お前のものは私のもの

 

	「おい若造、よく降るなあ」 「ええ先生、本当に」
	「おい、見ろ」 「あ、ハトさんも濡れてますね」
	「……こういう日は、アレだな、」
	「濡れない場所で、毛布でゴロ寝に限るな」
	「ん？　若造、お前も座るか？」 「はい、お隣、よろしいでしょうか」
	「しょうがない。場所を空けてやるか」
	「ほらよ。こんな汚い毛布で良ければ、座るがいい」 「……あの、先生、それ僕の毛布ですけど」
	「細かいこと言うなっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静けさの香り

 

 

小雨そぼ降る

鳩の翼も重い

いつもの場所にも水たまり

花に雨滴、葉に雨滴

静かに歩く

きらきら光る

ここにも雨滴

顔の汚れは、ほとんど取れた

少し濡れてしまった

雨の味がするだろうか

雨の香りが好きなのだろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごぶさた

 

	「……」
	「んっ？」
	「カメラの若造か！」
	「おかか先生、すっかりご無沙汰しちゃってすいません。なにしろ毎日雨なので……」
	「ふん、薄情者め。お前なんかもう知らん」
	「そ、そうですか……。じゃ、失礼します……」
	「ま、待て」
	「ま、せっかく来たんだから、そう急ぐな……」