た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

邂逅

2024年08月03日 | 断片

 わずかに頬を赤らめて、その子は私を見つめた。

 蝉が鳴く。扇風機のはた、はた、という音。

 目を驚いたように見開いているが、口元はかすかに笑みを浮かべている。

 蝉が鳴く。汗ばむ手を膝の上で重ね、私は身を退いてその子を見つめ返す。

 美しい子だ。今日の暑さは36度を超えるかもしれない。

 蝉もいつしか鳴き止んだ。二つの椅子を引きずる音がした。

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