北川竜二で、「アレは何したので・・・」でした。

脳内で文章を作った時点で書くのが億劫になってしまうのですが、それでも時々書きます。

結果的に無事でした14

2006-06-30 06:17:20 | Weblog
 部屋の外に出、ヤンキー達の後に続く。受け付けカウンターの前にある少し広いスペースでヤンキー達は立ち止まり、
「ここに一例に並べ」
と、勝ち誇ったように言った。
(何でお前が勝ち誇ってんだ?)
洋平は少し落ち着いた頭の中でそのヤンキーに毒づいた。とりあえず現況で人数はこちらが勝っている。山田の行方が気になるが、数の上ではこちらが有利だ。更にここで騒ぎになれば、店の人も黙ってはいまい。短期決戦ならこちらに分があるかも知れない。そして振り返ってカウンターを見た洋平はギョッとした。ヤンキーと店員が親しげに何やら話しをしている。時折笑顔を見せる店員の名札をみると店長と書いてある。(ドウイウコトダ…)
洋平は動揺した。ヤンキーが店長を脅しているのか…しかしあの笑顔は愛想笑いではない。となると考えられるのはあいつらはグルだという事だ。店が警察に通報する事はない。
(まずいな…)
洋平はなにげに隣にいる尾崎を見た。尾崎は歯を食いしばり、眉間に皺を寄せている。キレかけている。
(まずいな…)
更に隣の吉元っちゃんを見る。ヤンキーを睨んでいる。今にも掴みかからん勢いだ。
(まずいな…)
店が頼りにならないとなると数の上でこちらが有利だとしても、こちらから仕掛けるのはよくない。このヤンキー達は間違いなく地元のヤンキーだ。他にも連れが集まる可能性はある。となると、他の客が通報してくれるかどうかだが…洋平はこのスペースから見える3つの部屋の扉を一つずつ見て行った。2つめの扉を見た時、3つめの扉が開いた。それに目をやった洋平はまたギョッとした。出て来たのはヤンキーだった。そしてこっちに向かいながら話しかけている。2つめの部屋からもヤンキーが出てきた。
(マズイな…)
このヤンキー達は何人でカラオケに来てるんだ?洋平は自分の身がかなり危ない事を知った。
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結果的に無事でした13

2006-06-27 07:59:49 | Weblog
 1番乗りで乱入してきたヤンキーが叫ぶ。
「何メンチ切ってんのじゃ!」
入って来た勢いも凄いが、言ってる事がピンとこず、洋平達は反応出来ずにいた。しかし、迫ってくるヤンキーに一人だけ反応していた。山田だった。立ち上がり、迎え撃った山田はヤンキーと組み合う形になり、突入してきたヤンキーの勢いを止めた。更に押し返すように、後ろに控えるヤンキーにぶつかりながら二人は部屋の外へ出て行った。
「…」洋平達。
「…」残されたヤンキー達。刹那の間の後、残されたヤンキーの一人が
「お前ら表出ろや!」
と凄んだ。
(何が一体どうなってるんだ…?)
洋平達は状況がよく分かっていなかったが、山田がどうなっているか心配だったし、言われた通り部屋の外に出る事にした。
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結果的に無事でした12

2006-06-24 11:07:36 | Weblog
 カラオケが始まって1時間もした頃だろうか、皆一様に空腹を満たし思い思いにカラオケを楽しんでいた。が、洋平は外が気になっていた。受け付けの近くに洋平達のいる部屋があるせいか、やたらと部屋の前を人が通る。混んでるんだな…洋平はその程度の考えだったが、それが30分以上続くとなるとさすがに違和感を感じざるをえなかった。他の連中も部屋の外の異変に気付きはじめていた。
「何かやたらと人通るな」Gさんが呟く。皆もチラチラと外を見る。改めて暫く眺めていた洋平はその違和感に気付いた。通る人が皆ヤンキーっぽいのだ。しかもそのうちの何人かは何度も通る。
(何やってんだかな…)洋平はこれ以上考えるのは無意味だと思い、俺も歌うかと本に手を伸ばす。
 さらに暫くは皆外が気になりながらもカラオケを楽しんだ。
 が、突然そのヤンキー達が乱入してきた…
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結果的に無事でした11

