人知れずの記録ー障害後期高齢者の日々のつぶやき

日々のリハビリをはじめ、何でもかんでも書いてやろう!という日記帳。

「心ふんふん、体ガタガタ」な旅だった

2018-08-26 11:59:24 | 日記
血圧120 65 脈動65 熟睡

☆今回の旅の最大の出来事は、いや、不始末は、携帯紛失事件を起こしたこと。
 宿についてやれやれ、いくつかのところに無事到着の連絡を入れよう、と携帯をズボンポケットから取り出そうとしたが、無いっ!あっちこっちの収納個所をくまなく(そんなところにどう考えても携帯をしまうわけはないのに)探したが、無い。
 タクシーの中で無くしたか?電車を降りるときに座席にこぼしたか?
 思いつく「可能性」で、探してもらえる所に、宿の係の人にも協力をお願いして、問い合わせ。
 下田駅で「それらしいものを保管しております。」との返答!!ありがたや…。
 すっかり甘えの人になり切った障害ジジイ。無事手元に戻ってきた携帯は、旅の空では使わない決意をし、ゴロゴロカバンの内ポケットに、しっかりとしまい込んだのであった。

☆歩行はほぼ不能と判明した段階で(下田駅改札を出た時)、観光タクシーを利用することにした。
 「宿のチェックインタイムまでの1時間余、街をぐるりとご案内いただけますか?」
 そら、下田と来たら、「ペリー開港」。オラ、それ、耳タコ状態。なんか、もっと土地の人々の息遣いを歴史的に知ることはできないかしらねぇ。
 運転手「こちらのなまこ壁。廻船問屋です。雑という漢字を書く名字でサイと読みます。雑賀さんです。」
 口だけ達者なジジイ(ぼくのことです)「和歌山の、あの、雑賀衆と関係があるのかなあ。あっちから流れてこっちへ来た、とか…」
 運転手「そのあたりはよくわかりません。立派ななまこ壁でございましょ!」
 口だけ達者なジジイは、元の勤務地の和歌山を懐かしく懐かしく忍ぶのであった。


 運転手さん、ジジイのぶつぶつ語りに耳を傾けながら、しかしここは、下田=開港史跡のグルグル周りで通すぞの、ご決意新たに、次なる看板のところに車を止めた。
「欠乏所跡」 あっちさん、遠路はるばるやってこられたけれど、船の燃料や人間の食料に事欠く事態。当たり前だ。そういう「欠乏品」を賄うことで、こっちの生計を立てることになった。貿易商の発祥ですな。
 ふむ。なるほど。・・・・タクシーから下車して「お触り」やら「しばし眺めいる」行動に移そうとはしないジジイ相手に、運転手さんは、懇切丁寧に、語りのサービスをくださったのでした。

 いわゆる「観光見どころめぐり」で心を震わせたのは、「雑賀」という言葉と「欠乏」という言葉なのでありました。

☆下田への旅2日目午前。下田水族館で。ぼくの水族館好きは、アメリカ滞在研修で、家族に、モントレー水族館に強制的に連れられて行った40歳代始めに始まる。
 で、下田水族館はぼくの先入観を完全にくつがえした。「水族館」という一つの「箱」型建物ではないのだった。それと、魚類展示が少ない、海獣による参画型アトラクションが売り、ということだろうか。
 歩き回るのが苦痛状態だったので、とにかく海に差し出された回廊に据えられたベンチに腰を掛け、海をぼーっと眺め、宿から差し入れのおにぎりやらフルーツやらを味わっていた。
 と、幼子中心主義家族の群れがドドドっとぼくの座っているベンチに集まってきた。そこはベンチではなく「観覧席」だった。何人かの幼児がぼくの脇腹を、もちろん無意識で、蹴とばす・・・。やがて目の前で、イルカショーが始まる。皆さん総立ち。ぼくだけ座り込んで…、さすがに口にものを入れるのをやめたけど…。ぼくの前だけぽかっと穴が開いたように、誰も入ってこない、ただ、鉄柵がぼくの視界を限定する。
 あくまでも座りとおし、人群れと鉄柵によって創られた「窓」を通して、イルカショーを楽しんだ。「イルカに乗った少年」が既報のごとく空を飛んだ!




 また来ようかな?フグが面白いし。


☆ 観光タクシーは、ペリー開港に関する史跡巡りをメインとし、時折「天皇陛下が…」という語りを入れて、ご案内くださった。
 米国領事館が置かれていたという玉泉寺門前に建てられてる史碑「露艦ヂアナ号水兵墓所」とあるのに、心奪われた。運転手さんにこれはどういう史実があるのか?と尋ねた。甲板清掃の水夫が崩れ落ちた大砲の下敷きになって亡くなったが、それを弔っているところだ、という旨の説明を受けた。
 亡骸を祖国に帰すことができず、この寺に葬った。職務上の事故死。しかも、おそらく下っ端水兵の「雑役」中の事故死。それを当地で弔ったというところに、開国圧力に抗しきれない力関係を垣間見たような気がする。
 ささやかな、歴史年表には取り上げられるほどのことの無い、しかも事故。それを遺す史碑の存在。・・・いや、実際の歴史評価はこうではないのかもしれない、ただ僕が歴史知らずなだけだ、とも思う次第。