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日本語教師の見た中国とか…

日本語教師が見た中国をつらつらと綴ろうとはじめました。帰国後、大学院生を経て今はとうとう専任日本語教師だ~。

ことばの習得

2005-08-26 10:19:47 | 日本語教育
 「もう年だから中国語がぜんぜんおぼわらない」

なんてことをいう人がいます。習得研究でも、臨界期仮説などというものが提出され、12歳くらいを過ぎると言語は習得できなくなってしまうなんてことがまことしやかに流されております。

 ほんまかなあ?

なんて思うことが最近ちょこちょこありました。

① 僕のクラスで日本語が一番伸びたのは最年長35歳の女性でした。かなり上手にコミュニケーションできます。少なくとも12歳なんて数字はどうなのかなあ。

② 近所に1歳半くらいの子供がいます。いつもベビーシッターさんといっしょに散歩しています。毎日階段を下りながら、

 1(イー)2(アール)3(サン)4(スー)5(ウー)6(リュー)・・・

 
 しかし この子供、覚えが悪い!!

もう2ヶ月は繰り返しているのにいまだに3(サン)以降が言えない・・・もし僕がベビーシッターさんだったら、

 「こらー2ヶ月前に習った言葉をまだ覚えないのか!!このドアホウ!」

なんて切れてしまうかもしれません。それは冗談として、もちろん子供の言語習得では「既習語彙だから忘れるな」なんていうプレッシャーはかかりませんねえ。

 それにしてもこの子は覚えが悪い。でもみんなはしかることもなく会う人会う人が中国語で話しかけます。

 「何歳になったのデチュカ?」
 「何食べマチタか?」

なんていうセリフを繰り返し繰り返し質問されることでゆっくりゆっくり意味を推量していくような気がします。子供は返事もしませんが、それでもみんなは繰り返し繰り返し話しかけます。

残念なことにもう30を過ぎてしまった私に、

 「いまイクチュですか?」 
 「ごはんは何食べマチタか?」

なんて言ってくれる人はいません。そんな言われたら気色悪いもんなあ。言うほうも嫌だろうし・・・


 大人と子供の違いなんて案外そんなものかもしれません。


 たまにはまともなブログでしょ?へへへへ。

コースの終わり

2005-08-25 20:57:56 | 日本語教育
 とうとう集中教育が終了しました。半年間のプログラムで、3級試験に合格することが最後の目標となっておりました。みんな一生懸命勉強したので、なんとか無事に合格できてめだたしめでたしです。

 聴解の悪い学生が多かったのですが、文字・語彙の試験がめちゃくちゃいいので、なんとか挽回してトータルで合格っていう形になっています。そりゃーそうですよねえ、漢字の問題なんて、日本語をやらなくても解けるものが多いんですから。中国人には有利な試験です。

 「先生、(合格祝いに)あさってパーティしましょう。」

 「あさってはだめなんです、用事がありますから。」

なんていう会話をしたのが一昨日の話。パーティはどうなったのかな~と思っていたら、さきほど・・・

 「さあ、先生行きましょう。」

 こらこら、今日はあかんって言ったやろ~。

 ほんまに聞き取りがやばい。日本へ行ってからのコミュニケーションをスムーズにするために日本語を学んでいたはずなのに、いつの間にか

 「試験に受かるための日本語」

になっていました。本末転倒だ~。

 まあ、コトバの習得なんて複雑なものです。こうやって悩み迷い続ける日々がすばらしいのだ。って自分に言い聞かせています。


 でもなんだか残尿感がのこるなあ。あ~無念!

授業にて 8

2005-08-23 10:25:57 | 日本語教育
 日本語には「貸す」「借りる」、「教える」「教わる」、「見せる」「見る」などという対になった語がたくさんあります。よくよく考えると分かりますが、これらの語は基本的に同じ意味です、ただ方向が違うだけ。

  私は友達に本を貸しました。 私 → 友達
  私は友達に本を借りました。 私 ← 友達

中国語話者は、これらの語彙を習っても、なかなか使い分けが難しいようです。特に許可表現といっしょになるとグチャグチャ。

 「先生、その辞書を借りていただけませんか?」

惜しいなあ~、「ていただけませんか」の使い方はばっちりなのに・・・全体としては何が言いたいんだかわかりません。

 でもね、よくよく考えてください。中国語にこれらの対がないからといって、中国語でも同じ表現はあるわけです。ただ‘貸す’も‘借りる’も‘借'一つで言えてしまうというだけです。つまり、日本語の‘貸す’や‘借りる’を使い間違える確立は50%なんです。

 なのに~な~ぜ~♪

覚えの悪い子に限って、すごい高い確率でいい間違います。

 「先生の辞書を貸してもいいですか?」

あかんっちゅうねん!俺の辞書を誰に貸すのよ。

な~んて切れていたのは昔の話。今じゃすっかり慣れてしまい訂正もしません。


それはそれで問題だけど。

授業にて 7

2005-08-21 08:52:56 | 日本語教育
 祝 日本村リンク記念!

