ペパキャンのサバイバル日記

円形脱毛症で髪の毛がなくなりました。今はスキンヘッドライフ満喫です。
見た目問題当事者としての情報発信中!

チリンチリン

2008-12-05 06:56:46 | 日記・エッセイ・コラム

私が小学校1年か2年の時だったと思う。私のランドセルには鈴がつけられていて、私が歩くたびにチリンチリンと涼しい音色を奏でていた。夏の暑い日、私が学校から帰ってくると、母が玄関先の門の前で立って私を出迎えてくれたことがあった。「どうして私が帰って来たってわかったん?」と母に尋ねると、「そりゃこのチリンチリンの音が聞こえてきたからやわ。」と母。たったそれだけのことなのに、私は無性に嬉しくて、母にむぎゅーと抱きついた。今でもその時の暑い日差しやお日様が作る陰の色、玄関前に植えられた青々とした木々、母のエプロンについていた石鹸のにおいまでくっきりと思い出すことができる。

たぶん私の幼少期はそういう無数のチリンチリン体験によって形作られたんだと思う。家に帰れば私を必ず待ってくれている(それも相当の喜んだ顔で)人がいるという安堵感に包まれて私は育った。不思議なもので人は自分が育てられたようにしか、自分の子どもを育てることができない。何故、こんな話になったかというと、今夜、私の会社で忘年会がある。前々からそれは企画されていたもので、私は参加ということになっていたのだが、夫の会社の上司が危篤で今夜お通夜になるかも知れないのだ。

そうなれば私は子どもを一人で家に置いておくことはできず、忘年会は欠席せざるを得ない。夫はもう子どもは5年生なんだし、夜一人で留守番くらいできるだろうという。実際夫自身は子どもの頃から両親が夜不在なんていうのはしょっちゅうで、平気だったそうだ。でも私は夜、子どもを一人ぼっちにして飲みに行ったところでその酒が美味しいかと言われれば、それはきっとまずくて気になってそれどころじゃないような気がするのだ。子どもが留守番できる云々の前に私自身がダメなんだと思う。

夫が「結局チリンチリン的に育てられた人間なんだ」と私のことを言う。そういう時の夫の言葉には少しの軽蔑と羨望が入り混じっている。そして夫の言うとおり、私はチリンチリン的に育てられた人間で、自分の子どももチリンチリン的に育てたいのだと思う。それがいいことなのか、悪いことなのかはわからない。あるいは子どもにとってはあんまりよくないことなのかもしれない。私の中で答えは出ないまま、あの夏の日のチリンチリンという鈴の音だけが響き続ける。


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2 コメント

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美しい思い出ですね♪実家でのちょっとしたあたたかい (kurumin)
2008-12-06 09:47:10
美しい思い出ですね♪実家でのちょっとしたあたたかい
映像を思い浮かべるとホッとします。
子供のころ、お留守番ということはあったけれど、
祖母も同居、小姑も近所に住んで、三人兄弟という環境、
ひとりぼっちでの留守番は18,9歳までなかったような・・・
現代をそれにあてはめるのはまた違いますけどね。

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くるみんさん (ペパキャン)
2008-12-06 13:16:19
くるみんさん
そうなんです。昔は大家族だったから
夜、子どもがひとりぼっちになるなんて
ありえなかったんですよね~。

結局忘年会には行けたんですけどね。
しばらくの間、この問題に関しては
夫とは平行線になりそうです・・・。
(ぐすん)
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