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いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

動物を歌いながら‥‥

2018-11-23 21:34:39 | 短歌


伊藤一彦の初期の作品には、
よく動物が出てくる。
動物を歌いつつ、
自分や
世の中のことに
怒っているのではないか、
と感ずる。

初めの2首は、
鶴について
次の1首は、
「卑怯」
について。

‥‥‥

動物園に行くたび思い深まれる鶴は怒りているにあらずや

鶴の首夕焼けておりどこよりもさびしきものと来し動物園

もの言わぬ卑怯について夜の厠出でたるのちも思い継ぎおり

‥‥‥

生活者の短歌~その1~

2018-11-23 21:15:17 | 短歌


現代短歌には、
なんでもあり。

しかし、
短歌の定型を
破らない人もいる。
大島史洋のもばあいも
そうかな、

思う。

それはともかく、
いい歌をつくる。

3首。

‥‥‥

神田川の潮ひくころは自転車がどろのなかより半身を出す

産み終えて仁王のごとき妻の顔うちのめされて吾はありたり

夕食を家にてとらぬ習慣の二十年経て子は疑わず

‥‥‥

月の歌

2018-11-23 10:27:21 | 短歌


秋。
澄んだ空が
見られるようになった。

昔から、
物語や
歌に登場する、
月。

美しい。

月を詠んだ現代の歌を
3首。

‥‥‥

三輪山の背後より不可思議の月立てりはじめに月と呼びしひとはや
    ~はじめて「月」と呼んだのは、だれだろう~

まつぶさに眺めてかなし月こそは全き裸身と思ひいたりぬ
    ~いわれてみれば、確かに月は裸だ~    

なべてものの生まるるときのなまぐささに月はのぼりくる麦畑のうへ
    ~生物なるもの生れてくるときは、なまぐさい。人間も~


‥‥‥










母を見送る短歌

2018-11-22 21:50:38 | 短歌


母を見送る短歌。
母を見送るのは、つらいものだ。
斎藤茂吉による
3首。

‥‥‥

おきな草口あかく咲く野の道に光ながれて我ら行きつも

さ夜ふかく母を葬りの火を見ればただ赤くもぞ燃えにけるかも

灰のなかに母をひろへり朝日子ののぼるがなかに母をひろへり

‥‥‥

死にたまふ母

2018-11-21 20:35:17 | 短歌


斎藤茂吉が
好きになってしまった。

十数ね年前に母を亡くした
わたしは、
次の2首に感動してしまったのだ。

‥‥‥

我が母よ死にたまひゆく我が母よ我を生まし乳足らひし母よ

のど赤き玄鳥ふたつはりにゐてたらちねの母は死にたまふなり

‥‥‥

短歌日誌~その16~

2018-11-18 20:45:13 | 短歌


歌人のなかには、
偉い人がいる。

宮柊二。

日中戦争に参戦。
一兵卒として戦った。

何度も、
「幹部候補生になれ」


薦められた、
しかし、
頑として
受け入れず、
一兵卒として
戦う。
凄まじい歌が並ぶ。

「山西省」という
歌集。
白兵戦を
記述。

3首だけ挙げる。

‥‥

右頬貫きし弾丸鋭くて口より出でて行方わからずてふ

続けざま迫撃砲弾落つる中右翼よりかかる「ささげ砲」の声

すがすがし白骨ひろうとかがみたる永久隊長に敵弾の来ぬ

‥‥‥

ちなみに、
宮は生きて帰り、
歌人として、
生を終えた。






短歌日誌~その17~

2018-11-18 20:45:13 | 短歌


歌人のなかには、
偉い人がいる。

宮柊二。

日中戦争に参戦。
一兵卒として戦った。

何度も、
「幹部候補生になれ」


薦められた、
しかし、
頑として
受け入れず、
一兵卒として
戦う。
凄まじい歌が並ぶ。

「山西省」という
歌集。
白兵戦を
記述。

3首だけ挙げる。

‥‥

右頬貫きし弾丸鋭くて口より出でて行方わからずてふ

続けざま迫撃砲弾落つる中右翼よりかかる「ささげ砲」の声

すがすがし白骨ひろうとかがみたる永久隊長に敵弾の来ぬ

‥‥‥

ちなみに、
宮は生きて帰り、
歌人として、
生を終えた。






