がん治療には,外科的治療,放射線治療,抗がん剤治療があるそうです。うん,まあ,下のHPを読んでくだされ。けっこう時間はかかりますよ。こころしてね。
ま,これじゃなくても,他にもいろいろと似たようなHPや本はあるかと思います。そういう当事者が命を賭して書いたものを読んでわかるのは,統計上の10人中8人が効くとか,5年後生存率が20%だとか,そういう机上の数字ではなく,
オレにはその治療法は効くのか
オレは治るのか
オレは生き残れるのか
ということがすげぇ当ったり前に大事だってことです。
10人のうち2人にしか効かなくても,可能性があるなら賭けてみたい,と患者さんは思うんですね。私がガンになったらやっぱそう思うと思う。
本当に当たり前のことですが切実に,本当に切実に,治したい,と患者さんは思うんですよね。それはガンだけではなく,あらゆる疾患もそうなんです。そういう当たり前だけどついつい忘れてしまいがちになることは,本を作る側として刻み込んでおきたいものです。
前々々々回?のエントリで,エビデンス・ベイストとは……というpsy-pubの定義では,
1)RCT(無作為割付比較試験)で行われているもの。
となっております。
もちろん,RCTから一例研究にいたるまで,それぞれにエビデンスの強さがあり,ランク付けされている,というのは知っておりますが,「患者・クライエントのため」というEBMの精神から言うと,患者・クライエントさんは一般的に言って統計的な知識に乏しいし,研究の質/量的な差異などもわからないのですから,総じてRCTを標準にしちゃえ,というふうに思うわけです。もちろん,これは厳しい! でも,だれに厳しいの? そしてだれのためのエビデンスなのですか。なんて思うわけですよ。それに,「第一選択」もしくは「第二選択」を決める場合のエビデンスなのですから,なるべく統計的にもかたよりが少ないものの方がいいでしょう。もし効かなかった場合は,がん患者のように,10人のうち2人にしか効かない……というような薬なりを選ぶしかないのですから。素人考えですけどね。
というわけで,いろいろと思うのですが,臨床研究というのは,こういうふうに分けられないもんですかね。勝手な試案ですが。
・当事者のための研究
・専門家の臨床のための研究
・専門家の研究のための研究
・その他の機関(製薬会社だとか学会だとか所属先だとか科研費だとか)のための研究
…………
当事者のための研究,いいじゃないですか(自画自賛だなぁ)。もちろん,うまく上みたいに分けられるわけではないですけどね。入り組んでいたり,「はて,これの意味はなんだ?」と思うようなものがあったりすることもあるわけですし。
当事者=読み手とすれば,ケース紹介の方がわかりやすいところがありますし,といって,それでは「統計的」なエビデンスはないですし。なかにはこういう悪い人も出てきます。
<アガリクス>「がんに効く」宣伝販売、出版社役員ら逮捕
なんて去年末に騒がした事件みたいになってしまう可能性もありますから,ちょっと大変だなぁ,という面もあったり。
というわけで,ガン治療を考えつつ,EBMとNBMを考えてみるというのは,なかなか勉強になります。
そういえば,NBMの原典――「ナラティブ・ベイスト・メディスン」を監訳された岸本寛史先生には名著があります。
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癌と心理療法 誠信書房 このアイテムの詳細を見る |
これはもうちょっと古くなってしまったかもしれませんが,本当にいい本でしょう。エビデンスとか,統計とか,ナラティヴとか,そういうものを超えた臨床の本であります。90年代の古典だな,うんそうする。上の区分けで行けば,「専門家の臨床のための研究」でしょうね。
また,エビデンスや科学の優位性をものごっつい勢いで信じている方は,下記の本を読まれるとよろしそうですよ。「がんと心理療法」の岸本先生と,斎藤清二先生との共著。
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ナラティブ・ベイスト・メディスンの実践 金剛出版 このアイテムの詳細を見る |
統計的な科学を否定しているわけでないので,ご注意を。
いや,でも,ほんと,「すい臓がんになりました」みたいなサイトを読んだあとでは,エビなの? ナラなの?なんて言うのはアホクサーってなもので,私たちは真実をじっくりと見つめなくてはならない,と,ただただ思うのであります。
当然,研究者たちもそうであり。
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EBMがわかる―臨床医学論文の読み方 金芳堂 このアイテムの詳細を見る |
なんて本があるんですね。知ってる? 著者のトリーシャ・グリーンハルって? このトリーシャさん,上記,「ナラティブ・ベイスト・メディスン」の編者でもあります。EBMの研究者がNBMをはじめたわけですよ。WHY? なぜに,なにゆえに? やっぱ,EBMの限界にも気づいたんじゃないでしょうかね。もちろん,限界とは言え,その許容範囲はものすごい広いはずですよ。しかし,真実は一つではない。トリーシャさんこそ,エビもナラも渾然一体としたものとしてとらえている真実の探求者なのかもしれません。
そういうわけで,スマッシュヒットをもう1冊。
大熊 由紀子, 開原 成允, 服部 洋一共著
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患者の声を医療に生かす 医学書院 このアイテムの詳細を見る |
エビ×ナラの方向性の一つには,研究だけでなく,教育についてもあるんだなぁ。とまあ,十回述懐したところで,ちょん。
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