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七宝丸の秘密

2016-02-15 | 日記

2月15日(月)

 

掃除が終わった3年生の子どもたちが、玄関にやって来ました。

見ているのは、学校にある「螺鈿(らでん)」の施されたテーブルです。

螺鈿とは、アワビなど貝殻の裏の美しく輝く部分を使って模様や絵柄を作り、その上から漆を塗り重ねていった工芸品のこと。

 

 

「これから見に行く解体中の七宝丸から、こんなものが出てきたんだよ」

というイメージを持って、西ノ門館にある「曳山ノ蔵」に向かいました。

 

 

曳山ノ蔵(やまのくら)は、曳山の解体修復を行う場所です。

去年のおくんちがすんだ11月6日から、江川町の七宝丸が30年ぶりの解体、塗替え作業に入っています。

 

 

子どもたちは、その作業現場の中に入れていただきました。

まず、江川町取締役の吉村勝朗さんから、七宝丸の解体、塗替え作業のことや、部品になった七宝丸の一つ一つの説明も受けました。

 

 

目をキラキラさせてお話を聞く子どもたち。

そして、ついに七宝丸の秘密を教えていただきました。

今回の作業の中で、すごいお宝が出てきたというのです。

 

 

それは、七宝丸の後部にある、金粉の蒔絵(まきえ)で松竹梅の図柄があしらわれている宝巾着(たからぎんちゃく/高さ約1メートル、幅約1・5メートル)の漆の塗膜をはがしたところ、同じ図柄の竹と松の葉、梅の花が螺鈿(らでん)の装飾になっていたことがわかったのです。

 

 

 

このことは、江川町の中でも、文書や口伝でも伝えられていなかったことで、町関係者の人たちにとっても大きな驚きだったそうです。

そこで、修復作業に当たる小西美術工藝社から、大変貴重なものなので、調査研究をするために東京国立博物館へ送りたいと話があり、今日、大志小の3年生の見学を終えると、すぐに搬送されることになっているということでした。

 

 

小西美術工藝社は、江戸時代から日光東照宮の製作や修理の中心として仕事を続けてきた、日本の漆工芸の第一級の会社です。

その専務でもある岩本元さんは、漆工芸を中心に日本の文化財の調査研究や修復に当たっておられる第一人者であり、1年の多くを東京国立博物館の中で勤務されています。

子どもたちは、この岩本さんからも、直接お話をうかがうことができました。

 

 

七宝丸を含め、唐津の14台の曳山のつくりや装飾がどんなに素晴らしいものかということ。

その中でも、今回の発見は大変貴重なものであり、螺鈿装飾が祭りの曳山や山車などの装飾として使われていたことは聞いたことがなく、驚きを隠せないこと。

「私は、こうした昔の人たちの技のすごさを調査して知ることで、昔の人たちのものづくりにかける思いを感じます。人の命はせいぜい百年。だけど職人に命を吹き込まれたこうしたものは千年以上も生き続けて、その時代の人の心を伝えてくれます」

 

 

いいお話を聞いた後で、作業場の中を自由に見学することができました。

 

 

岩本さんに質問をする子どもたちもいました。

 

 

見学が終わって曳山ノ蔵を出るときには、江川町特製のしおりもいただきました。

 

 

この後、東京国立博物館へ搬送された宝巾着は、調査研究を終えるとすぐに塗替えに入ります。

そして、今年の11月の唐津くんちでは、140年前の姿を再現した七宝丸がお目見えすることになります。

つまり、今日見学した3年生の子どもたちが、140年前の実物を生で見た最後の生き証人ということになるのです。

しっかりと目に焼き付けてくれたでしょうか。

 

「この子どもたちの中から、1人でも2人でも、こうした漆工芸の道に進んで、唐津の曳山を長く保存し守っていく子どもたちが出てくれるといいなあと思っています」

という吉村取締役の思いも、ひょっとしたら実現するかもしれませんね。

 



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