PSW研究室

専門職大学院の教員をしてる精神保健福祉士のブログ

PSWを考えているあなたへ

2010年09月07日 15時44分47秒 | PSWのお仕事

Hさん、メッセージ、ありがとうございました。
今、宿題に追われていて、なかなか返事ができないで、すみませんね。

Hさんは今、精神保健福祉士を目指すことを、考えておられるのですね?
うれしいですね、そういう方から、メッセージを頂けるのは。

ネットで色々調べていたら、このブログにたどり着いたということでしょうか?
「精神保健福祉士」とかで検索かけると、ヒットするんですかね?

普通の大学を出てるなら、受験資格を得るためには一般養成施設に通うことが必要ですね。
でも、たしかに授業料等百万円以上かかりますから、半端な気持ちでは始められませんね。

今の仕事を続けながら、通信教育でという手もありますけどね。
通信教育だと、だいたいどこも授業料等で40万円くらいでしょうか。

ただ、実習期間やスクーリングもありますし、仕事を休めるかがネックになってきます。
実習は、現状でも90時間(約12日間)、新カリに移行すると210時間必要ですし。

今の仕事を辞めて、通学できる環境があるなら、その方が良いとは思います。
ひとりで学習するのと、リアルに教員と対面して仲間と教室で学ぶのとは、違いますしね。

Hさんのこと何も知らないので、PSWがあなたに向いているかどうか、わからないです。
この仕事に向いてる、向いてないと、他人が決めるものでもないと思いますし。

でも、他者とかかわることに、喜びを感じられるかどうかが、ポイントだとは思います。
新しい出会いや、他者とコミュニケーションをとるのが苦痛な方は、しんどいでしょうね。

それから、情緒的に不安定な方だと、ストレスフルな状況になった時、心配ですね。
怒りや攻撃を向けられる時もありますし、スタッフチームで対立する時もありますからね。

自身の体験から、リカバリーPSWをめざし、チャレンジされる方もいらっしゃいますが。
勉強して資格は得ても、なかなか仕事には結びついていない方が多いのも事実です。

PSWの現状を、ネットの掲示板等で意見求めると、超ネガティブですよね(笑)
どんなに豊かな体験ができる素晴らしい仕事か、と説くポジティブな意見は皆無です。

現場での不平と不満と愚痴が、ネット上で一気に噴出している感じですね。
希望にあふれる若い皆さんに、お薦めできないという意見が、結構多いですよね。

病院に勤務しても、雑用ばかり押し付けられて、学んだこと全然活かせない、とか。
地域で勤務しても、収入は驚くほど低く、結婚して生活できない、とか。

ネットの影響か、最近PSWを志向する人が減ってしまい、養成校も減少に転じています。
有資格者4万人を数えて、供給が需要を既に上回ってきているという指摘もあります。

そういうネガティブな側面はありますし、否定しがたい現実もあります。
でも一方で、PSWという仕事のポジティブな側面があるのも事実です。

この国で、最も立ち後れた貧しい医療と福祉の分野で、PSWは仕事をしてきています。
PSWたちが、精神科医療を変え、地域の資源を作ってきたと言っても良いと思います。

PSWたちが頑張って来られたのは、やはり当事者の笑顔や感謝があったからでしょう。
PSWは、対象者である精神障害者によって、生かされてきている職種と言えます。

厳しい状況の各現場で、PSWは一貫して、精神障害者の社会的復権を訴えてきました。
経験を積んできたPSWは、一定の自負と責任感を持って仕事をしているはずです。

職種としてのミッションを、自分のものとできるかは、人により様々ですが。
PSWが活躍する領域も拡大しつつあり、職種としての存在感も高まってきています。

未だに、待遇面での評価が社会的に追いついていないのが、極めて残念ですけども。
同じPSWでも、職務内容、職場環境や待遇は、人によって本当に千差万別ですし。

Hさんが、どんな生き方、どんな仕事をしていきたいかが、選択の基準だと思います。
まだ時間はありますから、どうぞ、じっくりと振り返って考えてみて下さい

精神保健福祉士という仕事があると知った時、なぜ目指してみようと思ったのか?
自分は、PSWになって、どんな仕事をして、生きていきたいと思ったのか?

できれば、街の精神保健福祉ボランティア講座とか、受講してみてはいかがでしょう?
色々な現場やPSW、当事者と出会い、リアルに考えられるのではないでしょうか?

そこから、自分が本当にしたいことは何なのか、明らかになると思いますよ。
たとえPSWを目指さないという選択でも、あなたの結論を、僕は尊重したいと思います。

あなたから頂いたメッセージへの回答を、こうして、記事にしてみました。
他の方にも読んでもらって、色んな助言を受けられたらいいなと思ってのことです。

もし、この記事という取り上げ方が心外で、イヤだったら、率直に言って下さい。
この記事、ボツにしてもいいですし、別の形にして再投稿することも考えます。

あなたにとって、最良の選択を…。
あくまでも、基準は、あなた自身です。


※画像は、都庁第2庁舎の一角にある彫刻。タイトル、忘れました~。