黒ゴマと豆乳のモンブラン 450円也
お飲みものをつけて 550円
読書したいのでゆっくりできそうなカフェを探していたら、イタリアントマトの隣にガラガラの喫茶店をみつけたのでそこに入った。
パプリカという冴えない店名だったけど、中はかわいくてきれいだった。
定年を迎えてさっそく長年の夢を実現してみました…っぽい団塊夫婦が経営していた。
そしていちばん入口に近い席にはご婦人(客)がひとり。
私が店のいちばん奥の席についてケーキセットで1時間半ねばる間、新しい客は来ず、ずっとこの婦人とサシだった。
そしてこのご婦人、最初はケーキを食べていたらしいのだが、そのあとココアか何かを追加注文し、1時間くらいあとには夜の部に突入していた。
そこで私も気がついたのだけど、定食メニューもあって、オムライスやハンバーグやカレーなんかも食べられるのだ。
ケーキセットも良心的な値段だったし、また来よう♪
(しかもこのモンブラン、自家製ではないみたいだけど、激うまっ
)
で、このご婦人、追加注文をするごとに奥さんをつかまえて、飲み物や料理の味について、価格について、店内のインテリアについて、BGMについて、カウンターの中にいるご主人の様子について、雰囲気がいいだとか配色がいいだとか、シックだとかかわいらしいだとか、褒めちぎっている。
ま、クレームじゃないだけいいけど奥さんも直立不動で20分も30分も聞き役に徹しているのはたいへんだろうなぁ…。私は内心、うるせー、雰囲気こわしてるのはおめーだよと思いながら、読書になかなか集中できず、ご婦人のおしゃべりに聞き耳を立てたりチラ見したりしていたけど、ケーキもドリンクも半分以上残して、定食も2~3種類持ってこさせてるくせにひと口食べて感想を言うだけでほとんど手をつけないのだ。
あ、このご婦人、タウン誌かなにかの記者なんだ!と思い当たったけど、だったら料理の写真を撮ったりしそうなものだし、質問して奥さんやご主人に話させる努力をすることなく自分ばっかりしゃべり続けてるし、いったいこの人は何者なんだろう。
あ、もしかしてカフェ評論家とか?
全国喫茶店振興会の立ち入り調査とか?(そんなのあるのか?)
最後は私の方が音を上げて、カウンターの中にいるご主人にお金を渡して出てきてしまった(奥さんはご婦人の相手に手いっぱいでレジに立てない)。
きっと、ちょっとでもよく書いてもらいたいって気持ちがあるから、このご婦人に代金を請求できないどころか、広告料を何万円も払うんだろうなぁこのご夫婦。
もしかしたらご夫婦へのインタビューや写真撮影なんかは私が店に来る前に終わっちゃってたのかもしれないけど、このご夫婦が新手の詐欺にひっかかりませんように…と祈りたい気分だった。