会社で超音波ボルト軸力計を使って計測している人がいた。
軸力を付与していって測定出来ないと言っていた。200N, 400N, 600Nと軸力を増して行ってもボルトが伸びていかないというのだ。
そ ん な ば か な
超音波ボルト軸力計の仕様を見てみると時間分解能は10nsくらいとかいてあった。ボルトの全長は20mmと45mmでサイズはM8。
では、計算しましょう。
ボルトの断面積をS、長さをlとすると、バネ定数kは次のように計算出来ます。
k=E・S/l 次元解析:E[N/m^2] * S [m2] / l[m] = k[N/m]
具体的な数字を入れていきます。単位はMPa=N/mm2なので、長さをmmにします。
鉄のヤング率は200GPa = 200E3 [MPa = N/mm^2]
M8ボルトの有効径を7.6mmとすると、S=π3.8^2=45.36[mm^2]
k=E・S/l = 2E5 * 45.36 / L = 8.14E6/l
l=20mmのとき、k=4.07E5 [N/mm] = 407[N/um]
l=45mmのとき、k=1.81E5[N/mm] = 181[N/um]
鉄鋼の音速は5920m/sくらいらしいので、10nsで進む距離は5920[m/s]*10[ns] = 5920*1e-9*1e6[um]=5.92[um]
ボルトが6um伸びてようやく測定が可能なので、
l=20mmのボルトでは2.4kN ≒ 240kgfの荷重が必要。
l=45mmのぼるとでは1.07kN≒107kgfの荷重が必要。
話が戻ります。200N, 400N, 600Nでは変化が検出できないことは明らかです。