 いや~これで私もいっちょ前の日本語教師だな~と思って日本村を覗いてみました。中国のカテゴリーにはブログがふたつだけです。そんで私のブログをクリックしたら、どどど~んと過去10回分のタイトルが出てきました。

 ・・・日本語教育ネタが一個もあらへんがな

ふりかけがどうのとか、おっさんが穴にはまったとか、ビールがどうだとか・・・こんなん読んで誰が私を日本語教師と思うだろうか(反語)。

 ってなことで授業の話。

 留学予備教育で日本語を教えると、どうしても短期決戦になります。毎日毎日日本語をぎゅ~っと詰め込みます。ここで教師として大事なことの一つは、

 習った語彙と文法をうまく使いながら、会話をすること

だと思います。30課まで勉強したなら、30課までの語彙と文法をうまく駆使して学生と話すんです。例えば、「大学生の間は、結婚したらあかんの?」って聞きたいときは、

 「大学に入学してから卒業するまで、結婚をしてはいけませんか?」

ってな具合になるんです。瞬間的にこれをするのは結構大変で(上手な方もたくさんおられます)、僕なんかはすぐにまだ習っていない言葉とか入れてしまい、学生に「は?」って顔されます。「ちょっとぐらいええやん~」って思うんですが・・・

 ところが、うまく既習語彙だけで質問しているのに、学生が「は?」って顔することもあります。そんな時、

 (なんでわからね~んだよ、おとつい習っただろうがよ!!)

なんていうトゲトゲした気持ちになることがあります。僕はこれはいけないな~って思うんですが、日本語教師って

 習ったこと=覚えていること=聞き取れること

って誤解しがちだと思います。

 僕が中国語を習っていたときでも‘蜂須賀さん’っていう同級生の名前を最後まで覚えることができませんでした(中国語で‘フェンシューハー’、難しいねん!)。実は習ったことの中で聞き取れる語彙なんて少ないもんです。こんなえらそうなこと書きながらも先日、

 「これは26課で習いましたよ~」

なんてセリフを(ほんのちょっぴり)非難がましく言ってしまいました。


反省 

日本語の授業にて 6

2005-08-08 15:18:37 | 日本語教育
 たまには日本語教師らしいことを書かねば。

 「~はずです」っていう文型はすげー間違いが多いんです。「~かもしれない」とか「~なければならない」「~べきだ」とかとゴチャゴチャになるみたいです。「~はずです」は事実に基づく判断、推量で、

 「電話で連絡があったので、彼は来るはずです。」

のように客観的事実を述べる文が先行した複文の例を使います。みんなに例文を作らせるために、こっちのキューは何を出せばいいかずーっと悩んだ結果・・・

 「彼はインド人だから、~」

というキューを考えました。これが結構当たりで、

 ヨガが上手なはずです。        な形容詞
 顔が黒いはずです。          い形容詞
 ヒンズー教徒のはずです。       名詞
 いつもカレーを食べるはずです。    動詞 

一通りの品詞が出ました。

 インド人ってなんか神秘的でみんなのイマジネーションをかきたてるんですよねえ~。これがイギリス人とかトリニダドドバゴ人とかだったら、こんなに盛り上がりはしないでしょうね。

 「○○さんは~出身だから、~はずです。」

っていう形でクラスメートのことを言わせて、これも盛り上がりました。

 Lさんは四川出身だから、辛いものが好きなはずです。
 Zさんは遼寧出身だから、お酒が強いはずです。

なんていう土地に対するステレオタイプってあるんですよね~。


 今日のブログはなんだかチマチマしてしまった、う~ん不本意。

日本語の授業にて 5

2005-08-04 10:19:35 | 日本語教育
 
 「先生、3級の試験は、教科書の何課から何課までを勉強すればいいですか?」

なんていう質問が出ました。初級の教科書が終われば基本的に3級範囲をカバーするっちゅう建前になっているんですが、私のクラスの教科書は、前にも書きましたが(「教科書を斬る」参照)、語彙数がめちゃくちゃ多いのです。‘ルノー’とか‘セブンスター’を覚えても、3級試験には、屁の突っ張りにもなりません。

