PSW研究室

専門職大学院の教員をしてる精神保健福祉士のブログ

和歌山からの発信

2010年03月21日 11時15分30秒 | 精神保健福祉情報
和歌山に来ています。

今週、和歌山県は地域移行推進週間だそうで。
兵庫県の柳さん、北海道の門屋さんを呼んでのフォーラムも県内各地であったそうです。
第3弾の田辺市で行われたフォーラムに、大学の退院促進研究班の仲間とともに招いて頂きました。

実施主体は県ですが、運営は社会福祉法人やおき福祉会。
かねてより、就労支援活動で実績を上げて有名なところですね。
土曜日の午後、地域や病院や行政の関係者、精神保健ボランティアなど、約70人が集まってくれました。

和歌山県と言えば、お世辞にも精神医療が活発な地域とは言えません。
平均在院日数も、ようやく400日を切ったところで、常に全国のワースト5に入っています。
2004年度から始まった退院促進事業も、5年間で退院に結びついた患者は25名に止まります。

でも、今年度は1年間で既に22名。
これまで培ってきたノウハウや、病院と地域の連携がようやく実を結びつつあるのかも知れません。

今回のプログラムは、こんな感じでした。

○講演会「地域移行支援の現在・過去・未来」
「退院阻害要因と取り組み課題」
日本社会事業大学専門職大学院 古屋龍太

○講座「地域移行支援のプログラムを考えよう」
「『効果のあがる退院促進支援プログラムのあり方研究会』研究のご紹介」
日本社会事業大学大学院 道明章乃
「都道府県/政令指定都市調査」
日本社会事業大学社会福祉学部 瀧本里香
「静岡県における地域移行支援事業の実施状況から考える」
日本社会事業大学専門職大学院 大石信弘

○指定発言
「紀南における地域移行支援の実践報告」
社会福祉法人やおき福祉会 北山雅史


後半は僕自身がマイクを持ってウロウロしながら、フロアからコメントを求めました。
限られた時間でしたが、7人の方が体験を踏まえて発言してくれました。
僕たちの研究会が取り組んできたことをベースに、現場の実務面での課題がテーマになりました。


資源の乏しい広大なエリアを擁する地域での、交通アクセスの課題。
病院内での看護の視点と、支援上のストレングス視点の相剋。
精神障害へのスティグマの強い地域での、不動産業者を通じてのアパート物件確保の困難。
この事業を展開しようとすればするほど、色々な課題や困難が立ち現れてくるのが現実です。


でも、取り組みを通して少しずつ変わり、色んな成果が出てきているのも実感できました。
11人もの病棟の看護師たちが、プライベートな時間を使って参加してくれたのは驚きでした。
自分たちの課題として、この地域移行支援にどう取り組むか、病棟現場でどう展開していくか、真剣に語ってくれました。
地域の支援機関のスタッフが病棟の中に入って、一緒に取り組んでいくことも普通になって来ています。
当事者を交えて、本人の気持ちを確かめながら、支援方針を考えていくケア会議も当たり前になりつつあります。

病院と地域の連携の素地は、できてきているのでしょう。
色々試行錯誤しながら取り組んできたからこそ、現実的な課題にぶつかっているのでしょう。
これから大きく変わる力強い胎動を、僕は感じました。


夜、やおき福祉会の方たちと楽しいひとときを過ごさせてもらいました。
柳瀬さんや、北山さん、谷さん、山本さん、柿本さん。
みんな、穏やかな熱意と柔らかな人柄を感じさせる、とても魅力的な人たちです。
そして、個々のキャラを大事にして、阿吽の呼吸で動いている、素晴らしいチームです。


ヤフーランキングで田辺一の人気の「さかな」というお店で、おいしい海のものやおつまみを頂きました。
関西独自の文化や風土に触れ、大笑いしながら夜更けまで呑んでしまいました。

ホテルまで送ってもらって、部屋で熊野古道麦酒を飲みました。
和歌山の人たちのように、まろやかでしっかりした味わいのビールでした。
3日間で計5時間半しか寝てなかったので、爆睡してしまいました。


やおき福祉会の皆さん、紀南こころの医療センターの皆さん、どうもお世話になりました!
また、いずれ、ゆっくり語り合いましょう!

\(^ー^)/