2006-06-20 08:10:09 | Weblog
 帰りの道中はうまく出発できたせいか、スムーズに車は走っていた。カラオケは送ってもらう時間などを考えて、シュウトンの地元にあるカラオケボックスと決まった。洋平は車に乗って暫くして、猛烈な睡魔に襲われていた。思ったよりも疲れていたのだろうか?自問自答しながらも明快な答えが出る前に睡魔で思考が止まる。運転しているシュウトンに悪いと思って必死にこらえるが・・・気付いた時にはシュウトンの家に到着していた。
 シュウトンは家の駐車場へ、宮崎は近所の道端に路駐。みんなでゾロゾロ駅の方に向かって歩く。駅までは5分程の距離だ。そして、駅前にそのカラオケボックスはあった。洋平はカラオケなんて殆ど行った事はなかった。知ってる唄も殆どない。クラシックなどを主に聞く洋平にはカラオケは身近な場所ではなかった。洋平はノリとして全く歌わないのはマズいだろうと思いながらも、これだけの人数がいればそんなに頑張って歌う必要もあるまいと考えていた。とりあえず少ない知ってる歌がある事と、その歌を他の連中に歌われないように祈るだけだった。
 受付を済ませ、部屋に案内される。8人が入る部屋だけあって十分な広さがあった。適当に座り、とりあえずメニューを皆で眺める。皆腹が減っているのだろう、ドリンクのページよりも食事のページを皆であーだこーだと言いながら見ている。洋平はピザとコーラに決めた。そうそうと決めた洋平は室内を見渡した。レーザーディスクの入ったジュークボックスを見る。
(さて、俺が知ってる歌はあるか・・・)
洋平はそう独り言をいいながら、歌本に手を伸ばそうとした時、洋平を呼ぶ声がした。注文を誰がするかでジャンケンをするのだという。面倒くさい事は誰かにやらせたい。しかし、8人がかりのジャンケンはなかなか勝負は決まらないようでアッサリ決まったりする。宮崎のグーに対し、他の全員がパー。
「何でじゃ!」
と叫ぶ宮崎に皆矢継ぎ早に注文する。覚えられねーとブツブツ言いながらも必死に電話で注文をしている。真っ先に注文を済ました山田と吉元っちゃんが歌本に手を伸ばす。洋平はまだ宮崎に伝えてないので、吉元っちゃんに歌本を渡した。

こうして、長い夜が始まった。
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結果的に無事でした10

2006-06-13 08:26:51 | Weblog
 何故こんな事になっているのだろうか・・・洋平達は一列にならんで立たされている。しかしそこには山田はいない。洋平達の周りを15人程のヤンキーが取り囲んでいる。何故?
 何だかんだで浜辺で遊ぶのには時間を要した。それまでは午前中同様それぞれに遊んでいた。ようやくそれなりのスペースが取れたのは15時になろうかという頃だった。朝から遊び詰めだったにも関わらず、全員それほど疲れてはいなかったが、帰りの算段も始めなくてはならなかった。渋滞に巻き込まれるかも知れないからだ。
 30~40分ほどで結局ビーチバレーを切り上げ帰り支度を始めることになった。渋滞に巻き込まれなければ、それほど時間は掛からずに帰れるはずだ。そうなるとまだ家に帰るには早すぎる。帰り支度を終え、駐車場でああでもないこうでもないと話して、カラオケに行くことになった。
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結果的に無事でした9

2006-06-08 08:13:44 | Weblog
 そんな感じ、あんな感じで思い思いの時間を過ごした。体力温存と言っていた山田はその後ビーチボールで遊ぶ連中に合流した。逆にそこから戻って来た尾崎とヤスと3人で昼飯時まで喋っていた。とりとめもない話もそこそこに、話題はやはり進路についての話題になる。3人とも大学進学希望だ。夏休みに入るまでは毎日顔を合わせてたので、とりあえず休みに入ってからの情報を交換した。と言っても大概は愚痴だ。夏期講習についていけないとか、模試の結果が散々だったとか・・・別に行きたい大学なんてなく、大学で何をしたい訳でもない。高3になってやっと大学の事を考えてるなんてやはり遅いんだろうな。3人の折角の浜辺での会話はそれこそ海の色の如くブルーな会話になっていた。
 昼飯時になり、今日初めて全員が顔を合わせた。かき氷を食べたまま席を占領していた吉元っちゃんと宮崎に合流する形になった訳だが、恐ろしい事に食事は焼きそばしかなかったのである。かき氷の種類が豊富なところからすると、そういう店ではなかったらしい。明かに店のチョイスを間違ったな・・・洋平は思った。店を変える事も考えたが飯時のために他も混んでいるし、折角座れたここを動くのも勿体無かったので諦めて焼きそばを食べる事にした。
 焼きそばを食べながら、食べた後の話を皆でした。折角この人数で来てるのに別行動も勿体無い。とりあえず皆で何かする事になった。と言っても持ってきたのはビーチボールだけ。やれる事は限られてるし場所も確保しなくちゃならない。まぁぼちぼち行くか。どちらにせよ浜辺で遊ぶには混みすぎている。基本的に身体を動かすのが好きな人間ばかりである。じっとしていられない。結局人が減るまで適当に過ごすでまとまり、午前中まったりしていた吉元っちゃんと宮崎が飛び出して行った。
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結果的に無事でした8