 「進め、止まれ。動くな。伏せろ。立て。モタモタするな。」(第59課より)

こんな文を暗記してもねえ~。

 そんなこんなで、冒頭の質問みたいなことを聞かれると、答えに困ってしまうのです。しかも、初級の学習者にわかりやすく説明するなんてことは難しいですよ。

 「(ニタニタしながら)えへへへ」

って誤魔化すのが関の山。

 初級の人にわかりやすく話すってのは、日本語教師の大切な能力の一つだと思うのですが、どうしても簡単には説明できない複雑な事象ってのが世の中にはあるわけです。そんなことを質問されても困るんですよね。

 「先生、‘は’と‘が’はどう違うんですか?」

日本語の聞き取りができない学生ほど、こういうややこしい質問をしてきます。


 「えへへへへ~」


また誤魔化してしまった・・・


学生さん4

2005-08-03 14:51:52 | 日本語教育
 短かった夏休みが終わり、新学期が始まりました。久々に学生さんの顔をじーっと見てしまいました。うちのクラスには吉本興業のホンコンそっくりさんの学生がいます。吉本と言えば、南海キャンディーズの(M1で優勝したら)結婚宣言はいろんな意味でショックだった。

 話はそれたけど、この学生さん、日本語教師団すべてが認めるホンコン似。趣味はマージャン。
 
 「私はマージャンが上手です。」

 「お金を稼ぐつもりだったのですが、負けてしまいました。」

 「今まで5000元もうけたことがあります。」

 
作る例文もほとんどマージャン絡み。このホンコンさん、話すのがちょこっと遅くて、かつ声までホンコン似なので、じーっと顔を見てると本物に見えてきます。でもなんのなんの、テストをすればすばらしい、文法だけならだいたい満点です(‘でも’っていう逆接に深い意味はありません)。

 夏休みが明けて初日。

 私   「教科書を出してください。」

ホンコン 「・・・・・・・(にや~~と笑っている)」

 私   「ホンコンさん、忘れたの?」

ホンコン 「実家に忘れてきました。」

 私   「どうしたの?」

ホンコン 「お酒を飲み過ぎました。」

関係あらへんがな!


銀幕デビュー

2005-07-20 10:10:13 | 日本語教育
 「声優さんしません?」って誘われたのが4月の話。日本語教師をしているといろんな話がくるけど、声優さんってのははじめてでびっくり。おもしろそうなんで行ってきました。「力道山」っていう中国映画に出てくる日本人のセリフをしゃべるってのが任務でした。

 映画撮影所に着いて渡されたシナリオは、へろんへろんの紙一枚に日本語セリフの部分だけが抜き出してあり、全体の流れはまったくわからないんです。「練習しておけ」って言われてもどんな場面で誰がしゃべってるのか全く検討がつかないので、練習もくそもないよ~。日本人は3人で参加しました。3人の役割分担がその場で決められて、私にもかなりの量があてられました。

 シナリオより
 「遺言一言残せずに息を引き取る最後の瞬間、日本の英雄力道山さんが胸に置いた両手は果たして何を意味するのか。」


「う~ん」、どんな状況なんだろうこのセリフは。しかも、なんか日本語がかたい!さらに、本番のテイクに入った途端、割り当てられていたセリフと全然違うところばっかり読まされて、

 「おいおいおいおい話が違うやんけ~」

などと言うまもなく録音が進んでいきました。

 日本語教師なんだから日本語もうまいんだろうってなことで呼ばれたんだけど、録音となるとこれが結構大変。ミス連発で、なかなか監督のオッケーが出ない。これは大変な仕事だなあ。

 「力道山がんばれ~」

って絶叫するシーンなんか、結構大変。叫びたくもないところで叫んだり、笑いたくもないところで笑ったり、声優さんって本当に偉大だ。私も忙しくもないときに忙しいふりをするのは得意だが、笑ったり叫んだりは得意ではないです、はい。

 レフリーが「ワン・ツー・スリー」ってカウントするところもやりました。監督は奥のほうで、

 「「ツー」ってのはおかしいいだろ、「トゥー」じゃねえのか?」

などと、どーでもいいことをいろいろ議論してて、録音はなかなか進まない。挙句の果てに、

 「おまえの声は大きいだけで、いまいちだな~」

なんて言われて、ほとんどのセリフがカットされてしまいました。こらこらこらこら、昔好きな子に「あなたは嫌いだけど、声は好き」って言われたこともあるくらい声には自信があったのになあ。結局上の絶叫シーンとレフリーのカウント以外は、ほとんどカット。あ~あ。

