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いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

100歳まで生きた土屋文明

2018-12-01 20:32:19 | 短歌


土屋文明は、
歌人である。

1890(明治23)年から、
1990(平成2)年まで
生きた。

東大卒で、
芥川龍之介等と
親交があった。

斎藤茂吉の
後を継いで、
「アララギ」の代表を務めた。

明治大学教授等を歴任。
芸術院会員。
宮中歌会選者。

100歳まで生きたことになる。

次に、
第2次世界大戦の直後の歌を紹介する。

‥‥‥

垣山にたなびく冬の霞あり我にことばあり何か嘆かむ
  ~敗戦直後の人々に勇気を与えた~

少数にて常に少数にてありしかばひとつ心を保ち来にけり

吾が言葉にはあらはし難く動く世になほしたづさわる此の小詩形

がん宣告を受けた上田三四二の歌

2018-11-30 20:33:26 | 短歌


まだ、
癌が不治の病であった頃、
医師上田三四二は、
癌にかかった。
本人だけでなく、
妻にも重くのしかかった病であった。

‥‥‥

死はそこに抗いがたく立つゆゑに生きてゐる一日一日はいづみ

たすからぬ病と知りしひと夜経てわれより妻の十年老いたり

残年を充たしめたまへ過ぎしひとの年譜をわが齢より読みはじむ


桜を歌った短歌

2018-11-30 20:16:30 | 短歌


古来、
花を題材にした
短歌は多い。

万葉の時代は、
1に萩
2に梅、
3に桜であった。

しかし、
「古今集」以来、
花と言えば
桜、
となった。

今も、
桜を歌った短歌は多い。


‥‥‥

夜半さめて見れば夜半さえしらじらと桜散りおりとどまらざらん(馬場あき子)

さくらばな泡立つを目守りゐるこの冥き遊星に人と生まれて(山中千恵子)

夕闇の桜花の記憶と重なりてはじめて聴きし日の君が血のおと(河野裕子)

若山牧水の酒好き

2018-11-29 23:17:02 | 短歌


若山牧水は、
旅と酒を愛した。

一人旅。
誰と友の旅。

酒は、
1升2升はさらで、
からだが、
アルコール漬けになって、
死後さんに日間、死体が腐らなかったという
ウソのような本当のような話もある。

せっかくだから
酒の歌、旅行の歌を書き留める。

‥‥‥

白玉の歯にしみとほる秋の世の酒しづかに飲むべべかりけれ

幾山河越えさりいかば終てなむ国今日も旅行く

はたはらに秋草の花かたるらくほろびしものはなつかしきかな











栗木京子の歌~その1~

2018-11-29 22:33:45 | 短歌


NHKの短歌の番組に
出演している
栗木京子さん。
その歌の紹介
その1。

‥‥‥

観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生

春浅きおおひの水に漕ぎ出だし三人称にて未来を語る

退屈をかくも素直に愛しゐし日々は還らず さよなら京都

夭折の歌人永井陽子

2018-11-29 22:21:50 | 短歌


歌人永井陽子。
優れた歌を残しながら、
48歳で
自ら
命を絶ってしまった。
歌人仲間が、
注目していたのに。
たったひとりだけ、
全面的に支持してくれれば
死ぬことはなかったのに。