2006-06-06 07:05:31 | Weblog
 何事もなかったように二人に近付くが、洋平は息が上がっていた。ヤスの隣に座り、息を整える。
「何全力で泳いでんの?」とヤスの開口一番。
バレてたか…
「他の連中は?」その質問には答えず洋平は聞き返した。
「あそこでビーチボールで遊んでる」山田が指差す方を見ると、浜辺でシュウトン・Gさん・尾崎がバレーをやっていた。
「ちょっとはた迷惑じゃねえか?」その周りだけ人工密度が少ない。
「いいんじゃない」とヤス。「残りは向こう」と山田。見ると海の家で吉元っちゃんと宮崎がかき氷を食べていた。
「で、君達は焼きか?」
「いや疲れたから」とヤス。まだ何もやってねぇだろう。
「体力温存」と山田。何の為に?
「ふ~ん」突っ込むのも面倒なので洋平は適当にあいづちを打った。
「お前は随分張り切ってたよな?」山田がヤスの最初の質問を引っ張る。
「そんなに遠くまで行ってたか?」
「いや、そこまで見てないから」そりゃそうだ。
「とりあえず泳ごうと思ってさ。浅瀬は人が多いからちょっと離れようと思ったら結構離れてさ、ちょっと焦った」何か言い訳っぽいか。
「ふ~ん」
何だそれは?まぁ別に構って欲しい訳じゃないし、盛り上がる話題でもない…ま、いいか。
 何か変な感じで会話が途切れたので、居心地が悪くなった洋平は何気なく空を見上げた。太陽はかなり高く真上に昇っていた。雲は少なく、まだ乾ききってない肌にその陽射しは痛い。こりゃこのままいたらヒドイ焼け方するな…まぁでも暫くはこのままでいよう。洋平は寝そべった。熱くなった砂が痛かった。
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結果的に無事でした7

2006-06-05 14:00:22 | Weblog
 午前中は皆思い思いに行動した。日に焼かれる者、泳ぐ者、早々に海の家に引っ込んでしまう者・・・洋平は泳いでいた。泳ぎは得意ではないが、まずは泳ごうと決めた。砂浜は洋平の感覚ではかなり離れている。既に足は海底に届かない。これが海が嫌いな理由の一つだ。地に足が着いてないフワフワした無重力感。自分がまさか溺れるとは思ってもいないが、そのまさかが恐い。暗い闇の穴の中へ引きずり込まれるイメージ・・・自分の周りには人は誰もいない。かなり離れた所に長方形のマットを浮き輪代わりにして泳ぐカップルがいた。もし俺が急に消えたとしてもあいつらは気付かないだろうな。勿論逆も。思わず泳ぐ手足に力が入る。
 暫く、砂浜から離れた所で泳ぎを満喫した後、少しずつ砂浜へ戻った。こうして砂浜を見るとかなりの人が来ているのが分かる。他の連中を探してみるがなかなか見つからない。もう少し近づかないと分からないか・・・泳ぐ速度を速める。が、波に流されているのか、浜にいる人達が大きくならない。調子に乗って泳ぎ過ぎたか、洋平は思わず舌打ちした。さっきのネガティブイメージが頭をよぎる。いつの間にか洋平は全力で泳いでいたが、その事に本人は気付いていない。周りからすれば滑稽に違いない。砂浜から見れば、全力で一人砂浜に向かって泳ぐ謎の人・・・そっちの方が恐い。
 気付けば浜に近づいていた。改めて探す。山田とヤスが見えた。砂浜に座り喋っているようだ。他の連中は見つけられなかった。とりあえずあいつらの所に行こう。ちょっと疲れたし一休みしたい。と、考えた時足に何か当たった。海底の砂だった。何だかな~・・・洋平は思わず苦笑いし、泳ぎを止め、歩きだした。
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結果的に無事でした6

2006-06-03 12:55:11 | Weblog
 海が近い。洋平は窓を開けて空気を嗅いでみる。まだ潮の香りはしない。その間にも車は進む。暫く直進し、左折、そして右折。また暫く直進。すると海岸線に突き当たった。左折し、海岸線沿いに進む。
 海だ・・・吉元っちゃんのテンションが跳ね上がる。うるさいとGさんが笑いながらたしなめる。もう一度臭いを嗅ぐ。潮の香りだ。
「今日は焼くぞ~」と吉元っちゃんの気合の入った言葉。しかし、野球部の彼がこれ以上焼けると一体何色になるのだろうか?案の定シュウトンに突っ込まれている。Gさんはサッカー部だがそんなに日焼けはしていない。むしろ色白に近い。とりあえずそのことを聞いてみる。
「俺って日焼けし辛い体質みたい」
・・・そんな体質あるのか?とりあえず「ふーん」と答えておく。
「あそこだ」シュウトンが右斜め前を指差す。見ると駐車場が見え、その向こうの砂浜に人、そして海に人がいるのが見えた。
「おお~」シュウトンを除く3人がとりあえず声を揃える。さほど海が好きではない洋平もここまで来るとさすがにいくらかテンションが上がった。
 駐車場にゆっくりと2台の車が入る。かなりの車が入っている。無事に止められるか心配だったが、何とか2台無事に止める事ができた。荷物を持って車から降り、砂浜へ行く。泳いでる人、焼いてる人、遊んでる人、様々だ。暫く眺めているともう1台の連中が近づいてきた。簡単にあいさつを済ませ、海の家に移動する。着替えを済ませ、海辺へ近づく。
 海だ。久しぶりの海。洋平は走り出し、海の中へダイブした。
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