 中国製作の映画「力道山」、近日公開です。日本にも行くらしい。見所は、観客が絶叫するところとレフリーのカウントです。お楽しみに~

 しかし、どんな映画なのか全体像は未だにわかりません。 

日本語の授業にて 4

2005-07-15 09:14:41 | 日本語教育
 中国ではそろそろ学期末です。学期中は必死にカリキュラムに追われて授業を進めてきた教師陣も、
 
 「暑いし、教科書はもうやめようよ~」

ってムードになるんです。そんなこんなでみんなにビデオを見せたり、歌を教えたり、なんていうゆる~い授業をやることになります。私も例に漏れず、歌の授業などという、授業なんだかどうなんだかわからないような授業をしてきました。

 中国の学生は歌を歌うのが好きです。もちろん14億人もいる中国人をひとくくりにするのはいけないんですが、歌を教えると本当に大きな声で一生懸命歌ってくれるので、私も指導のしがいがあります。音楽教師みたいに、ひざをポンポンとたたきながら、リズムをとって歌った歌が
 
 「今日の日はさようなら」

 「♪ い~つまでも~たえる~ことなく~」

ってやつです。教科書にあるからやっただけですよ。こちらの学生は休符が連続すると待てないという特徴があります。必ず半分くらいはフライングして歌ってしまいます。

 「どうどうどうどう!(馬を慣らすときの言葉)」

って感じでフライングを押さえて、なんとか歌になりました。結構出来がいいので、このまま夜の全体飲み会で歌おうぜってことになりました。みんなで立ち位置まで決めて、指揮もたてて、かなり真剣な感じになりました。

 場面は変わって、夜の飲み会。みんなお酒が入っていい感じのところ、飲み会を閉めるべく我々合唱団が呼ばれました。さあ、がんばるぞって言っていたら、

 学生全員「すみません、メロディーを忘れてしまいました。」

 「コラコラコラ、土壇場で言わなくてもいいこと言うなよ~」(心の叫び)

この後の合唱が惨憺たるものだったことは言うまでもなく、ほとんど私一人が歌っているというめちゃくちゃ寒い歌でした。

 確かにね、習ったばかりの歌なんてそんなもんかな。また音楽教師として一回り成長した私でした。まだまだ先は長いぜ~

 しかし本番、歌う瞬間を思い出すだけで、トイレに入って流されてしまいたいくらいはずかしい!!

学生さん3

2005-07-14 09:21:47 | 日本語教育
 うちのクラスには、立派な班長さんがいます。班長さんは師範大学の教員で、日本へ行くために今私のクラスで日本語を勉強しています。‘立派’というのは体重が95キロもあるからというだけでなく、クラスをしっかりまとめるからなんです。ただ、目が悪くて、じーっとにらむように人を見る上に、中国カットの角刈りをしていて、外見は完全に東北マフィア黒龍江グループって感じです。そんないかつい彼はいつもテストの後、

 「先生、先生、今回は聞き取りができたけど、漢字はボロボロやわ~(作者意訳)」

などと報告に来ます。小学生かいな!怖い顔してそんなこと報告せんといてって思うんですが、それがなんともかわいいんですよね~、ええ年のおっちゃんですが。

 例文作りでも、真顔で、

 「夫の役割は、洗濯と掃除をすることです。」

なんて言うんですよ。何回も言いますけど、顔は東北マフィアですよ。このギャップがたまらん。いつも奥さんの代わりに家事を一手に引き受けているらしいです。班長さんは、この町で午前は学生、午後は大学教員、夜は家事と、絶え間なく働きます。いつも疲れていてヘロヘロです。必然的に日本語の伸びも悪いんですが、プレゼンテーションとかをやらせると、見事。内容はともかくとして、おもしろい写真をいっぱい見せて、完全に受け狙い。

 「がははははははははは」

厳粛なムードの中、気づいたら笑っているのは私だけでした。

 人に見せるんなら、なんかおもろいことしたいって発想は好きなんだけどなあ。

日本語の授業にて 3

2005-07-12 10:38:47 | 日本語教育
 こっちがいくら頭をひねっても学生さんの発想には及びもつかないことがよくあります。学生さんが作った例文をちょこっと紹介します。

  1、「さるにハンカチをやりました」

 「やりもらい」の授業の時に、Cさんが作った例文。「~をやる」という文型は、相手が動物だったり、弟だったり、自分より下の人に何かを与えるという例文が想定されるんですが、確かに動物相手だし、文法的に問題はありません。しかし、チワワみたいな顔したCさんが、おさるさん相手にハンカチを渡すシーンはなかなか絶妙。嵐山なんかの風景を彷彿とさせます(んなわけないか)。

