「侘び・サビの時間」
いつものようにスーパー・フレスコで昼食の材料を仕入れて工房に向かいます。
時間帯がオヤジタイムなのか店内はオヤジばかりが目立つ。
そのむさくるしい時間の中で場違いな容姿端麗のイケメンとよく出会う。
京都顔といわれるほっそりとした「しょうゆ顔」だ。
「葵祭」「時代祭」「祇園祭」には伝統的な京男が現れるので観察が出来ます。
この日もいつものようにレジを通り抜ける。
「レジ袋は要りません」「ありがとう」
笑顔もサービスするオヤジだ。これがキモイのだと人が言う。
イケメン君が私の後に続いて立っています。
私が離れたとたんの瞬間、背中から「いらっしゃいませ~!」の大きくきれいな声が聞こえました。
今までの経験でボイストレーニングの指導をやってきた。その中でもトップクラスの挨拶に驚き振り返る。
レジのお姉さま満面の笑顔!これがイケメン君に対しての挨拶なのだ。
同時に「自分がオヤジになったのだ~」と「侘び、サビ」たる者の悲哀を感じます。
「秋なのや~!しみじみ~!」自転車で工房に向かう。
自転車をこぎながらよーく先ほどの出来事を思い出す。
「そういえば~若い時からあんなにきれいな声で迎えられた記憶がない!」
父ちゃんは単身赴任の家庭でした。
娘はお絵かきの時間で「父の日」なのに「お父さんの顔が思い出せない」ことになる。
「お父さんの顔か~?そやね~この父ちゃんの「下駄」に大きな眼と歯を描く!鼻緒はそのまま残して黒く大きく、両脇に大きな耳をつけたらおとうちゃんや!」
嫁さんが子供に教えたそうだ。
後日、父親参観日に出かけていった。
初めて出合った先生達は私を見たとたん正確に名前を覚えていました。
「あらぁ~お父さん!絵とそっくり!」
思いっきり笑われた。
最近、じっくり顔を見る機会が顔に刺さった「旋盤クズ」を抜き取るときくらいだ。
「使い古された下駄」が鏡の向こうに映っていました。
イケメン君もいずれは使い古しのイケメンだ!ギャップが大きいはず。
いつの日にかレジの女性のトーンが下がる時が来るでしょう。
「祇園精舎のかねのこえ~♪金と希望がなくなる北山しぐれ~!」
自分より長生きしそうな時計と楽器に囲まれて「侘び、寂び、幽玄」の贅沢な時間を送っている時計師オヤジでした。
今日は晴れるそうですよ~!
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