ふむ道,小道,数多く

趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

The Confession of Brother Athelstan(1)

2013-03-29 10:34:59 | Athelstan・Doherty
The Confession of Brother Athelstan (A short story) (The Sorrowful Mysteries of Brother Athelstan)The Confession of Brother Athelstan (A short story) (The Sorrowful Mysteries of Brother Athelstan)
価格:(税込)
発売日:2013-02-04


この本は,1990年代から発行されているアセルスタンシリーズで,最近売り出された2冊のeBookのうちの1冊です。何でも,ドハティさんが,アセルスタンシリーズの初期の頃,まだアセルスタンとクランストンのキャラクタも確立されてない時代に描いていたものだそうです。こういう本が出版されるのも,電子書籍時代ならでは,ですね。まあ,前置きはともかく,楽しみに読んでいきましょう。

神に仕える身でありながら,弟を戦場に連れ出し,そして死なせてしまった事は,今もアセルスタンの心の重荷になっております。そのアセルスタンは,所属する修道院長の命により,ロンドンの検視官クランストンと一緒に仕事をするようになりました。クランストンは,修道士がこういう仕事をするのは変だねぇと言いますが,アセルスタン,聖書の最初の罪は,兄弟殺しだと言います。何か,シリーズを読み続けていると,2人や周りの人達のやりとりが楽しくて,読者はうっかり忘れてしまいがちになりますが,アセルスタン自身は,弟を死なせた事にいつも強い責任を感じていたようです。

さて,春がやってきてテムズ川の氷も緩んだ頃,若き少年王リチャードの伯父,ジョン・オブ・ゴーントは,スミスフィールドでトーナメントを開催するとアナウンス。

参加する為に派手派手しい(笑)騎士達がたくさん集まってきました。大勢の騎士は,まるで春に帰ってくる蝶のように華やかで,飲み屋に集まった彼らの派手な服装は,そこで働いている人達とはまるで対照的。花火が上がり,ワインは水路を使って注がれました。

クランストンとアセルスタンは,その中で酔っぱらいの喧嘩やどさくさでの殺人事件の捜査に大わらわ。しかも皆すっとぼけたり,ごまかしの証言をしたりで,クランストンのご機嫌も限界。(笑)

トーナメントまで2日に迫った日,2人は教会でしゃがみ込み,ビールを分け合いながら,クランストン「この仕事は少しお休みだ。木曜はスミスフィールドでトーナメントがある。行かなくちゃ。」アセルスタン「誘ってくれて嬉しいけど,戦争はたくさん見たので,行かない。」クランストン「いやいや,今回はそんなんじゃない,丸めた槍を使い,操作のスキルを見るんだよ。オリバー・ル・マルシェとロバート・ウッドヴィルがやるんだ。誰も死なないよ,ブラザー。うちのかみさんが来るんだ。君はベネディクタを連れて来いよ。」

何故未亡人の事を知ってるんだといぶかしがるアセルスタン(笑)

トーナメント当日,朝の集会にいつものように現れたベネディクタ,集まりの終わりに明かりを消している彼女に,ついうっかり(笑)お誘いかけるアセルスタン。驚きながらも2つ返事でOKしたベネディクタ。アセルスタンはガースという煉瓦職人んちの子を,お誘いOKの手紙を持たせてクランストン家に使いに出します。

夕方の祈りの後,ベネディクタを伴い,黄金の豚という居酒屋でクランストンと待ち合わせ。クランストンの奥さんは小柄で元気が良い。ベネディクタともすぐ打ち解けます。横目でヒューヒューなクランストン,ベネディクタをじ~ろじろ。彼らは檀家さんの1人が漕ぐボートに乗り,スミスフィールドの端にあるニューゲイト監獄の下にある居酒屋、お裾屋へ移動。暑い日だったので,居酒屋が涼しくて嬉しい。

居酒屋では,いろいろな階級の人々が,皆良い席を求めて右往左往。商人達はビーバーハットが暑そう。彼らの奥方は派手なガウンをまとい,物乞いや偽医者や語り部やギルドの見習いや職人達で溢れています。アセルスタン,檀家さんが来る度に思わず顔を隠します。大工のCrispin,ネズミ採りのラナルフ,ゴミ収集屋の息子ワトル,彼らはそれぞれ汚い歌を大声で歌いながら居酒屋のドアから入ってきました。

アセルスタンの一行は,クランストンが1杯飲み終わるのを待って(その間ベネディクタがそばにいてドッキドキw)フィールドへ。縛り首が3体ぶらさがったままだが皆無視。ソーセージ売りやバケツを持った冷たい水売りの中,アセルスタン,ラナルフが水売りの後ろに近づき,バケツにこっそりおしっこをしているのを見て思わず胃が喉に上がってくる(笑)

スミスフィールドは,イベントのためにゴミを片づけ,すっかりきれいにされています。広いスペースが仕切られている。身分の高い人達用に,木の椅子に紫と金の布が掛けられている一角がありました。真ん中には王様とお付き用の天蓋。ジョン・オブ・ゴーントのピカピカバナーが立っています。陣羽織を着た司令官が予約席まで案内。周りはどんどん人で埋まります。女性達は若い兵士に色目。

若い兵の中にベネディクタにも目をつける奴がいるが,アセルスタン敢えて無視。競技場には既に参加者が準備万端。見習い騎士や従者達が走り回ります。アセルスタンはたくさんの槍があるのをいぶかしり,何故そんなにあるの?と聞きます。クランストン「槍を丸めて戦う試合なので,幾つもの槍が折れてしまうのだよ」

そこへ大きなラッパの音。鳥達大騒ぎで飛び立ちます。
ジョン・オブ・ゴーントの一行がやってきた。兄弟や若い領主達の中に,色白の金髪の少年。その側には美しい女性。ゴーントは観衆に応えるような仕草をしますが,拍手をしたのは若い家来達だけ。ロンドンの大衆は全然静か。クランストンが,最近のフランスとの戦いがいかに高くついたかをつぶやきます。「あの少年が王様だよ」と妻に教えるクランストン「そして隣にいるのがレディ・イサベラ・リオンズ,トーナメントの主宰者だ。」

その時アセルスタンはベネディクタの方を見て,慌てます。彼女の視線の先に,若い騎士がいて,彼もまた彼女を見てます。(笑) しかしクランストンは,それに気づくと,「トーナメント始まるぞ!よく見ろよ,何か面白い事が起きるかもだ。」

競技場では,2人の騎士がそれぞれ大きな軍馬にまたがり,兜を被り,槍を手に取る。2人はロイヤルボックスに近づきます。



Run!Run!Run!