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ラックストーン・レコード雑記帳 - アート・和菓子・音楽

ラックストーン・レコード主人、山口'Gucci'佳宏がアート、和菓子、音楽などなど、徒然なるまま書き綴る、まさに雑記帳。

今日の美術展 [平成二十年七月十九日]

2008年07月19日 | fine arts
梅雨明けです。カラッとした晴天で暑いながらも心地良い一日でしたね。夏休み突入、三連休の初日、皆さん、どう過しましたでしょうか?! 写真は全然、関係ないのですが、原チャリを停めた横浜そごう横に「オニアザミ」が勢い良く自生していたので思わず撮りました。オニアザミを見たのは久しぶり。自分の子供時分にはちょっとした薮に入るといっぱい繁っていてトゲトゲの葉っぱで良く引っ掻き傷を作ったものでした。懐しいです。

中判 東海道五十三次之内 54枚揃・蔦屋吉蔵版 於: 砂子の里資料館
生涯で二十余種の「東海道五十三次」揃い物浮世絵版画を手懸けた歌川広重氏が嘉永期 (1850年頃) に制作した蔦屋吉蔵版の展示です。かの有名な保永堂版が作られたのが天保4年 (1833年) ですから、その大分、後の「東海道五十三次」揃い物です。「東海道五十三次」だと通常は始点の日本橋と終点の京都を入れ55枚となりますが、この揃い物は大井川をはさんだ嶋田と金谷が一枚に描かれた為に54枚となっています。保永堂版が、かなりアート性の高い作品なら、この蔦屋吉蔵版は素朴な情緒性に溢れるものだと言えるのではないでしょうか。景色が中心に描かれ、その土地ごとの風情が感じられます。中判で画面の大きさの制限により対象物は簡素化され描かれていますが、その分、構図が素晴らしいと思いました。また、多分、使用した版の数が少ないのだと思いますが、シムプルな色彩の構成がかえって画面を美しく見せています。保永堂版が有名なだけにこの揃い物は新鮮に感じ、良いものでしたね。あとコンディションが頗る良かったのにも驚きです。そして合わせて展示されていた広重氏による八ッ切大の「東海道五十三次宿駅名勝」も興味深い作品でした。

↓ 砂子の里資料館 ↓
http://www.saito-fumio.gr.jp/

生誕290年 木喰展 - 庶民の信仰・微笑仏 於: そごう美術館
江戸時代後期、日本全国を行脚して、各地で生涯に1,000体を超える仏像を彫った木喰上人の大回顧展です。会場に木喰上人のその独特な作風による130体程の愛嬌ある仏像が並んだ様は壮観であり、そして思わず気持ちが和む思いでした。やはり、何と言っても木喰上人の仏像は柔らかく親しみ易い表情を持っているのが特徴。その仏像が不動明王や閻魔大王の様な本来、恐ろしい形相をしている筈の仏様までに愛くるしさがあるのは可笑しく、きっと人々が信仰する対象として受け入れ易かったと思います。上人は自身の像も多く彫っていますが、それらを見ていると彫られた数々の仏像と共に、やはり上人の大らかな人柄が分る様に感じました。人々に慕われ人望の篤い方だったに違いありません。今回、展示された貴重な書画も興味深く、特に書はまるでタイポグラフィの様で、木喰上人は優れた彫刻家であり、グラフィック・デザイナーであったかの様です。見応えのある良い展覧会でした。

↓ そごう美術館 ↓
http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/index.html