ぽてちの「人とはちがうモノ」日記

「人と同じことはしない」ぽてちが選んだ、いろいろなモノたちのお話。

「平成猿蟹合戦図」

2011-11-22 13:21:42 | 読みモノ
「平成猿蟹合戦図」(吉田修一)を読んだ。
普通の単行本と違い、紙が薄く、なんと500ページもある大作。
面白くはあるが、これは好みが分かれるところだ。
 
「歌舞伎町で働くバーテンダーが、ニッポンの未来を変えていく!? 
新宿で起きた轢き逃げ事件。平凡な暮らしを踏みにじった者たちへの復讐が、
すべての始まりだった。長崎から上京した子連れのホステス、
事件現場を目撃するバーテン、冴えないホスト、政治家の秘書を志す女、
世界的なチェロ奏者、韓国クラブのママ、無実の罪をかぶる元教員の娘、
秋田県大館に一人住む老婆……一人ひとりの力は弱くても
心優しき8人の主人公たちが、少しの勇気と信じる力で、
この国の将来を決める“戦い”に挑んでゆく! 思いもよらぬ結末と共に
爽快な読後感がやってくる、著者の新たな代表作。」(Amazonの内容紹介)

「悪人」で悪い人ばっかり書いたからいい人を書きたかったのか、
出てくる人出てくる人、みんないい人ばかり。確かに後半に向けて
だんだんに盛り上がっていくのがおもしろかったけど、
二つばかり気になる点が。

一つ。反社会的団体に属する人を「いい人」扱いして良いものか。
まぁ、昔から義理人情の世界の定番のようになってますが、そもそも
存在してはいけない団体だし、昨今の事情もあり、(某人気タレント
が引退したり)、もうこういう書き方はしないほうがいいのでは?
と思った。

二つ。長崎弁や秋田弁など、方言を使って「いい人」っぽく見せるのは
いかがなものか。以前読んだ桐野夏生の「ポリティコン」では、マヤに、
「トイチは都合が悪くなると山形弁でしゃべる。朴訥に見えるから」と
言わせていて、さすが桐野姐さんだ、と思った。そこまで言えるのが
桐野夏生のスゴいところ。っていうか、吉田修一って、悪い人を書くほうが
向いてないですか?

次回はぜひ悪人を主人公にしてほしいと思う。


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