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た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

借金時計

2005年10月12日 | Weblog
借金時計というものがネット上に存在している。
(http://www.takarabe-hrj.co.jp/takarabe/clock/index.htm)
よくわからんが恐ろしい速さで膨らんでいく日本の借金を眺めていると、
これで気が変にならない自分は不感症じゃないか、
ニュースでよく聞く気が触れた人のほうが案外まともなんじゃないかと
さして気分の悪くならない自分に気分を害したりして
とてもややこしい面持ちになる。

衆議院選挙開票速報

2005年09月11日 | Weblog
 雨の中、人々は久しぶりに沸き起こった使命感に心ひそかに高揚しながら、投票所へ向かった。家族連れはやたら多弁になり、一人で来た人はまるでちょっとした裁判に赴く弁護士のように、毅然として体育館に向かった。

 投票所を出ても外は雨だった。人々は小さな紙片に三文字から五文字程度の名前を書いて出てきた。その足取りは来たときより微妙に重く、かすかな戸惑いさえ見せていた。まるで

 政治だ選挙だと言われても、しょせんこの程度のことしか市民である自分たちにはできないのであり、しかもこの程度の作業では、社会の現状は結局どうとも変わらないことを、早くも、漠然とながら自覚したかのように。


 雨の無関心が、彼らの足元を冷たく濡らした。

秋は何をしているか

2005年08月31日 | Weblog
夏が言いました。
「わしは暑い」
冬が言いました。
「わしは寒い」
夏と冬が言いました。
「じゃあ秋は?」
夏が誇らしげに言いました。
「わしは山々を緑にする」
冬が誇らしげに言いました。
「わしは美しい雪を降らせる」
夏と冬が不満そうに言いました。
「じゃあ秋は?」
夏が秋をなじりました。
「お前さんはちゅうとはんぱなのだよ、やってることが。草木を育てることもできなければ、一面を銀世界に変えることもできない」
冬が秋をからかいました。
「お前さんが一体何をした? 木の実を熟させたと言いなさんなよ。そりゃ夏さんの努力があってこそだ。朝晩を冷やしましたなんて言いなさんなよ。そりゃわしが早めの準備をしているんだ」
夏と冬が秋をとりかこんでつめ寄りました。
「お前さんは一体何ができる?」

秋がか細い声で答えました。
「私は夏の終わりを知らせます。冬が来るのも知らせます。私は夏と冬の変わり目をみんなに知らせます」

夏が舌打ちして言いました。
「ちぇっ、知らせるだけか。ま、お前が知らせなきゃわしは終われないからな」
冬が肩をすくめて言いました。
「大した仕事じゃないなあ。ま、お前のおかげでみんな、わしの来る心構えができるのだが」
夏と冬がうなずき合って言いました。
「ま、それならそれでいいか」

こうして夏と冬は、秋からはなれてもとの位置にもどりました。
すべてはいままでどおりです。夏の横に秋が、秋の横に冬が。

めでたしめでたし。

うわ、いい加減だ・・・。

2005年08月31日 | Weblog
─秋がきたら─


秋がきたら
ドンツクドン
山は出家を志し
野辺はただただ嘆息し

秋がきたら
ドンツクドン
村の子どもは虫の音に
思わず急ぎの足を止め

秋がきたら
ドンツクドン
町の子どもは焼き芋の
匂いは無料と足を止め

秋がきたら
ドンツクドン
恋人たちは相手への
感謝の気持ちを思い出し

秋がきたら
ドンツクドン
独身者(ひとりもの)はくしゃみして
部屋の掃除を思い立ち

秋がきたら
ドンツクドン
まだまだ続くよ秋のうた
短い季節に長いうた

(ということでつづく予定。)

地平線

2005年08月20日 | Weblog
その地平線は光でできていた。

目もくらむほどの。

大地も 空も 透明の冷たく青い闇であった。

ただ地平線だけが。

遥かに、くっきりと、次なる時代のように眩しく。

───何事モ一見ヲ以ッテ信ジテハナラナイ。

私は目を凝らした。

光と思ったものは豚であった。

豚であった。

光る豚が長い隊列を成して行進していた。地平線は無数の豚であった。

「あの涯に」

先生は渋茶を啜った。「解決されない明治がある」

哄笑! 哄笑! 私は哄笑し、ちぎれるほどに下唇を噛んだ。

誤解していたのだ。ずっと。私は。

箸の持ち方さえ覚えれば
何でも食べられるのだと
誤解していたあの頃のように。


意思疎通

2005年07月21日 | Weblog
意思疎通は多くの人にとって人生の大目標である。

それができただけですべてを満足してしまう人もいれば

それができないばかりにすべてを投げ出す人もいる。

裏返せば、人は悲しいかな、

それだけ他人という存在に揺さぶられる生き物なのだ。