京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間

2014-03-20 09:10:44 | 日記

3月20日木曜日 旧暦如月の廿日。
写真はセイコー手巻きアンティーク。
セイコーの時計は美しいと言う証明のようなモデルです。

 百貨店さんのチラシで「セイコー・クレドール」が掲載されていました。
やっと国産時計の世界でも美しいイメージ訴求の商品が出てきたね!と嬉しくなります。
今日は「チラシの京都時間」の話。


写真は昨年、工房の近所に出来た「リカーマウンテン」さんの創業祭チラシです。
昔の仕事柄でついつい広告をじっくりと眺めてしまう。

さぞや大変だっただろうな~!と感心する出来のいいチラシでした。
円安の影響でボルドーワインは値上がりで利益が出ないでしょう。また人気の国産ビールの限定品は入手出来ない中しっかり創業祭のボリュームや値ごろ感が出ていました。

時計の広告でも同じ傾向にあります。
チラシの世界ではロレックスを代表するスイス時計は定番商品の価格訴求。○%値引き!はボルドーワインと同じ手法だ。
セイコーなど国産時計群は新製品の機能訴求と傾向がはっきりと分かれる。それを混ぜて魅力的なチラシを作るのです。

ところが人気のクレドールやポール・スミスなどライセンスものなどはチラシに載せない規約なので人気商品が広告に掲載できないことも多い。
その結果、毎回同じような商材でさっぱりしないチラシが出来上がるのです。
「金太郎飴売り!」「大根チラシ屋!」
営業会議ではあたらない広告に非難が集中する。
バイヤーは孤独に耐えるスキルも必要なのです。

一枚8円程度のチラシ費用を負担する店舗の店長さんたちも死活問題なので真剣に攻撃してくる。
製作する立場として最低必要な事は広告に掲載するだけの数を集めること。
これが一番難しい。優先順位を決めてその場で打てる手を尽くしていく作業が続きます。

今でも広告当日に商材が集まらない夢を見ます。
時計担当のバイヤーの役目はチラシ投下にかけた全体の費用を回収すること。毎月のように広告商材を集める為に経験が必要になる。
そこでスイス製の新製品で機能訴求が出来る時計を探し出そうとします。

スイス時計はモデルの変更が極端に少ない。エルメス・クリッパーなどは数十年続く人気を誇るモデルなどザラにある。
毎年のように物価上昇分の価格を上げていくために広告日に円安が続くと利益が出ない。赤字広告商材も発生することがおきます。

お客様はこのような商品に飛びつく。お客様の方が詳しいのだ。これには驚きます。
特に最近の円安傾向では現役のバイヤーたちは生きた心地がしないでしょう。

この春の季節では店舗の担当者からの一番の要求にバーゼルフェアーやジュネーブサロンなど時計博覧会で人気があるモデルがある。
今年の例ではカルティエのカリブレ・ダイバーウオッチが目玉になるでしょう。

このレベルの高級時計はそれぞれの地域に送る店舗分の商材がそろわないのでチラシ商材に採用できない。
また、やっと集めた集客商品を採用しても広告日までに売りつくしてしまい追加を依頼してくるおばか店舗も出てくるのでバイヤー人生に慣れない頃は怖いのです。

最近、関西では時計店のチラシ広告が皆無に近く寂しくなりました。
関東ではチラシ投下資本を回収可能のようでCFやチラシでの時計の露出頻度は高い傾向にある。
関東在住の皆さんで時計に詳しい人が多いのもこのような事情があるようです。

関西では「セイコーの名前を知っている人!手を上げて~!」
中学生たちの知名度では20人中2~3人の手がぽつぽつと上るだけが現実です。
「親の顔を見たいよ~!」と嘆くより自分の非力さを思う。

これからは地方での時計師の役割が大きくなるでしょう。現実、アナログ時計の時刻合わせが出来ない中学生も多い。
なんとか時計の世界を盛り上げたい。酒屋さんのチラシを見て考えました。










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