PSW研究室

専門職大学院の教員をしてる精神保健福祉士のブログ

面接技法の授業

2010年09月24日 13時46分51秒 | 専門職大学院
昨日は、雷乃声を収む(かみなりすなわちこえをおさむ)9月23日。
東京近辺は雷鳴とどろく、土砂降りの1日なりました。
千葉県では落雷により、23人も重軽傷者が出たとか。

そんな荒れ模様の秋分の日、世間は祝日だというのに、大学では授業です。
通信教育の精神保健福祉士課程のスクーリングが行われていましたし、
僕は、専門職大学院の「ソーシャルワーク面接技法」がありました。

この授業は、長沼葉月さん(首都大学東京)が担当の授業で。
僕は、たいして役にも立たない、アシスタント的な存在なのですが。
毎回、受講生と一緒に参加させてもらっていて、とても勉強になります。

対象は専門職大学院生ですが、リカレント講座の一環なので、外部の受講生もいます。
いずれも、福祉・保健・医療現場で現に働く、専門職の皆さん。
定員いっぱいの50名、平均年齢40歳超?、現場で悩みながら仕事をしている方々です。

初回はやや緊張した硬い感じでしたが、今回3回目ということもあり、なごやかな雰囲気。
ロールプレイ等のワークを繰り返しやるので、受講生同士、どんどん親しくなっています。
毎回、午前10時~午後5時過ぎまで、ぶっ通しですから、相当疲れるのは確かですけど。

葉月さんは、とても素敵な笑顔と柔らかな言葉で、皆さんを包み込んでいます。
自身の臨床での体験や、家庭での夫婦間葛藤まで、自分を開示して、笑顔で対象化します。
用意周到な準備と分刻みの計画的な授業運営、受講生へのきめ細かな配慮は、さすがです。

授業では、マイクロカウンセリングの基本技法を、丁寧に伝えていきます。
今年は「基本的かかわり技法」を中心にワークを通して体感できるように組まれています。
かかわり行動と観察、質問、励まし、言い換え、感情の反映、要約…といったものですね。

頭でわかっていても、実際にやってみると、、なかなかうまくいかないものです。
真剣なロールプレイの終わった瞬間、皆さん「わ~~っ!」と一緒に大笑いして嘆きます。
できないことでなく、お互いの面接場面の良いところを共有する振り返りを行います。

他者の面接場面って、陪席していると、とかくアラが目立つものです。
自分の面接も、勉強すればするほど、自己評価が低くなりがちです。
ただ話しを聴くのではなく、きちんとした面接の組み立てを意識すれば、なおさらです。

でも、教科書や本に描かれているような面接が、誰にでもできる訳ではありません。
むしろ、相談面接では、100点満点の面接などあり得ないと前提する必要があります。
それぞれの持ち味を生かし、自分流の面接スタイルを作ることが、大事なのだと思います。

もちろん、それぞれの課題も明らかになる訳ですから、振り返りと共有は不可欠です。
こういった尋ね方をすれば、もっと良かったかも?と具体的に提案し合います。
次回までに自分の実践現場で試してみる、という宿題も、いい素材になったようです。

現場で悩んでいる人ほど、ともすれば、技法の習得に目が向きがちです。
でも、技法以前に、もっと大切にしなきゃいけない、かかわり方の前提もあります。
ソーシャルワーカーとして、何を大切に面接するのか、少しでも伝えられれば…と思います。