いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

詩 髪を洗う女

2019-09-02 22:11:19 | 思い出の詩


髪を洗う女

水道の水はとめどもなく
あの人の金遣いに似て流れる
洗い粉の手触り冷たく
返した人の後ろ姿がなぜかしょんぼり気にかかる
風呂に漂う名も知らぬほのかな匂いは
たよりないような、あるような
ついこのごろの、されば、人のそぶりか
むしゃくしゃ腹に髪を洗えば
髪さえ痩せて櫛もすべりぬ
大河で鳴る汽船の笛が
ふいと消えればどうやら涙が
どうやら涙がにじみ出す

わが幻覚のあやしさよ
浜町河岸の夏のあさ












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