PSW研究室

専門職大学院の教員をしてる精神保健福祉士のブログ

アドバンスSW認定第1号

2010年03月09日 09時46分02秒 | 専門職大学院
先週の土曜日は、「ADSWセミナー2010」もありました。
入試のあと、午後3時から、ちょっと無理のある設定でした。

ADSWというのは、アドバンスソーシャルワーカーの略です。
今年度から始まった、福祉専門職大学院独自の認定資格です。

アドバンスですから、日本語にすれば「上級」ということになるんでしょうが。
イギリスなどでは、もっと何段階もあって、アドバンスは中級くらいだそうです。

専門職大学院に在学もしくは修了した人で、認定審査を志願した人が対象です。
1年間担当教員のもとで指導を受けながら、現場での実践をレポートして、評価を受けます。

今回は、2人の女性が立候補してくれました。
初年度の準備態勢不足もあり、実質半年しか無い中で、よくまとめてくれました。


セミナーでは、研究科長の開会挨拶・経緯説明のあと、学長から認定証授与がなされました。
その後、お二人から、それぞれの実践報告がされました。

ADSW第1号認定の、唐木香子さん(東京・在宅療養支援診療所)からは、
「関係機関・多職種によるチームアセスメント体制の確立
 ~在宅療養支援診療所におけるSWの立場から」の報告。

第2号認定の佐藤亜紀子さん(栃木・地域包括支援センター)からは、
「地域包括支援センターが中心となり介護支援専門員の資質向上を図る取り組み
 ~事例検討会の効果と課題」の報告がされました。

フロアからの質疑応答後、パネルディスカッション「ADSW実践報告評価コメント」が行われ、
お二人の報告を審査した委員から、講評が加えられました。


ADSWの認定は、1報告について6人の審査委員が評価します。
委員長と主査、副査の教員2名、外部委員(日本社会福祉士会副会長・鈴木智敦さん)、特別委員(本人の所属長)です。

事前審査から、報告書提出、本審査(口頭試問)、セミナーでの発表と、結構大変です。
研究者でもない実践家にとっては、相当鍛えられる、なかなか得難い機会といえるでしょう。

認定評価は、専門職大学院の定めたコンピテンシー表に基づいて、なされます。
併せて、実践分析力、課題解決力、企画開発力等も評価されることになります。


日本社会福祉士会も今、専門社会福祉士制度のあり方を検討しています。
先の社会福祉士法改正の際に、国会の付帯決議で盛り込まれたことですし。

福祉士資格は、やはり最低限の基礎資格でしかありません。
専門職としてのレベル向上を目指す、明確なシステムがやはり必要でしょう。

ADSWを、今後想定される専門社会福祉士制度とリンクさせていければと思います。
わが国唯一の福祉専門職大学院として、リカレント教育のモデルとなることを願ってます。

ちなみにADSWは、スペシフィックでなく、ジェネラルアプローチができるSWを考えています。
それぞれの領域で先駆的な実践を展開・発信し、地域全体のスーパーバイザーになり得るようなソーシャルワーカー。
そんな人が、あちこちにたくさん出てくれば良いなと思います。


唐木香子さん、佐藤亜紀子さん、ADSW認定、おめでとうございます。
今後のますますのご活躍を期待しています!

本当に、お疲れ様でした~! (^_^)/~