
岩田正は、
晩年、ユーモアに満ちた作品を数多く残した。
夫岩田正と妻馬場あき子のエピソードがある。
歌会の折、
岩田が「馬場君」
と批評し、
馬場が「岩田君」
と呼ぶ、
というほのぼのとした
様子が、
居合わせた歌人の記憶に残っているそうだ。
岩田正の歌を読む時、
微笑を禁じ得ないことが多い。
本人の歌論にも、
そうした作品の理論的根拠が
はやくから備わっていたことを
察することができる。
ユーモアにあふれた作品を3首。
‥‥‥
この曲のここ美しといひし我に目を閉ぢしまま君はうなづく
俺は柿生霊園に入る谷中墓地に他流試合のつもりできたる
魘されし理由はをとめ救わむとして斬られしと妻には言へず