しかった!