短歌日誌~その14~

2018-11-17 22:07:54 | 短歌


童謡の詩人をといわれる、
北原白秋。

多くの詩と短歌、童謡を創作した。

ここでは、
恋愛の歌
3首
あげてみる。

‥‥‥

ひとすぢの香の煙のふたいろにうちなびきつつつなげく我が恋

あだごころ君をたのみて身を滅す媚薬の風に吹かれけるかな

哀しくも君に思われこの惜しくきよきいのちを投げやりにする

‥‥‥

短歌日誌~その13~

2018-11-17 21:52:29 | 短歌



短歌日誌その13。
死は、いつも生の裏返しである。

夭折した歌人永井陽子の短歌
3首。

‥‥‥

ここに来てゐることを知る者もなし雨の赤穂いにはとり三羽

死ぬまへに留守番電話にするべしとなにゆゑ思ふ雨の降る夜は

父を見送り母を見送りこの世にはだあれもいない夏至の日

‥‥‥

ひとりでいいから、自分のことを観ていてくれる人が
いれば、
生きて行ける。
あなたにも、
ひとり。

短歌日誌~その12~

2018-11-17 19:53:45 | 短歌


今、
もっとも有名な歌人と言えば、
俵万智と
石川啄木であろう。
(斎藤茂吉は別格)

啄木の歌。
ふるさとを
追われるように
東京に出てきて、

しかし、
それでも、
啄木にとって、
思慕の対象であった、
東北。

今は、
上野から、
新幹線で
2~3時間で行けるが、
当時は、
遠い遠いところであった。

‥‥‥

ふるさとの訛なつかし
停車場の人ごみの中に
そを聴きにゆく

石をもて追わるるごとく
ふるさとを出でしかなしみ
消ゆる時なし

ふるさとの山に向かひて
言ふことなし
ふるさとの山はありがたきかな

‥‥‥




短歌日誌~その11~

2018-11-17 19:41:42 | 短歌


今回は、
木下利玄という
歌人の歌
3首。
木下利玄は、
東大卒。
こどもを
3人授かったが、

3人とも幼くして
亡くした。
その悲しみを。

‥‥‥

街をゆき子どもの傍を通るとき蜜柑の香せり冬がまたくる

金輪際なくなれる子を声かぎりこの世のものの呼びにけるかな

わが妻は吾子の手握り死にてはいや死にてはいやと泣きくるいけり

‥‥‥

河野裕子さんと初恋の人

2018-11-16 19:47:26 | 短歌


短歌を歌う人に、
河野裕子さんを知らない人は
いないだろう。
戦後の
女流歌人の旗手である。

代表歌として、

次の歌がある。

‥‥

たとへば君 ガサッと落ち葉すくふやうにわたしをさらって行ってはくれぬか

‥‥

河野さんは、64歳で、
乳癌で亡くなった。
夫は、
歌人の
永田和宏さん。

ところで、
河野さんの写真を見て、
気が付いた。


なぜ、こうも河野さんに惹かれるのだろう。
はたと手を打った。
わたしの中学1年生の時の初恋の人にそっくりなのだ。

相思相愛だったと思う。
でも、
なぜか恥ずかしく、
お互い、
告白することはなかった。

36歳の時
友人のはからいで、
初恋の人に
会った。

ステキなおかあさんになっていた。

‥‥‥

よかった。



短歌日誌~その10~

2018-11-16 19:25:09 | 短歌


竹山広さんのうた。

彼は、
長崎の原爆に出会った。
瀕死の重傷の
兄を
救護所まで
運ぶ。
しかし、
すぐにお兄さんは、
亡くなる。

それから25年たって、
次のようなうたを

うたった。

‥‥‥

~阪神大震災の後~
居合わせし居合わせざりしことつひに天運にして居合わせし人よ

人に語ることならねども混葬の火中にひらきゆきしてのひら

1分ときめてぬかふす黙祷の「終わり」といへばみな終わるなり

‥‥

短歌日誌~その9~

2018-11-15 22:45:30 | 短歌


日々のできごとに、
感ずることが多い。

地位が高いとか、
知識が深いとか、
いったことは、
大したことではない。

いかに
人と向き合い、
対話しつつ
向上しあうか。
それが大切だ。

講演者と
聴衆の対話がないと、
空疎な知識のみせびらかせになる。

‥‥

知識のみ肥大している女講師にあくびこらえてただ忍耐しおり

はりがねのやうな女が話しおりあくびこらえて苦笑するのみ

‥‥