質素な贅沢

2009年07月27日 19時02分00秒 | B地点 おかか

 

 

「ちょっと日も出てきたな」
「雨上がりはいいなあ」
「草も綺麗に洗われたし」
「空気も澄んだし」
「最高だなあ」
「……が、何か足りない」
「そうだ。アレだ。アレが足りないんだ」
「お~い! ちょっと降りて来~い!」
「は~い」
「それっ」
「よいしょっと」
「先生、雨が止んで良かったですねえ」

「うむ」
「すがすがしい夕方になりましたねえ」

「うむ」
「……あれっ? 先生?」
「僕に何か用事があるんでしょ?」
「用はもう済んだ」
「えっ? どういうことですか?」
「……ふふ。まあ、いいじゃないか」
「?」
「……変な先生」
「ま、いいか」
おかか先生はただ、おむさんに会いたかっただけなのだ。
……いや、単に「会いたい」というのとは、ちょっと違う。
いつもの場所に、いつものように、おむさんが居る ―― その光景を、先生は望んだのだった。
雨上がりの爽やかなひとときを完璧なものにしたいという、おかか先生の贅沢だったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


円高で、え~んだか!

2009年07月27日 18時30分00秒 | B地点 おむ

 

 

投資の闘志シリーズ その07



おむさんは悩んでいた。
もちろん、円高のせいである。

「困ったなあ……」
「1ドル90円台でもきついのに、80円台なんて……」
「そうだ、おかか先生に相談してみよう!」
「なにしろ先生は、『金融界の闇の帝王』と呼ばれてるそうだからなあ」
「え? 円高をなんとかしてくれ?」
「お願いします。どうか先生のお力で」
「……うむ。昨今の円高については、私も深く憂慮しているよ」
「よし、私に任せろ!」
がばっ
「ちょっくらオバマに電話してくるっ」
「おお! 『金融界の闇の帝王』が、遂に立ち上がった!」
「それにしても、オバマ大統領と知り合いとは……。すごいなあ……」
やがて、先生が帰ってきた。
「どうでした、首尾は?」
「うむ。大統領と話がついたよ」
「どひゃ~! さすが!」
「円高も今日で終わりだ」
「やったあ~!!」
「明日からはドル安になるぞ」
「……え?」
「え~と……」
「……」