というわけで、実家に帰ってきた。
母がいなくても祖母と父は立派に食事ができていたので、あらためてスーパーマーケット公正屋のお惣菜コーナーは偉大だと思った。
夕飯を作ろうと買い物して帰ったら、父も祖母も扱いかねたらしい赤パプリカが冷蔵庫からごろごろ出てきた。私も赤パプリカを買ってきていたので、なんだかこんなところが親子で似ているのかなぁと笑ってしまった。
2軒隣のセイ君がつい10日程前に死んだそうだ。
セイ君は私よりも1コ年下で、幼稚園のときは仲良しだったけれど小学校に上がってからあまり会わなくなってしまった子だ。セイ君の家は庭の木を切って道を広げることになかなか応じないから父は「あいつらはゴウツクバリのバカだ」と言うし、セイ君のお父さんは何してるんだかわからない市会議員みたいな悪人ヅラしてるし、セイ君自身も大人になってからもの凄くガラ悪くなってヤクザみたいな車に乗ってたし、そりゃ道で会ったら挨拶くらいはするけど、いままでほとんど交流がなかった。
でも幼稚園のころは毎日遊んでいたので、いろんなことを覚えている。細川たかしの「北の~酒場通りには~♪」なんて歌は、セイ君ちのカラオケセットをいじっていたから今も歌詞を覚えているのだ。
セイ君は脳梗塞を何回かやって仕事ができなくなり、ずっと家にとじこもっていたみたいだけど、死んだ直接の原因は大腸がんだったそうだ。
つらかっただろうな。こんなに若いのに、死ぬのはこわかっただろうな。
高校のときに「今の平凡な毎日がずっと続くと思うな。卒業して10年以内に同級生の何人かは死ぬぞ。」と言った先生がいて、そんなバカな、そんなことあるわけないじゃんと思っていたけれど、本当に何人もの友達が事故や病気で死んだ。
事故はしかたないとしても、病気で若い友達がこんなに死ぬのはやりきれない。
話を戻すけど、祖母によるとセイ君の家では長男がいなくなってしまったので、急きょ妹のミッちゃんのお婿さんを後継ぎにすることにして、近所を挨拶して回ったそうだ。ミッちゃんの旦那さんはドイツ人だったんだよぉ~なんて祖母は興奮気味だった。
ドイツ人、ワケわかってるのだろうか、かわいそうに。
どうでもいいけどそのドイツ人の旦那さんが近い将来庭の木を切って道を広げてくんないと、いつもあそこで車こすっちゃってる私は困る!!