‥‥‥

ひまはりのアンダルシアはとほけれどとほけれどアンダルシアのひまはり

ゆふぐれに櫛をひろへりゆふぐれの櫛はわたしにひろはれしのみ

ここに来てゐることを知る者もなし雨の赤穂ににはとり三羽

死ぬまへに留守番電話にするべしとなにゆゑおもふ雨の降る夜は

父を見送り母を見送りこの世にはだあれもゐないながき夏至の日

若山牧水の歌

2018-11-28 20:40:24 | 短歌


若山牧水は、酒と旅を愛した。
酒は、1日1合、2合‥‥

飲む量がふえ、
1升飲むこともあったという。

酒の歌、3首。

‥‥‥

かんがへて飲みはじめたる1合の2合の酒の夏のゆふぐれ

人の世にたのしみ多し然れども酒なしにしてなにのたのしみ

験なきものを思はずは一杯の濁れる酒を飲むべくあるらし

啄木の短歌3首

2018-11-28 18:40:29 | 短歌


今の人たちに
一番人気のある
男性歌人としては、
斉藤茂吉、石川啄木、若山牧水
などがあげられるだろう。

今回は、
石川啄木の歌を
3首。

‥‥‥

石をもて追はるるごとく
ふるさとを出でしかなしみ
消ゆるときなし

やはらかに柳あをめる
北上の岸辺目にみゆ
泣けとごとくに

東海の小島の磯の白砂に
われ泣きぬれて
蟹とたはむる

斉藤茂吉の恋歌~「赤光」のおひろ~

2018-11-28 08:18:40 | 短歌


万葉の伝統と近代西洋精神の融合により
日本文学に
近代化を促した、
斉藤茂吉の作品。

今回は、
「赤光」のなかの恋歌連作
「おひろ」
から、
4首紹介する。

‥‥‥

紙屑を狭庭に焚けばけむりたつ恋しきひとは遥かなるかも

ひさかたの悲天のもとに泣きながらひと恋ひにけりいのちも細く

ひったりといだきて悲しひとならぬ瘋癲学の書もかなしも

しんしんと雪ふりし夜にその指のあな冷たよと言ひて寄りしか

茂吉の高弟佐藤佐太郎の歌

2018-11-27 20:43:19 | 短歌


斎藤茂吉の高弟に
佐藤佐太郎がいる。
定型を守り、
写生に徹した美しい歌を、
たくさん作った。
3首挙げる。

‥‥‥

冬山の青岸渡寺の庭にいでて風かたむく那智の滝みゆ

あぢさゐの藍のつゆけき花ありぬぬばたまの夜のあかねさす昼

秋分の日の電車にて床にさす光もともに運ばれて行く

‥‥‥

若き歌人の恋歌2首

2018-11-27 20:05:27 | 短歌


ある短歌雑誌が、
専門の歌人に、
若き男性の恋歌のうち、
もっとも心をひかれるのは、
どの歌か、
アンケートをとった。

1、2位は次の歌である。

木に花咲き君わが妻とならむ日の四月なかなか遠くもあるかな   前田夕暮

君かへす朝の敷石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ      北原白秋

与謝野鉄幹をめぐる恋

2018-11-26 20:29:39 | 短歌


明治時代、
与謝野鉄幹といえば
短歌革新の
旗振り役で会った。

かれに、
2人の若き女性が
恋をした。

得たのは、
与謝野晶子。
想いがかなわなかったのは、
山川登美子。

初めの2首は、
与謝野晶子の歌。

次の2首は、
山川登美子の歌。

諸行無常の響きあり。

‥‥‥

なにとなく君に待たるるここちして出でし花野の夕月夜かな

やは肌のあつき血潮にふれも見でさびしからずや道を説く君

‥‥‥

髪ながき少女としてうまれしろ百合に額は伏せつつ君をこそ思へ

それとなく紅き花みな友にゆづりそむきて泣きて忘れ草つむ

‥‥‥

島木赤彦の短歌

2018-11-25 21:06:26 | 短歌


歌人島木赤彦。
優れた歌を
多く残した。

今日は、
3首あげてみる。

‥‥‥

隣室に書よむ子らの声きけば心に沁みて生きたかりけり

幼きより生みの母親を知らずしていゆくこの子の顔をながめつ

子をまもる夜のあかときは静かなればものを言ひたりわが妻とわれと

‥‥‥

斉藤茂吉~しにたまふ母~より

2018-11-24 23:08:33 | 短歌


斉藤茂吉が、母の死に
のぞんで、
「死にたまふ母」
という
連作を詠んだ。

いくつか、
あげておく。

‥‥‥

みちのくの母のいのちを一目見ん一目みんとぞただにいそげる

はるばると薬をもちて来しわれを目守りたまふわれは子なれば

死に近き母にに添寝しんしんと遠田のかはず天に聞こゆる

夫婦の相聞歌1000首

2018-11-23 22:56:55 | 短歌


永田和宏さんと
河野裕子さんは、
20歳と
21歳
の時に
出会った。

2人は結婚し、
2人の子をもうけた。

河野さん54歳の時、
乳癌発病。
62歳にして
再発。
64歳での
逝去。

2人の相聞歌は、
あわせて1000首に
のぼる。

永田和宏さんが詠んだ歌。

乳癌で闘病している
河野裕子さんを
思いつつ。

一日が過ぎれば一日減ってゆくきみとの時間  もうすぐ夏至だ

河野裕子さんの挽歌。

手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が

‥‥‥