舞う雪を見上げながら、私はいつの間にか、あの日トオル君に教わったワルツのステップをゆっくりと踏みながら、歩いていた。
「ここは……」
気付くとトオル君と初めて出会ったフラワーガーデンに足を踏み入れていた。
突然、ぐにゃりとした感覚が全身を覆い、堪らず座り込んでいた。
「や……だ。気持ち悪い……」
造血剤は昨日飲んだはずなのに……
私はその場にうずくまり、グルグルと回る世界の中でトオル君の思い出と出会った。
トオル君は謎ばかりで、いつも愁いのある横顔が気になった。
ちょっと恥かしそうに柔らかく笑いながら、髪を掻き揚げるしぐさが好きだった。
ヒンヤリとした地面の冷たさを頬に感じながら、力が抜けた。
「このまま死ねたら、楽になれるかなぁ……」
だけど、その時、お腹の赤ちゃんがトントンと私のお腹を優しくノックした。
「お前1人の問題じゃない!アカンボはオレの子でもあるんだぞ!!!」
真剣に怒ったカズトの顔が思い出され、私一人の体じゃなかったんだと、生きなくちゃと意識を必死に保った。
「誰か!すみません!!誰か……」
人気のない病院の裏庭で、私は叫んだ。
花のように舞っていた雪が、今は鋭い槍となって批難するように私の体を突き刺していく……
「寒い……」
赤ちゃんだけでも温めようと、体を丸めた。
遠のきそうな意識の中で、トオル君にそっくりな天使様が膝を折って私の顔を覗き込んでいた。
私をふわりと抱き上げると、ふわふわと雲の上を歩いてくれた。
「私、天国に行くの?」
「行けないよ。君は嘘をつくからね。……しかも、かなり下手くそだ」
天使のトオル君もやっぱりイジワルだ。
「天国なんてやめて、僕のところに来なよ」
天使様は柔らかく笑うと私にキスをした。
「この唇からは『YES』以外は受け付けないよ……」
「だめ……」
「『YES』だ」
「強引過ぎるよ。でも……」
「でも?」
「……誰よりも愛してる」
天使様ははにかむようににっこり笑うと、「僕もだよ」とキスをした。
サラサラと粉雪が音を立てて、梢から落ちる音に目を覚ますと、私は病室にいた。
強い日差しに目を細め、ヒトの気配のする方を見ると、カズトがいた。
「ここは?」
「病院」
「私、気持ち悪くなって……」
「貧血だってさ。ちゃんとメシ食え!」
カズトは私の手を握ると「ばっかやろぉ……」と唇を噛んだ。
「誰かが、助けてくれなかったら、お前、凍死してたぞ!」
『誰か』と言う言葉にぎくっとなった。
「誰が私を助けてくれたの?」
「知らねぇ……」
カズトは私をその胸に強く抱き締めると、「もうどこにも行くなよ」と体を震わせていた。
↑「いま、会いにゆきます」で有名な♪アルファポリスです
↑ランキング上位に入ってしまいました(@ O @)応援有り難うございます♪
「ここは……」
気付くとトオル君と初めて出会ったフラワーガーデンに足を踏み入れていた。
突然、ぐにゃりとした感覚が全身を覆い、堪らず座り込んでいた。
「や……だ。気持ち悪い……」
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トオル君は謎ばかりで、いつも愁いのある横顔が気になった。
ちょっと恥かしそうに柔らかく笑いながら、髪を掻き揚げるしぐさが好きだった。
ヒンヤリとした地面の冷たさを頬に感じながら、力が抜けた。
「このまま死ねたら、楽になれるかなぁ……」
だけど、その時、お腹の赤ちゃんがトントンと私のお腹を優しくノックした。
「お前1人の問題じゃない!アカンボはオレの子でもあるんだぞ!!!」
真剣に怒ったカズトの顔が思い出され、私一人の体じゃなかったんだと、生きなくちゃと意識を必死に保った。
「誰か!すみません!!誰か……」
人気のない病院の裏庭で、私は叫んだ。
花のように舞っていた雪が、今は鋭い槍となって批難するように私の体を突き刺していく……
「寒い……」
赤ちゃんだけでも温めようと、体を丸めた。
遠のきそうな意識の中で、トオル君にそっくりな天使様が膝を折って私の顔を覗き込んでいた。
私をふわりと抱き上げると、ふわふわと雲の上を歩いてくれた。
「私、天国に行くの?」
「行けないよ。君は嘘をつくからね。……しかも、かなり下手くそだ」
天使のトオル君もやっぱりイジワルだ。
「天国なんてやめて、僕のところに来なよ」
天使様は柔らかく笑うと私にキスをした。
「この唇からは『YES』以外は受け付けないよ……」
「だめ……」
「『YES』だ」
「強引過ぎるよ。でも……」
「でも?」
「……誰よりも愛してる」
天使様ははにかむようににっこり笑うと、「僕もだよ」とキスをした。
サラサラと粉雪が音を立てて、梢から落ちる音に目を覚ますと、私は病室にいた。
強い日差しに目を細め、ヒトの気配のする方を見ると、カズトがいた。
「ここは?」
「病院」
「私、気持ち悪くなって……」
「貧血だってさ。ちゃんとメシ食え!」
カズトは私の手を握ると「ばっかやろぉ……」と唇を噛んだ。
「誰かが、助けてくれなかったら、お前、凍死してたぞ!」
『誰か』と言う言葉にぎくっとなった。
「誰が私を助けてくれたの?」
「知らねぇ……」
カズトは私をその胸に強く抱き締めると、「もうどこにも行くなよ」と体を震わせていた。
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