  2、「先生のポケットはテープを入れるのにちょうどいいです。」
 
 「~のにちょうどいい」という文型の練習にて。これはなかなか鋭い例文で、私がいつも胸のポケットから聴解のテープを出すので、それをじーっと見ていたのでしょう。ああ、やられたなあって思いました。

  3、「班長さんのお金は、私の財布に入れるのにちょうどいいです。」

 これはすばらしい。まるで笑点のこんぺい師匠ばりのセンスです。‘班長さん’を‘円楽師匠’に変えて、「ちゃんら~ん」って叫んでから言ったら完璧です(何がや?)。この文を作ったLさんは、いつもお金ネタか女性ネタ。キャラが定着してくると例文も作りやすいんでしょうね。もうひとつLさんの例文。「~と」という条件節を勉強したときの例です。

  4 「私は女性を見ると、抱きつきたくなります。」

 おいおいおいおい、そりゃだめだよ。

日本語の授業にて 2

2005-07-07 09:46:19 | 日本語教育
 日本語の授業をしてて、幸せな瞬間っていうのがいくつかあります。学生の例文がメチャクチャおもしろかったときなんていうのもそうなんですが、昨日の授業でのその瞬間を紹介します。

 今は「パワーポイントを使って故郷紹介」という活動をしています。学生さんたちはみんな大学教授なので、パワーポイントの使い方なんてのはお手の物です。ホホーって感心しながら見入っております。本当に上手なんです、中国の大学教授はパワーポイントの使用を奨励されているみたいです。

 昨日発表した学生さんは、中国の東北地方にある町、‘延吉’を紹介しました。そこは朝鮮族自治州で、町の雰囲気もちょっと変わっていておもしろかったのですが、それだけじゃなくて、町の特産に‘りんごなし’という果物があり、これにみんなが食いつきました。南の方の学生は食べたことがないらしくて、どんな味がするのか、いくらか、いつ食べられるのか、なんていう質問が飛び交いました。

 今のクラスは中国人のみのクラスで、みんなは母語を使えば、コミュニケーションが取れます。つまり、なかなか日本語で発話していこうってムードにならないんですよね。しかし、発表で出てきた‘りんごなし’っていう言葉をきっかけに、教室全体が

 「なんか質問したい!」

っていう雰囲気になり、日本語が飛び交ったのです。そういうとき教室の空気はグイングインうねっているように感じるんです。

 「あ~幸せだな~」

って感じます。‘りんごなし’くらいで盛り上がるんなら、次は‘バナナなし’の話でもしてやろうかな~・・・なんてことやっても二匹目のドジョウは捕まらないんですよね。

 そこが幸せの幸せたるゆえんである。

日本語の授業にて 1

2005-07-02 10:35:46 | 日本語教育
 授業中に学生の発話で、思わぬ笑いのツボにはまることがあります。
 
 「はじめて~さんを見たとき、~そうだと思いました。」

という文型で、例文を作らせて見ると、みんなお互いにクラスメートの第一印象を語り合って、なかなかの盛り上がりでした。そのとき、学生の一人、Hさんが、

 「はじめて妻に会ったとき、きれいそうだと思いました。」

と言いました。これはちょっと困ったパターンで、‘~そうだ’というのは一目瞭然のことには使えないんですよね。‘やさしそうだ’とか ‘こわそうだ’とか、はっきり断定できないけど、自分が対象からうける印象を表すんです。それはおいといて、この発話の後、別の学生さんが、

 「Hさんの奥さんは、後ろから見るときれいです。」

これが結構ツボに入ってしまいました。中国語でこういうのを、‘背多分(ベイドゥオフェン)’と言うのだそうです。中国語の‘分’というのは日本語の‘点’にあたり、「後ろ姿は、点数が高い」っちゅうような意味になります。しかも音楽家のベートーベンに引っ掛けており、なかなかインパクトがあります(別に意味的にベートーベンと関係があるわけじゃない)。

 なんとなく勢いで、‘見返り不美人’などという語彙を黒板に書いてしまったんですが、これって、ボガンボスの歌のタイトルだし、日本人でもほとんど知らないだろうし、使用語彙ではないでしょうねえ。黒板に書きながら、しまった、こんなん教えてもあかんって気づき、

 「あ~時間よ戻れ!!」

ってマジで思いました。戻ってやり直したい授業がいっぱいあります。もう、若さのせいにできる歳は過ぎてるんだけどなあ。